2023年1月14日 (土) 九州支部1月定例会「何を言っているのか?」より「誰が言っているのか?」を重視する会議に、未来はありますか? 〜属人思考について考えよう〜九州支部

2023年1月 定例会レポート

日時

2023年1月14日(土)13:00〜17:00

会場

オンライン

テーマ

「何を言っているのか?」より「誰が言っているのか?」を重視する会議に、未来はありますか? 〜属人思考について考えよう〜

ファシリテーター、企画チーム

【ファシリテーター】おさみつ(小長光 信)[FAJ会員]

参加者数

17名(うち会員17名、一般なし)

報告作成者

おさみつ(小長光 信)

報告日

2023年1月31日

テーマ詳細

プログラム概要

<概要>
「ことがら自体ではなく、そのことがらに関係している人物を判断基準にする」という「属人思考」「属人主義」が、会議の場にどんな影響を及ぼしているのか、参加者それぞれの現場での経験を出し合いながら考えを深めていくワークショップを企画しました。


参考書籍
『会議を制する心理学』 岡本浩一 中央公論新社
『属人思考の心理学 組織風土改善の社会技術』 岡本浩一 鎌田晶子 新曜社

<プログラム>
・アイスブレイク(じゃんけんアンケート)
・今回のテーマ・目標・流れを説明
・申し込み時に回答してもらった属人傾向測定の結果を確認
・グランドルール紹介

・グループワーク1 5班に分かれて実施
 自己紹介/属人傾向測定結果の感想

・ワールド・カフェ 5班に分かれて実施

 1ラウンド
 あなたが今までに関わった会議で、
 「属人思考が作用した(あるいは作用しなかった)から、起きたのかな」
 と思うエピソードを教えてください。
   その時、あなたはどう感じましたか?
   いま振り返って、どう考えますか?

 2ラウンド
 ここまでの話を通して、属人志向について、どんなことが解ってきましたか?
 まだ解らないけど気になることや、モヤモヤしていることは なんですか?

 3ラウンド
 今後あなたが関わる会議で、「会議での属人思考」について、
 あなたが取り組みたいことは何ですか?

・O S T(オープン・スペース・テクノロジー)
  さらに深めたい話題を参加者から募集して、下記の4つが提案された。
  各自が話題を選んでグループに分かれ、対話した。
  「属人思考と『役割・権限』の違いとは」
  「絶望的な属人的組織の中で、どう抗うか」
  「安心安全な場をどう作り上げていくか」
  「感情が出るような場で、議論をどうマネージしていくか」

・個人でふりかえり(Awareness・Wall・Try)
 1)今日体験したことを通して得た気づきで、心に一番響いていること
 2)その気づきを実践に活かす際の、具体的な壁や葛藤
 3)壁や葛藤を乗り越える最初の一歩、試してみることなど

・チェックアウト
 「気づいたこと、やってみたいこと」を一人ずつ述べた

参加者コメント

・属人思考の功罪両面あること。改めて属人思考について考えを深められた。
・構造的な課題に対し、個人としてやれることを考える機会となった。
・様々な環境の方々からいろんなお話をお伺いして、見識がすごく広がった気がします。
・属人思考や属人的ということは、場面や条件などによっても色々変わってくるので難しいと思いましたが、気づきは多くありました。たとえば、
「知恵や情熱がないままに、役割や権限のみで進めたり決めたりすると、悪い意味での『属人的』につながる」というふうに、1つの考えとして整理できました。

・自分が声の大きな人にならないように、F的なふるまいを貫くこと。
・安心安全な場づくりのために⑴可視化と⑵匿名性が必要ということ。
・属人思考のデメリットを排除するため、上司としては心理的安全をつくること。メンバーとしては影響力のある人との信頼関係を作ること。
・自分の行動原理と属人思考との関係を探ってみたいです。

・属人思考とは何か?を最初にもう少し丁寧に説明するか、事前に資料を展開するかしていただくと、前提がある程度揃うので話し合いがやりやすくなったのではないかと感じました。
・説明時間を少なくして、対話時間を多めにしてくれたので、深く対話することができたと思います。

ファシリテーターふりかえり

 FAJの定例会で今まであまり取りあげられていないテーマだったので、どうなるのか些か不安を抱いていました。しかし、ワールドカフェが始まると、様々な活動領域やキャリアの皆さんの実体験が共有されるとともに、物事の捉えかたや話し合いに臨む姿勢について、それぞれの思考が深まっていく様子を感じました。
 多様な参加者の生の経験を題材にしたいと考えたので、テーマに関する説明は最小限にとどめ、参考書籍に載っていた様々な解説(たとえば、属人思考のバックグラウンドなど)は紹介を控えました。さらに考察を掘り下げたいと思われた方は、今回紹介した書籍を読んでいただくと良いかと思います。
また、対話と内省に集中してもらいたいという思いから、こういったワークショップでよく行われている、「グループワークでどんなことを話し合ったのか、班ごとにどなたか一人が代表して発表」という方法を行わないことにしてみたのですが、「心理的負担がなくて良かった」「Googleのシートを見れば他の班が何を話していたのか分かる」など、総じて肯定的な感想をいただきました。