■日時: 2005年1月8日(土)13:00〜17:00
■場所: 九州心理カウンセリング学院
■テーマ: 「いきなりファシリテーター!?」
■担当: ファシリテーター:加留部貴行
■参加者: 片山、平山、今井、森、吉崎、伊東、堀江、田坂、山内、市場
□研究会の流れ
◇今回の狙い:
プロセスデザインを必要以上に行わなくてもファシリテーションできる要素を探る。いつでも、どこでも、だれとでも話すことができるようになる環境要素は果たしてテーマなのか、メンバーなのか、スキルなのか。何が議論を推し進めていく要素なのかを検証してみたい。
◇仮説場面:
何の前触れもなしに、いきなりテーマを与えられ、とりあえず議論しなくてはならない時に私たちはどのように対処していくのか
◇事前設定および流れ:
?準備なし(議論テーマ設定、詳細なプロセスデザイン、事前解説なし)
?テーマはアイスブレークの中でその場において直感で抽出
?メンバーは成り行きで構成、ファシリテーターは未経験者を指名
?加留部は一切関与せず、各チームが相互作用の中で進行していく
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1.アイスブレーク(13:00〜13:30)
?悩み、困っている、イヤなことを1つ書き出す
?今年の抱負を1つ書き出す
この2つを使って自己紹介してもらう
2.セッション1「とりあえずの議論の場」(13:30〜14:30)
Aチーム:?の内容から
テーマを「仕事と家庭の両立について」
メンバーは片山、平山、今井、森、吉崎、Fは吉
崎
Bチーム:?の内容から
テーマを「時間を効率的に活かす方法について」
メンバーは伊東、堀江、田坂、山内、市場、Fは
山内
3.セッション2「感想共有の場」(14:30〜15:00)
■質問1「何が話し合われましたか」(コンテンツと成果)
Aチーム:
自分たち一人一人の現状、理想の姿とは何か、どうすれ
ばいいのか、両立とは何か、自分もまわりも満足という
状態、お互いに合意情報共有、コミュニケーションをしっ
かりとする、信頼関係をつくるサイクル
Bチーム:
目的を持って何かをすることが大事、たくさんの目的だ
とうまくいかない、時間を埋めようというのでは疑問、
活かさなくても良いのではないか、堀江さんの事例から
入った
■質問2「どんな雰囲気とプロセスでしたか」(プロセス)
Aチーム:
好きに意見を出す、遠慮せずに出す、プロセス決めてい
なかった、他人の意見にどんどん肉付けしていった
Bチーム:
堀江さんの事例を最初に聞いた、自己分析、ケーススタ
ディ、そもそも論に入れなかった
■質問3「ファシリテーターの感想」
Aチーム(吉崎):
・自分のテーマをやってもらい個人的にありがたかった、
満足
Bチーム(山内):
・合意と皆の納得を得たかった
・コーチングフローを駆使
・堀江さんの問題を解決することが目的と理解し、皆の
共通の問題を取り上げるべきか、テーマ設定のあり方
に悩んだ
■質問4「メンバーの感想」
Aチーム:
・メンバーが良かった、出す引っ込むがいいバランスで
うまくまとまった
・はじめは不安だったが、個々人の属性の多様性がよかっ
た
・ファシリテーターは仕切るのではなく自然だった、リー
ダーシップも自然
・結果的にグループとしてのテーマ設定になった
Bチーム:
・個人的なテーマでワークショップが可能なのは新鮮だっ
た
・山内さんのコーチングの技により質問で掘り下げ、ひ
も解かれていった
・「自分を持っている」メンバーの存在が良かった
・カウンセリングやコーチング、ファシリテーションの
全てのスキルを繰り出した場となった
・満足度が高い、楽しかった
※加留部の感想(メンバーと最初5分間の滑り出しを見て)
Aチーム:雑談タイプ(→メダカの学校)
・メンバーが思い思いに話し始める気楽な
雰囲気
・結果的にファシリテーターが介入をしない
Bチーム:司会タイプ(→スズメの学校)
・山内さんが質問、進め方をきちんと行う
・結果的にファシリテーターが主導する場
もあった
共通のこととして…
・テーマは両チームともに身近なものだと思う。
・「デザインなし」に対しての参加者の満足度とファ
シリテーションの学びの場
(=定例会)としての成果をどのように出すことにな
るのかは常に気になっていた
(休憩:15:00〜15:10)
この段階でメンバーから質問が出た。
質問 プロセスデザインなしの状態ではメンバーが作用する要素が
多いような気がする。デザインなしでもいいメンバーに恵ま
れている
からこそできたと思うが。
回答 確かにそう感じる。FAJのメンバーだけではできすぎと思
う。
困ったチャンが入った時こそが本番。それも想定しながら進
めてみるのが訓練になる。個人的にもメンバーの要素は大き
いと思う。
ファシリテーションを理解している仲間や同士をつくったり
していくことは組織の中でのパワーを引き出すのには必要な
こと。また、プロジェクトなどの外部メンバーと組む場合に
おいても「どこと組むか」よりも「誰と組むか」のほうが大
事だと感じている。
質問 初心者にとってこの方法はファシリテーションを学ぶ機会と
なるのか
回答 ファシリテーションする、されるの別なく、「ファシリテー
ションってこんなものかな」というのを感じるには良いと思
う。理屈や知識よりも実践の中から気づき、学ぶことは多い
と思う。
4.セッション3「論点展開の場」(15:10〜16:10)
各チームでさらに深めてみたいことを論点として抽出して、各テー
マにおいて「みなさんへの提案」を出してもらう
テーマ:「今年はこうすればうまくいく!」
5.セッション4「成果共有の場」(16:10〜16:50)
■チーム別発表(写真参照)
Aチーム:「仕事と家庭を両立させる方法」
・信頼を編むのはコミュニケーションだ!
・繋がりの太さ・強度・本数の認識を一致さ
せる!
・編み続けることを忘れたり、止めたりする
ことのないように。速度は各々違っても
OK!
Bチーム:「時間を効率的に活かす方法」
・目的を明確にしよう!
・効率化は計画化だ!
・発想の転換!「しないこと」も効率化
■参加者感想
・ファシリテーションの心得のあるメンバーがいると議論が
進みやすいのではないかと感じた。
・プロセスデザインをキッチリ準備してファシリテーション
できる
ケースはむしろ少ないので、今日の内容は参考になった。
・技術論ではなく「ファシリテーションとは何か」というこ
とを考える場になった。
※加留部の感想
・プロセスデザインを必要以上に行わなくてもある程度のファ
シリテーションは可能だと感じた。むしろその方が現実的
には多く求められるのではないか。
・いつでも、どこでも、だれとでも話すことができるように
なる環境要素としてはメンバーが占める割合が大きい。ファ
シリテーションの心得やスキルを持った人材の育成の必要
性をさらに強く感じた。