第16回例会「『システム思考』で問題構造の理解を深める〜問題を視える化するツール〜」in高松四国サロン

8月例会「システム思考」にご参加頂きました皆さま、ありがとうございました。

今年4月より活動が開始されたFAJプロジェクト「システム思考研究会」はご存知でしょうか?FAJ会員の皆様は、FAJ会員用メーリングリストで議事録が定期的に配信中ですのでご存じの方も多いかもしれません。

広島市内でコアメンバーのみで開催している同プロジェクトですので、他地域やコアメンバー以外で体験する機会はこれまでありませんでした。

今回、四国サロン設立前からの支援者であるカズさん(プロジェクトリーダー)のご厚意で、四国サロン例会の場でその研究の成果を楽しく体験させて頂きました♪

四国サロン第16回ラボ例会議事録(2010年8月、高松)
☆FAJプロジェクト「システム思考研究会」

■日 時:2010年8月28日(土)13:00〜17:00

■場 所:アイパル香川第1会議室

■ファシリテーター:
カズさん(野口和裕:FAJ会員)システム思考研究会(シス研)

■参加者:18名(FAJ会員10名、一般8名。ファシリテーター含む)
(地域性:神奈川県1名、山口県1名、兵庫県1名、徳島県1名、岡山県1名、     広島県2名、香川県11名)
※四国サロン史上最多の地域多様性(7県)!

◆テーマ:『システム思考』で問題構造の理解を深める。
〜 問題を視える化するツール 〜

◆目 的:問題解決の流れを理解する。

◆目 標:
1.システム思考という考え方がある事を知る。
2.何かのときに、ふと、全体を俯瞰してみたら…と思うようになる。
3.「問い」の重要性を知る。

◆内容:
1.オープニング
▽目的・目標とスケジュールの説明
▽アイスブレイク
・ニックネーム、どこから来たのか?、何を持ち帰りたいか?
の3つを共有する

2.論点
▽問題を考える(演習【1】その1)
・自分自身の問題(個人的なこと、社会的なこと)をポストイットに「問い」の形で書く。
例)仕事の能力が向上しない⇒どうすれば、仕事の能力が向上するか?

▽何を解くべきか?
(1) まず、与えられた問題を疑う
(2) 課題に優先順位をつけてしぼり込む
(3) だれの問題を解くのか?

▽論点思考力を高めるためのポイント
○視野:目の前の事象にとらわれず、見過ごしていたものに注意を払う。
○視座:物事を見る姿勢・立場を変える。常に自分のポジションの二つ上のポジションで考える。
○視点:自分のパラダイムに固執しない。切り口を変える。

▽問題を考える(演習【1】その2)
(1) 演習【1】その1で書いた問題をグループ内で発表する。
(2) 論点(問い)が適切かどうかグループで討議する。
・「誰の」問題が明確か?具体的か?簡単に解け、容易に実行でき、効果の大きなものであるか?
(3) 討議した結果、必要であれば「問い」を修正する。
(4) 感じたことを振り返る
※)特に正答はないので、想像力を発揮してみる。

3.システム思考
▽因果関係を視える化する
・システム思考では、因果関係を因果ループ図という図で表す。

▽因果ループ図
○変数:そのあ互い時間の経過とともに増減する要素
○リンク(→):変数間の因果関係を表すもの。原因→結果
○矢印のサイン:+(変化方向が同じ)、−(変化方向が異なる)

▽因果ループの描き方
(1) 問題を定義する。
(2) 重要な変数を特定する。
(3) 時間の経過に伴う変数の推移をグラフにする。
(4) 変数同士の間に因果関係を表す矢印を描く。
○ポイント
・自分の考えを主張するためにつかわない(みんなで検討するツール!)
・因果ループ図は仮の姿(因果ループ図に終わりや正解はない。システム思考は繰り返し行うプロセス!)
・問題をすぐに解決しようとはしない(先ずは、問題の理解から)
・因果ループ図の正しさについては過度に心配しない(問題を理解するためのツール)

▽演習【2】重要な変数を特定する
(1) 演習【1】をの2で定義された問題について、重要な変数をあげる
・重要な変数とは、その値が時間の経過とともに増減する要素のこと。
○ヒント
・定量的、定性的両方の変数(動詞ではなく名詞)をリストアップする。そこから、絞りこむ。肯定的な表現を用いる。

▽演習【3】因果ループ図を描く
(1) 因果ループ図に描いてください
○ヒント
・あまり正確さにとらわれないでください
・+又は−にも、あまりとらわれないで下さい(先ずは因果関係をみてください)
・まずA3の紙に下書きし、最終的なものを模造紙にかくとよいかも。

4.問題解決
▽問題解決のステップ
〜何か問題がありそうだ!〜
(1) 問題を設定する(問いをたてる)
〜現状の全体像をみてみよう!〜
(2) 因果ループ図を使い現状の全体構造を把握する
(3) 因果ループ図から、論点候補を挙げる
〜ここが要因のようだ!〜
(4) 論点を決定する
〜さあ解決策を考えよう!〜
(5) 決定した論点で討議し、解決策を立案する

▽演習【4】問題解決策を立案してみよう


5.全体振り返り、クロージング
▽全体で振り返りを共有

■アンケートより
○感じたこと
・発言する方は沢山発言されますのでキーワードやプロセスに添ったものを拾い上げる力がいりますね。
・ワークが多くて楽しかったです。
・システム理論について勉強しました。全体を俯瞰できるという意味では良いと思いますが、「変数」にできないものもあると思うので、よくわかりません。
・まだ少しもやもや感がありますが、システム思考が少しわかったような気がしました。
・毎回運営方法も含め勉強になります。
・いつも多様な方々に会えて、とても刺激をもらえます。
・システム思考を勉強してみようと思いました。
・少人数なのがアットホームで良い。ちょうどいい人数だったと思います。
・和やかな雰囲気でリラックスして楽しめました。
・はじめての参加でした。半日が短く感じるぐらい、有意義な時間を持ったことができたことを野口先生はじめスタッフの方々に感謝しています。
・普段会うことがない人の意見がきけることが大変面白いです。
・大変参考になりました。話し合いがしやすい環境を作っていることは素晴らしいと思います。
・今まで、あまり自分の中にないというか、意識していないような考え方の部分があったので、新しい考え方との出会いというかんじでとても楽しかった。自分自身については、色々と反省点があって、それが、また良かったなぁと(泣きながら?)感じています。
・よくわからなかった。むずかしかった。ファシリテーターの学習にならなかったのが残念。自分なりには学ぶことを見つけました。
・カズさん(とワーク)の魅力で、新しい参加者が増えて新鮮な場が久しぶりに体験できて良かったです。そして、新鮮な場でのファシリテーターのやりにくさ(私の場合)の再認識ができて、9月ラボ例会に向けて心構えが少しできた気がします。

○あなた自身の新しい気づき
・こういう時に普段の幅広い知識を吸収しようとしているかどうかで違ってきますね。
・普段違う分野に身をおいている人と、一緒に話しをすると、こうも違うものだなということを再確認しました。
・いろんな人の意見を聴けて、ファシリテートについて学べました。イメージしていることを伝えることって難しいし、イメージを共有することも難しいです。
・システム思考により、みんなの考えが見える化されて、議論しやすかった。
様々な人との出会いがとても新鮮です。
・システム思考は、生態系!
・関連を考えると見えてくるものがあると思いました。
・システム思考をグループで演習してみて、本では学べない体験・体感ができた。
・四国ということに限らず、いろいろなことを学ぶことができてうれしいです。
・全体を俯瞰するということがどういうことなのか少し理解できた。
・システム思考は、生態系!、もう少し時間をかけて、学んでいくしか、理解度を上げることが難しいように思います。
・因果ループ図を書くことで問題が見えてくるということ。
・システムの考え方が違うことに気がつきました。人間、地球、社会はすべてシステムであり、相互関係をよく考えなければならないと思いました。
・きちんと論理的にものごとを積み重ねて行くことに、自分は慣れていないなぁということがよくわかって良かった。他のすぐれた方達のご意見やご様子にふれることができてとても良かった。
・メンバーによって促進したり、かき回されたりするでしょう。
・リピーターが多い場もあったかくていいですので、そこに少しでも新規の人が入ると、さらに新鮮さとあったかさが両方味わえる場がとってもここちよいことに気がつきました。因果ループ図のつくり方、その図から、問いを起こし、さらに解決策を考えることができるところまで体験できてよかったです。

○例会とFにメッセージ
・勉強になりました。ありがとうございました。
・楽しい時間をありがとうございました。今後も期待しております。
・ありがとうございました。
・参加者が増えてびっくり、リピーターが増えてほしいなと思います。
・カズさん、いろいろ有意義な示唆をありがとうございました。システム思考、また、継続して学んでいきたいです。
・カズさんの落ち着いた口調と、多面(角)的なコメントがピンと心に入った。いいものを、体験できました。
・早く支部になるよう祈念します。
・今回はグループワークでファシリテーターをやりました。今回のシステム思考は、自分の中で進歩したような気がしました。少しわかってきたような気がします。
・定期的に開催して頂いてありがとうございます。合宿など開催して集中的にファシリテーションを学ぶ機会を作ってみてはいかがでしょう。
・今後も機会があれば参加させて頂きます。ありがとうございました。
・ありがとうございます。今後ともよろしくお願いをします。
・大変勉強になりました。
・説明がていねいで、私のような、知識のない人にもわかるようにわかりやすい言葉で伝えてくださったので、それは、非常にありがたく思いました。自分に欠けている部分の勉強だったので、とても良い機会に恵まれたなぁと感謝しています。いつもながらのスタッフ皆様のていねいなご準備も本当にありがとうございました。
・よい試みなので続けて下さい。素敵な方が多いように感じました。
・カズさん、ありがとうございました。5月から続いた参加者8人の例会から、四国サロンが再活性化する起点になる気がします。この炎を、絶やさず、少しずつ大きな、あったかい炎にしていきたいと思います。

○ファシリテーターからのメッセージ
みなさん、こんにちは
広島スクエアの野口(カズ)です。

先週末は、四国サロン8月例会を担当させて頂きました。
参加されたみなさま、ありがとうございました。

今回のテーマは「システム思考」でした。
システム・・というと小難しそう。。と思われるかもしれませんが、ようはモノゴトの全体像を視るという事なのです。

今回の例会では、参加されたみなさん見事な因果ループ図を書かれました。
「食糧危機」「少子化」「仕事を楽しく」「大学生の就職難」
の難題4テーマでしたが、私自身も問題の理解が進みました。

システム思考をこれまでファシリテーションの定例会で3回、一般企業に数回、研修を行ってきましたが「難しい」という印象を持たれる方が多かったです。

それはシステム思考が難しいというよりも、取り扱った問題が難しいという事がありました。(例えば年金とか教育など問題構造自体がそもそも複雑)そして、二つめは、どうやって活用するのかがわからないといった点です。

今回は、その2つをクリアできるように、考えました。

問題の難しさという点では、簡単な例でワークをしようかとも考えたのですがそれでは、やっぱり面白くないと思いまして、難しい例でもできるように、システム思考の少し複雑な(表記などの)部分の説明は極力省略しました。

活用という面では、問題解決の一連の流れの中で「問い」(論点)を設定する部分で、システム思考を使う事にしました。(適切な論点を設定するには、モノゴトの全体像を見る必要があると思います。)

いろいろ工夫してみましたが、今回も参加されたみなさんの積極的な学ぶ姿勢に助けられました。私もとても楽しかったです。

最後に1冊本を紹介します。
『フィールドブック 学習する組織 10の変革課題』
組織改革についてシステム思考を使って解説した本です。
分厚い本ですが、組織改革をすすめるにあたっての問題構造を因果ループで説明した本です。
会社組織はもとより、NPOなどの団体の改革を進めるにあたり参考になると思います。

私は、広島でシステム思考研究会というFAJのプロジェクトで、毎月勉強会を開催しています。そこのコミュニティも、この本の考えを活用し、個人の成果を高めつつ、コミュニティを広げ、最終的に自分達の目的を達成できるように試行錯誤しながら進めています。

長文失礼しました。

野口 和裕

※議事録担当:四国のきた