第114回:2013年9月7日 〜リスクコミュニケーション・ツール「クロスロード」を活用してみませんか!!〜九州支部

2013年9月度定例会レポート

日時

2013年9月7日(土)13:30〜17:30

会場

オクターブビル4F会議室

テーマ名

「〜リスクコミュニケーション・ツール「クロスロード」を活用してみませんか!!〜」

ファシリテーター

天野 英樹(FAJ会員)

1名

企画運営担当

寺崎 正信(FAJ会員)

1名

参加者数(会員)

31名

一般・見学者数

8名

報告作成者

吉留 渚

報告日

2013年9月8日

テーマ詳細

【概要】

この世の中は、ジレンマに満ちています。
そのジレンマを問いにし、共有するだけで解決策の糸口やキッカケを見つけられるかもしれません。

この「クロスロード」は、ゲームを通して突発的な出来事への対応を自らの問題として考えるとともに、様々な価値観を参加者同士で共有することで、自分自身の「こだわり」や「思考のクセ」に気づくことができることもあって、最近では、防災シミュレーションにとどまらず、危機管理や情報共有ツールとして、一般企業や学校、まちづくりの現場などにおいて活用されています!

【プログラム内容】

1)オープニング

馬場さんより全体説明の後、天野さんよりワークの流れを説明。

2.『クロスロード』って何?
□背景

兵庫県南部地震/阪神・淡路大震災/全体の被害/福岡県西方沖地震/東日本大震災/災害対応の研究について

 

□語源:Crossroad

1)進路を決すべき「岐路」「分かれ道」
2)人と人が出会う場所、活動場所

□クロスロードとは

1)震災対応にあたった神戸市職員のインタビューから浮かび上がった課題を、ゲーム形式のカードにまとめたもの
2)突如として極限状況に置かれた神戸市職員のジレンマを実感し、伝えていくためのツールとして考案された
3)クロスロードでは、ゲームを通して突発的な出来事への対応を自らの問題として考えるとともに様々な価値観を参加者同士で共有する
4)自分自身の「こだわり」や「思考のクセ」に気付いたり「判断力」を養うツールとしても効果的な事から企業や教育現場で幅広く応用されている

□展開

オリジナル…「神戸編・一般編」「市民編」「ボランティア編」に加えて応用編、企業編など、現在も進化中。

□コンセプト

シンプル…すぐにできる。誰にでもできる。
市販可能…売れるものでなければ普及は望めない
クロスロードの工夫
簡略なルール
ファシリテーター用の手引きの整備
「のめり込める」小道具の用意(座布団、クロスノート、などなど)

□基本ルール

1.設問に対し、YesかNoかどうしようか各々考える
2.YesかNo、どちらかのカードを選んで、裏向きの状態で中央に出す。
3.かけ声で一斉にオープン
4.多数派が青座布団をゲット。ただし、1人だけ別意見の場合は、その人が金座布団をゲット。
5.なぜそのカードを選んだのか、理由を自分の言葉で説明する。(同じです、はだめ。)
6.一通り発言がおわったら、ひと区切りまで自由に発言してOK
7.聞いていて「なぜ?」「どうして?」と思ったらどんどん質問してOK
(頭ごなしに「それはちがう!」はナシ。 ⇒内容を深める

3.『クロスロード』を体験!

 

  • 避難所の食糧担当として

…等、様々な状況下でのジレンマを題材にした問いに向き合いました。

 

4.クロスロードの「強み」と「弱み」を考える

それぞれのチームで検討。

 

□「強み」としてあげられた声
  • 利害関係のない場所でやるとメリットがあるのでは?
  • 素直に他の人の意見を聴ける
  • 楽しい
  • 座布団がもらえるのはうれしい
  • 反対意見もクロスロードだと出しやすい
  • 経験のないことでも疑似体験が可能
  • 色々な考え方(視点)に接することができ、考えが深まるったり気付きが与えられる
  • 少数派は反論したくなって議論が活発化するし、周りも聞く雰囲気ができたり、聴きたくなる
  • 皆一人ずつ発言・理由を言うことができる
  • 自分の物の見方、思考特性がわかる
  • 自分の意見と人の意見との違いが客観的に見れる
  • カードを出すことで、瞬間的な判断を出す訓練になる
  • 答えづらい事を答える語彙力が高まる
  • 自分の身に置き換えたら?をあらかじめ考えておく事は良い
  • 企業のリスク管理等の現場に合わせた例が作れる

 

 

□「弱み」としてあげられた声
  • 設問があいまいで、回答者の前提条件が各自で違うので、本当の解決の糸口にならないのでは?
  • 利害関係がある会社内等でやるとNGだと思う
  • Yes or Noで決められない事も世の中には沢山あるのでその場合向かないと思う
  • 意見を引き出すのにはいいが、まとめるのには向かないのでは?
  • 途中で自分の意見が変わる
  • ダークサイドな自分が見える、本性が出る
  • 設問によっては深く考えられるものと浅いものがある
  • 過去に同じ経験をした場合に辛くなる事がある
  • 座布団がもらえなかったら悲しい
  • ゲームなのでリアリティが薄れる
  • 設問作りが重要

 

5.『設問づくり』に挑戦!

興味があるテーマを各自が紙に書いて、共通性を感じた者で新たにチームを作り、設問を作成した。

作品1
あなたは私立高校トップクラスの担任です。
現在のクラスの偏差値は61です(40人)。上司から次回の模試で偏差値を70に上げるように言われました。
上位10人だけに絞って数字の特別授業をすれば可能です。しかし、他の30名に対し、不公平感が残ります。模試まで残り1カ月!
特別授業をやりますか?
⇒Yes(やる)orNo(やらない)
作品2
あなたは福岡の本家の二人姉妹の長女、独身です。
妹は既婚、海外在住、夫の姓を名乗っています。親から名字を起こす、調子とは両親の面倒を見るものだと学んできました。
現在の彼は東京の老舗の跡取りです。
このままお付き合いを続けますか?
⇒Yes(付き合い続ける)orNo(お付き合いをやめる)
作品3
あなたはイベント司会進行役です。
休憩中にケガをしている子どもを発見。
子どもは痛そう、周りには誰も見当たらない、休憩時間は残りわずか、会場に救護室はない。
あなたは子どもを病院に連れていく?
⇒Yes(連れていく)orNo(連れて行かない)
作品4
あなたは主婦です
隣地の植木が自分の土地に出ている。町内会長をしているガンコ親父に何度か切ってくれるように頼んだが聞き入れないが毛虫が入ってくるので切りたい。
あなたはその枝を自分で切りますか?
⇒Yes(自分で切る!)orNo(切らない)
作品5
あなたは会社員です
今の仕事は安定しており、不満はありません。しかし、昔からの夢を叶えるチャンスが来ており、その為には仕事をやめなくてはなりません。
チャンスは今しかありません!
あなたは会社をやめますか?
⇒Yes(やめる)orNo(やめない)
作品6
あなたは主任さんです
今、10人のメンバーで議論していますが、上司・先輩の多くが意見で対立し、結論がでません。
あなたはファシリテーターとして仲介に入りますか?
⇒Yes(仲介に入る)orNo(仲介に入らない)