2026年7月4日(土) 第210回FAJ北海道支部2026年7月度定例会報告書『ナラティヴ・アプローチとファシリテーションの交差点~社会構成主義の地平から見る景色~』北海道支部

第210回 FAJ北海道支部2026年7月度定例会報告書

『ナラティヴ・アプローチとファシリテーションの交差点~社会構成主義の地平から見る景色~』

■日 時:2026年7月4日(土)13:00~16:30(12:45受付開始)

■会 場:札幌市生涯学習総合センター ちえりあ 3階 研修室5・6

■参加者:20名(会員12名 運営委員7名 お試し1名)

■話題提供者:飯島邦子(株式会社プロセスラボラトリー代表取締役)

■話題提供者からのメッセージ

今月のFAJ北海道支部定例会のテーマは、「ナラティヴ」です。といっても、単なる「物語」「語り」「話術」のことではありません。ここで扱うナラティヴとは、現実は人々の間で構成されるとする社会構成主義に立脚した対人支援の領域で発達してきた治療的対話であり、その哲学的姿勢であり、眼差しのことを指しています。この概念は、「対話型組織開発」が日本において紹介されて以降、対人支援の領域を超えて、集団支援(グループ、組織、地域コミュニティ)の領域にいるファシリテーターの間でも関心が寄せられるようになってきました。

今回の話題提供者は、ナラティヴ実践協働研究センターでナラティヴ・アプローチを学び、現在はファシリテーターとしてナラティヴ・アプローチを活かした組織支援に取り組んでいる飯島邦子さんです。

この定例会では、共訳として関わった『世界を再著述する』という書籍にも少し触れつつ、実際に私が取り組んでみたナラティヴ・アプローチをベースにした対話型組織開発の実践とナラティヴの「認証(Acknowledgement)とリフレクティング」をテーマにお話いたします。そして、ファシリテーターとして、ナラティヴの眼差しを持って社会構成主義の地平に立つことの意義について、皆さんと共に考えてみたいと思っています。会場で、お会いできるのを楽しみにしております。

 

■ワーク概要

・オリエンテーション

・話題提供(ナラティヴと組織ファシリテーションの実践)

・デモセッション

・ふりかえり

・クロージング

■話題提供者からのコメント(定例会を終えて)

この度は話題提供の機会をいただき、ありがとうございました。

これまで自分なりに取り組んできたナラティヴ・アプローチとファシリテーションによる組織支援について話題提供させていただきました。後半では、その組織支援の取り組みで実践した、リフレクティング構造を取り入れた対話を、参加者に協力をいただきながら、リアルなテーマでデモセッションさせていただきました。

組織開発の仕事を通して惹きよせられた「ポストモダンのパラダイムにおける社会構成主義、ポスト構造主義の概念から派生したナラティヴ・プラクティス」は、当然のこととされている考えや信念によって見え難くされてしまっているプロセスに気づかせてもらえる、ファシリテーターにとって、とても重要なものの見方をもたらしてくれると私は考えているのですが、簡単に取り入れられる手法やスキルとは違うので、十分にお伝えしきれなかったところもあったかもしれません。でも、もし、あのデモセッションを通して、なぜこのようなことが起こったのか、もっと知りたい、深めてみたいと感じられた方は、ナラティヴ・アプローチの世界に触れてみていただければ嬉しいです。

 

■コーディネーターコメント:ニゴウ(二郷啓延)

話題提供者のくにさん、ご参加の皆さん、ありがとうございました。初めてのコーディネーターで緊張の連続でしたが、デモセッションがとても印象的でした。まず自分の語りを他者に聴いてもらい、そのあとで、その語りを聴いて感じたことを他者同士が話し合うのを、一歩引いたところから聴く。その時間のなかで、自分では気づいていなかった「自分とは別の自分」が見えてくるようで、これまでにない新しい感覚でした。今後も「話し合いを育てる場」を皆さんと一緒につくっていきたいと思います。

 

■サブコーディネーターコメント:おやぶん(白方通隆)

話題提供者のKuniありがとうございました。
ナラティヴ・アプローチには興味がありましたが、組織開発の実践者からのレクチャーとナラティヴ・アプローチを使ったファシリテーターの「会話」はとても興味深い新しい体験でした。
実際の現場でこれを使うには、経営層の理解、時間メンバーの確保等、なかなかハードルが高いと思われます。 その中で、実施したKuniには敬意を表します。
僕も現場でチャレンジしたいと思いました。

 

■アンケート抜粋

・話し方、質問の仕方が活かせそうと思いました。

・メタ認知が難しいと感じている人材が多いので、試してみたいです。

・安心できる空間を作りだす手がかりとして大変勉強になりました。チーム発足時のアイスブレイクとして行っても面白そうと思いました。

・前半はなかなか自分の脳みそがついていけないところがあったのですが、後半の実践では前半の学びが腑に落ちるところが多く、構造が見えてきてアハ体験でした。

・「これを職場でできたら何か変わるかも!?」という気持ちにさせられました。(でも簡単にできることでないと理解しています...)

・難しい言葉が多く、わからないという声もちらほらとあったワークですが、ワーク終了後に参加者の感想を別な視点として共有することで、参加者が腹落ちするキッカケを作れるのではないかと思いました。

・また参加したいです。

 

■参加者の傾向(アンケート回答17名)

・40代・60代以上が中心。FAJ歴は1年未満からベテランまで幅広く、職種も会社員、自営業、医療、教職員など多様でした。

・参加動機は「テーマに興味があった」12名、「FAJ会員だから」11名(複数回答)。

・満足度はテーマ4.5、プログラム4.4(5点満点)。「現場に活かせそう」10名。

・関心テーマは組織開発、人材育成、ファシリテーションの基礎が上位でした。

・前半の用語の難しさに戸惑う声もありましたが、後半の実践で理解が深まったという回答が目立ちました。

 

■当日の様子
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