2019年6月北海道支部で話題提供しました。TOC×Facilitationサロン

『TOC×ファシリテーション ~話しがかみ合わさっていくために必要なこと~』

開催概要

  • 日   時: 2019年6月8日(土)13:00~17:00

  • 場   所: ちえりあ(札幌市生涯学習センター)2階「中研修室1」(札幌市西区宮の沢1条1丁目1番10号)

  • コーディネーター : まり(酒井 麻里)、ごっと(後藤 遵義)

  • テ ー マ: 『TOC×ファシリテーション ~話しがかみ合わさっていくために必要なこと~』

  • 話題提供者: TOC x Facilitation サロン Kuni(飯島 邦子)、おやぶん(白方 通隆)

  • 参 加 者:  28名(会員14名、運営11名、非会員3名) ※話題提供者・コーディネーター含む

北海道支部運営メンバーのレポート

普段私たちが学んでいるファシリテーションにTOC(Theory of Constraints /制約条件の理論)を取り入れ、なぜ話がかみ合わなくなるのか、共通の認識で話を進めるためにはどうすればよいのかをワークをとおして体験しました。

定例会の冒頭には、話題提供者の自己紹介に加え、北海道支部の会員には馴染みのない、テーマ型サロン「TOCxFacilitation サロン」の紹介もありました。

1)グループワーク 〜かみ合わない話し合いの体験シェア  
事前にKuniさんから「かみ合わない話し合いの体験」のお題で宿題が出ており、グループ内で体験の紹介をしたところ、様々な「かみ合わない話」が披露されました。

2)ミニレクチャ 〜CLR(Category of Legitimate Reservation)
「かみ合わない話し合い」に見られる問題は、話の論理性が正しいのかの疑いによるものであり、この疑いをCLR(Category of Legitimate Reservation)と言うそうです。CLRには明瞭性・存在・因果関係・十分性の4つの懸念があり、これらを上記の順番で確認していくことは、話し合いをかみ合わせていくことに効果があるのではないか、という考え方を紹介してもらいました。

3)「お話スッキリかみ合わせ力」測定
ミニレクチャを踏まえ、F力測定で「一連の会話のやり取りに対する質問」を考え、「お話スッキリかみ合わせ力」を測りました。スコアに良い悪いは無いとのことでしたが、回答の説明に参加者は一喜一憂でした。
F力測定後、グループでやってみた感想をシェアしましたが、明瞭性の懸念や十分性の懸念については比較的容易に質問を作れましたが、存在の懸念や因果の懸念の質問については思いつかない人も多かったようです。
頭の中にあるものを話すとき、人はそれぞれのメンタルモデルや思い込みから言葉を発しており、それらの言葉の意味のズレをCLRの4つの視点ですり合わせていくことを、具体的な会話の事例を通して学ぶことができました。

4)グループワーク 〜ディスカッション
「かみ合わない話し合いにTOCの考え方をどう使えるか」という問いで、グループディスカッションを行いました。
CLRをうまく使う難しさや工夫について話しあったグループや、最初にシェアしたかみ合わない話し合いの解決にどう使えるか、を考えたグループもあったようです。

今回の定例会は、資料・スピーチともにインプットすべき情報が多かったですが、その分新たな気づきも多く、早速いろいろなシチュエーションで活用できそうなワークでした。

話題提供者コメント

・Kuni(飯島 邦子)
6年ぶりの北海道での話題提供をさせていただきました。 テーマは、話し合いがかみ合わさっていくために必要なことをTOCの視点を活用して考えること。
TOCの知識前提なくCLRに絞って扱うことは、チャレンジではありましたが、CLRとは何かについては伝わったのかな、と感じております。
今回皆さんと考えたかったのは、CLRという視点そのものよりも、「ん?」と思っているにもかかわらず、それを発することの危険性を慮り、クリティカルな働きかけを避けてしまうことで陥ってしまうことの危険性について、でした。
定例会の場でも出ていましたが、言葉の曖昧さや思い込みによる論理の飛躍は、比較的扱いやすいのですが、氷山の上と下といという例えで考えると、見えやすい氷山の上の方にある言葉のかみ合わないレベルと、氷山の下の深い思考や感情レベルのかみ合わなさについては、当然、扱い方は変わってくるし、ファシリテーション的にも難しさがあるところです。
ファシリテーターとしては、かみ合ってないのはどこなのか?見えやすい氷山の上の部分なのか?それとも見えにくい水面下に潜んでいるのか?そういうところまで観ていくこと、働きかけていくことは大切であり、今回の定例会が、その重要性について考えるための、何らかのきっかけになれば嬉しいな、と思っています。
今回は機会を頂き本当に感謝です。北海道支部の皆様、ありがとうございました。

・おやぶん(白方 通隆)
北海道支部では初めてTOCを扱う定例会でした。TOCとファシリテーションが上手く掛け合わさるとこを目指しました。
思いの外、ファシリテーションの経験者が少なく、どうなることかと冷や冷やしました。みなさんにCLRの視点から自分たちの「かみ合わない話」をどのようにしたらかみ合うかを体験してもらいました。日頃のかみ合わなさ=言葉の曖昧さや思い込みの解消に役立てると嬉しいです。

コーディネーター振り返り

・まり(酒井 麻里)
話がかみ合わない状況を、具体的な状況をCLRという視点を使って検証する体験をさせてもらいました。
北海道支部では、ここ最近なかったタイプの定例会だったと思います。これを機に、話がかみ合わさっていく現場が増えていくことを期待しています。

・ごっと(後藤 遵義)
今回初めてコーディネーターの役割を担当しました。定例会を実施するには、多くの人が準備に携わっているだと言うことが体験できました。次からの勉強会は単なる参加者であっても、準備に携わる人たちのことを意識することになると思います。貴重な体験でした。コーディネーター相棒のまりさんには大変お世話になりました。何から何まで丁寧に教えていただき、ありがとうございます。アラフィフの私をフレッシュな人扱いしていただけたのはうれしかったです。

アンケート抜粋

・「なんだかかみ合わない」をそのままにせず、理解を深めることが大切だと学びました。
・自分が悩んでいたことが皆さんも皆さんと同じと思えて、力をいただきました。
・CLRの4つの視点が勉強になりました。
・明日からCLRを使います。
・明瞭性に欠けた指示がメンバーが迷う原因になっていることに気が付きました。
・TOCという共通のものさしをもって場をつくれると良いのかなと思います。
・次の会議から疑わしいと思ったら「どの種類だ?」と意識しながらやってみたい。
・マイルドな伝え方のバリエーションを増やす。

担当者ふりかえり

総じて。CLRって何だ?ってことはかなり伝わったと思われる。本を紹介したのも分かりやすかった。
まずレクチャーは、ブランチをバッサリやめて、CLRに絞る構成にした。その分時間的に余裕ができたので、グループ分けもラインナップして分けるとかアイスブレイク的な時間を入れることができた。
事前にかみ合わない話を持ってきてね、と告知に書いたが、その中には氷山の上のわかりやすい言葉のかみ合わないレベルと、氷山の下の深い価値観レベルのかみ合わないところをあげている人と、混在していた。また「かみ合わない」とは「私の言うことを理解してもらえない」という形に変換されて捉える人もいた。
つまり、「かみ合わない話」という言葉そのものが明瞭性に欠けているということが分かった。
氷山の上のわかりやすい言葉のかみ合わないレベルは、ファシリテータとしては当たり前のこと、という反応と共に、「危険」・「必要ある?」といういつもの反応も多かった。
お話スッキリかみ合わせ力の問題は、2016年より全く変えていないが、毎度やって感じるのは、受けた側の納得度はいまいち。今回のワークショップの形を再演することがあるならば、改善したいところ。理由はCLRで測られるポイント以外に文章的に、ん?と感じるところが沢山あるためそちらにひっかかるから?毎回出てくる「漢字練習する目的は何?」という問いかけはファシリテーション的にはNGではないのに採点されないのは納得されにくい。今回は問題の前提として明記したが、やはり同じように出てくる。
文字が多くてスっと入ってこないという可能性もあり、F力を受ける側のストレスにもなってモチベーションを下げているのかもしれない。
インタラクティブな観点では、レクチャーとか意図開きの話など、間間にバズを入れてInputとOutputを交互にした。そうしたことで、ワークで意図したことが受け止められていないままになっているチームの存在に気づくことができた。つまりインストラクションを的確に伝える更なる工夫は必要である。
最後の対話のところは、ファシリテーションに近づけていく問いにした方がよいという判断のもと途中で変えたが、練り切れていないので中途半端だったかもしれない。
対話のアウトプットはぐるぐるシェアでやったのは良かったと思う。グループの中に全く違うことを話してしまうグループがあったけど、それでもぐるぐるシェアで他グループを観ることで気づきがあったと思われる。
時間に余裕があると思って丁寧に時間使ってたら、全体にシェアしたい人の声を拾う時間とか、最後のチェックアウトの時間がちと足りなくなったのは反省。
終了後、運営メンバーの振り返りの時に頂いた感想としては、F力測定が先かレクチャーが先か、という点については、レクチャーが先でよかったと思うとか、面白かったのでまた来てください、という声ももらいました。

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