第33回例会『目指せ! ファシリタティブ・ティーチャー』四国サロン

FAJ四国サロンin高松 第33回例会議事録
「目指せ! ファシリタティブ・ティーチャー」

◆ 日時:2011年11月19日(土) 13:00〜17:00
◆ 会場:香川アイパル 第一会議室
◆ メインファシリテーター: 石原誠吾(はらはらさん)
話題提供&メインファシリテーター: 松下敏治(としくん)
◆ 参加者:21名(FAJ会員6名 非会員15名)
◆ テーマ:
「目指せ! ファシリタティブ・ティーチャー」
〜「寝かせない授業」から学ぶ、教育・研修・勉強会の現場に活かすファシリテーション〜
◆ 狙い
「現場(特に教育現場)へのファシリテーションの普及」
◆ ゴール
「それぞれの教育現場や職場で活用できる具体的な「何か」を掴む」


◆ 内容:
《オープニング》(5分)
はらはらさん 自己紹介及び本日の進め方とグランドルール説明
1.アイスブレイク(チェックイン):場の雰囲気、緊張感を緩める
自己紹介「ニックネーム/お仕事/今日つかみたいこと/今の気持ち」
2.問題提起 (はらはら&としくん イケメントーク?)
「なぜ教育・研修にファシリテーションなのか?」
3. ワーク1
「どんな点に注目して模擬セッションを受けますか?」
個人ワーク5分 グループワーク15分
4. 模擬セッション
「ファシリタティブな財務の研修」〜経営後継者向け財務研修を事例として〜
5.休憩
6. ワーク2振り返り&リーダーズインテグレーション
自己紹介をして、模擬セッションの振り返り。(教育の現場にファシリテーションを活かす
という観点で)「関心したこと」「模擬セッションここをこうすると良くなるのでは?」
「としくんに聴いてみたいこと」を模造紙に書いて壁に貼る。としくん登場し、答えていく
7. ワーク3
今日の例会を通して「現場でできること」
8.ワーク4
「今日(電球)つかんだこと」「今の気持ち」
9.チェックアウト


◆ 11月例会振り返り会 実施
・USTREAMの動画を見ながら、Skypeで振り返り

振り返りメモより
2.(1)
「後半がメインのデザイン構成だと思ったが、そこに時間が十分かけられなかったように思った。」
→私たちも授業を考える際、基本的には「導入→展開(メイン)→まとめ」という流れがある。「展開(メイン)」部分に十分に時間をかけたいが、どうしても前半の導入部分に時間を使ってしまい、「展開(メイン)」が駆け足になりやすい。「時間管理」の大切さを感じている。

2.(2)
「告知文がよかったのでは?⇒「寝かせない」に惹かれた。」
→日頃授業している中で、どうしても寝てしまう生徒がいる。そんな中で「寝かせない授業」というテーマを知り、「ぜひ知りたい!」というワクワク感を持ち、遠路はるばる参加させていただいた。とても魅力的なテーマだった。

3.
「「模擬セッション」という言葉そのものについて、わからない人がいた。⇒「模擬授業やります」とか、そんな説
明が良かったのでは?」
→参加者みんながわかる(と思われる)「模擬授業」という言葉に置き換える方法と、「模擬セッション」のままにしておいて、その用語を解説するという方法がある。後者の方が、今後ファシリテーションに関わっていく(であろう)参加者の学びにつながり、いいかもしれない。

4.
「参加者がいつもの例会と違い、初参加者も多く、関係ができていない初対面の方が多い20名がいる場で自己紹
介するのは緊張感があったのでは?」
→正直、初参加の場で全員に対して自己紹介するのは緊張した。自己紹介を「アイスブレイク」の一環と位置付けるなら、その役割を果たし切れていなかったかもしれない。そう考えると、グループでの自己紹介の方がよかったように思われる。一方、全体で自己紹介をしたおかげで、どんな方たちが参加されているのかがわかった。グループでの自己紹介では、それができなかったと思う。自己紹介1つとってみても、すごく考えさせられるなと感じた。

5.
「(きたさんつぶやき)ファシリテーターと話題提供者が、歩き回るのをやめてから(前で2人で会話)していると、
各グループの話し合いが少し活性化してきましたね。」


→授業においては、「机間巡視」や「机間支援」という。確かに、授業中、我々が近づくとグループの会話が活性化しない(静かになる)という経験がある。

それは、自分に置き換えても理解できることで、教師やファシリテーターが近づいてくると、どうしても「間違った発言をしてはいけない」「いいことを言わなきゃ」と意識・無意識に関わらず感じてしまい、その結果、自由な思考や発言が停滞してしまう。

そういう意味では、教師やファシリテーターは思い切って、生徒やメンバーを手放し、任せることが必要なのかもしれない。

一方、(特に学校教育においては)完全な放任(放置)も避けた方がいいのではないか。例えば、関係のない話で盛り上がってしまったグループに近づくことで、抑止効果を発揮したり、話し合いが迷走しているグループにヒントを与えたりして軌道修正をする。

そういう支援も必要だと考える。また、教師やファシリテーターがグループから離れれば活性化しはじめるのも事実であり、放置と介入のバランスが大切なのだと思う。


この「振り返りの振り返り」を行ってから、授業でも活性化と抑止効果とを考えながら動くようになった。

6.7.財務セッションについて
非常に洗練されており、すばらしいセッションだった。

学校の授業においては、毎年同じ教科書や内容を扱う教科・科目がある一方、毎年、あるいは数年ごとに教科書や内容が変わる教科・科目がある。

前者の場合は、毎年修正を加え、洗練していくことが可能だが、後者の場合は、その取り組みが難しいという問題がある。

時間をかけて教材研究を行い、1度しか行うことのない授業においても完成度の高いものにするために、今回のセッションで学ばせていただいたことを生かしたい。


グループ間の活動時間に差が生じた場合は、「雑談」を推奨されていた。財務の講座を受けにきた受講者の動機には差があるとはいえ、大人の雑談は一定の範囲内で行われる(のではないかと思う)。

一方、生徒の雑談は、ともすれば、悪口につながったり、「ばか騒ぎ」状態になりかねない。

そう考えてしまうがゆえに、「終わったら雑談しといて!」と生徒にいう勇気がないというのも事実。

また、雑談が盛り上がりすぎると、隣の(終わっていない)グループの集中力を欠くのではないかという心配もある。


財務セッションの構成について、「体験から」入られたのはとても参考になった。特に我々の教科、国語(高鳥)、社会(横田)では、「体験から」入ることで、教材に対し、より「自分ごと」として生徒が取り組む動機付けになるのではないかと考える。

さらに、自らの体験に照らしながら学ぶことで理解が促進する。教育心理学的に見ても、学習方略の一つとして有効なのではないか。


最後のまとめの部分のB/S・P/Lの説明を聞いた後の「なるほど!!」という印象が今でも強く残っている。授業においても、生徒に「なるほど!!」と思ってもらえるようにすることで、より強く、その授業(内容)が印象に残り、長期記憶として定着しやすくなる。

今回のセッションでは、その「なるほど!!」に至るまで、「この先どうなるんだろう」というワクワク感があり、常に頭を使っていた。

とても寝ている場合ではない。このような状態と、最後スカッと分かる爽快感、感動を生み出すしくみにより「寝かせない授業」が完成したのだと思う。


活動中の「励ましの言葉−もうひと踏ん張りです。など−」がとてもよかった。励まされることで、「よし、頑張ろう!」と思えたし、グループもより一層活性化したと思う。

一方、我々は生徒の「いいところ」を見つけ、それを褒めることで、生徒の自己効力感を上げようと意識している。各グループの「いいところ」を称賛するような言葉がけがあると、より一層活性化できるのではないかと思う。「このグループは内容がいいわけではないが、見やすい」というような内容を言われたときには少しがっかりしたので、あっさり「見やすいですね」と言ってもらうと自己効力が高まり、励まされたと思う。

9.10.リーダーズインテグレーションについて
時間がない中で、用意された質問の中からどれを取り上げるか、言い換えれば、参加者が何を望んでいるかを瞬時に判断して、取り組まれたことが素晴らしかった。

そのおかげで、時間がないなりにも、ゆとりを持って満足した時間をすごせたのではないかと思う。時間や状況に合わせ、瞬時に何をすべきか判断する力は、我々もぜひ身に付けていきたいと思う。

☆さいごに
今回の「寝かせない授業」のポイントはなんだったのか。それは、「頭を使う」「活動する」「立たせる」ということではないかと考えた。

ただ、学校教育は(今のところ)座学が中心であり、座学のおかげで、40人程度いる生徒の状況を把握できている面もある。

それが、立たせることで、生徒を把握できなかったり、制御できなかったりすることになるかもしれない。そう考えると、生徒の把握と立たせた活動等を両立することが可能かどうか、考えてみる必要があるなと感じた。

   
議事録:ぎわ