第179回: 2019年6月8日 (土) 九州支部6月定例会『みんなが貢献できる会議 ~話し合いの基本パターンを探究しよう~』九州支部

2019年6月 定例会レポート

日時

2019年6月8日(土)13:00~17:00

会場

久留米大学 福岡サテライト

テーマ

みんなが貢献できる会議 ~話し合いの基本パターンを探究しよう~

ファシリテーター

小長光 信(FAJ会員)、柿原 寿人(FAJ会員)、栗原 咲子(FAJ会員)

参加者数(会員)

25名

参加者数(一般)

7名

報告作成者

柿原 寿人

報告日

2019年9月26日

テーマ詳細

プログラム概要

どの参加者も納得すると同時に「貢献できた」とも思える会議を目指して、会議の基本パターンを習得するために、「参加者5名前後の会議でのプロセス設計と進行」について体験的に学べるワークショップを企画しました。

1 導入とインストラクション
 (1) アイスブレイク(じゃんけんアンケート)

 (2) ミニレクチャー1
  ・ファシリテーションとは
  ・今回学ぶ範囲と流れとお約束の確認

 (3) 会議の寸劇A鑑賞(うまくいかない会議例)

 (4) 会議の寸劇B鑑賞(うまくいっている会議例)

 (5) 寸劇AとBを鑑賞しての意見交換

 (6) ミニレクチャー2 会議Aと会議Bの違い 

2 チーム分け
 「同意形成型」「問題解決型」「目標達成型」の課題について、3本の紙リボンを使ってそれぞれの取り組みたい度合いを見せ合いながら、自律的にチーム分けを行った。その結果、各課題2チームづつの計6チームが形成された。

3 演習
 (1) チームビルディング&発散・収束の実践 (8分)
   演習テーマ「提示された条件に合うチーム名を決める」
   共有・発散・収束のステップのトレーニングおよびチーム名発表

 (2) プロセス設計を話し合う (25分)

 (3) 問題について話し合って、結論を出す (60分)

4 振り返り(15分)
 (1) YWT(「やったこと」「わかったこと」「次にやること」)で振り返る (15分)

 (2) シェア(バザール) (14分)

     前半・後半で留守番で説明する人と他の班へ見に行く人に分かれ、交代する

 (3) 班内でシェア (5分)

5 全体シェアと質疑応答

参加者コメント

・会議の寸劇鑑賞を通して、俯瞰的に会議の様子を見ることができ、分かりやすかった。
・寸劇が長すぎた。
・会議の時間管理の重要性が理解できた。 
・設定されたテーマが共有しやすく、話し合いに熱中できて、有意義に振り返ることができた。
・広く発散しないと、収束が面白いものにならない。
・初参加で「収束」の仕方が分からなかったが、他のグループの話し合い方をシェアできたので、理解できた。
・プロセス作成および合意の必要性が理解できた。
・プロセスを作成する前に、自由に話せる時間があるとよかった。
・プロセス作成が(初心者には)少し分かりにくかった。
・各々の演習の意図が分かりにくく、適切にできているか不安があった。
・振り返りで、プロセスと内容を切り離すことが難しかった。
・参加者の様々なファシリテーションに触れて、自分に必要なエッセンスを選択し、活用することができそうだ。
・型を使うことは、基本に立ち返るという点で大切だと改めて感じた。
・会議に基本パターンがあることを初めて知り、念頭に置いて会議を進めたい。
・今までの会議のあり方を見直すいいきっかけになった。

ファシリテーターふりかえり

 今回は、日頃の会議がうまくいっていない方や、会議の進め方をある程度知ってはいるものの改善したい方のニーズに応えられるような「会議の基本の『型』」を学ぶワークショップを企画しました。

 まず 寸劇 を鑑賞することでファシリテーターの役割や見える化の重要性、共有・発散から収束・合意への流れをしっかり理解していただき、次に基本中の基本である「発散・収束型」の話し合い体験を経て、最後に「同意形成型」「目標達成型」「問題解決型」から一つの型を選んでより実践的な演習に取り組んでもらう構成でした。

 寸劇は企画メンバーと運営委員の計5名で演じました。事前に役割と流れの確認だけ行い、セリフを細かく決めたりしなかったのですが、結果として予定時間を大きくオーバーしてしまい、演習やふりかえりに時間的余裕がなくなってしまいました。臨場感が出て参加者に好評だった面もありますが、事前にもっと寸劇の打ち合わせや練習をしておけばよかったというのが反省点です。

 演習は、新興住宅地の町内会という共通の設定のもと、それぞれイメージしやすい身近な議題を話し合ってもらったので、会議が盛り上がり、前提や結果の共有も容易だったようです。しかし、白熱した話し合いの余韻のせいか、プロセス(話し合いの進めかた)を振り返る際にどうしてもコンテンツ(話し合いの内容)の話になってしまいがちなグループがありました。各グループの結論の発表をした後に「はい、町内会の話はここまで!」と、進行側が明確に区切りを宣言したら、もっとうまく切り替えができたかもしれません。

 全体としては、ファシリテーターの役割、話し合いの見える化、プロセスとコンテンツの区別、基本的な型などの大切なことを理解していただけたようで、概ね今回の定例会の目標は達成できたのではないかと考えています。

【メンバー個々の振り返り】

 ホワイトボードのファシグラをPCカメラを介して共有しながら話し合ったZOOMミーティングで、学びのある打ち合わせ・準備ができました。複数メンバーでワークショップの企画・準備を行ったり、当日のプログラムのファシリテーターをブロックごとに分担したりすることは、今までの個人的な経験から、簡単ではないと思っていました。しかし、今回は担当者の信頼関係およびサポートしていただいたみなさんのおかげで、総じて満足できる定例会になったと考えています。

 当日の会議の寸劇では、私の発言がきっかけで予定した時間をかなりオーバーしてしまいました。その発言とは、会議のプロセス(進めかた)に合意した後、話し合いが進んでいる途中に、プロセスについて新たな提案をするものでした。「プロセスはさっき決めたので」とファシリテーター役が提案を即座に却下するものと私は思っていたのですが、実際には、中身の話をストップして出席者役が進めかたについて話し合うことになり、思っていたよりだいぶ時間がかかりました。 実は、私は始まる前からこの発言をするつもりでいて、事前に打ち合わせをしておくべきと考えていました。しかし、優先すべき他のことがあり、私がワークショップの時間配分について軽く考えていたことから、直前の打ち合わせで確認しないまま発言してしまいました。また、会議が進行している中でプロセスに関する意見を出してもファシリテーターは受け付けない、という私の勉強不足に起因する思い込みもありました。

 企画・準備および当日の進行において、非常に学びの多い体験をさせていただき、感謝しています。(かっきー)

 ファシリテーションを学び始めて半年ですが、初心者だからこそわからない、知りたい、学びたいというエッセンスを今回のプログラムに反映することができ、参加者の学びに役立てたことがうれしかったです。ファシリテーター3人で何度も打合せをした中で、場のスキルや発散収束を体現し、プログラムを作る過程で学ぶことが多かったです。(さっこ)

 今回は会議ファシリテーションについて、とにかく入門者に解りやすく、なおかつそれぞれの職場などですぐに活かせるワークショップを目指して企画しました。「ファシリテーターとは何をするのか」が解りやすいようにと寸劇を観てもらったり、実際のプロセス設計にあてはめやすい型を示して体験してもらうことで、さっそく実践してみたくなる学びを持ち帰ってもらえたのでは、と思っています。参加された方が実際にトライしてみた成果など、いつか伺える機会があったら嬉しいです。(おさみつ)