2016年2月13日(土) 関西支部イベント 分科会02関西支部

このページは、2016年2月13日に開催した関西支部イベント 分科会のレポートです。

分科会 02 / 顧客が共感する"価値"をデザインする〜本音をあぶり出すファシリテーション・ツール

どの企業、組織でもイノベーションに向かわざるを得ない現代、顧客の共感を生み「欲しい」と言われるサービス・製品開発が急務である。本会では、顧客の「本音」のあぶり出し方、1人のアイディアを皆のアイディアに昇華する方法を具体的に手を動かして習得する。また、スピードが最も高コストである中、20週で組織が創造的かつ挑戦的にガラリと変革するプロセスも紹介したい。

山本 伸 (やまもと・しん)

Toynon LLC代表
公認イノベーション・ファシリテーター
一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会理事

プロのイノベーション・ガイド。20週間で意図的に組織を変革する「FORTHメソッド」公認イノベーション・ファシリテーター日本人第1号。特にヘルスケア領域での「組織・ひと・モノ」づくりイノベーションを実践中。外資系3社15年で多国籍なプロジェクト、マネジメントを経験。言葉では伝わらない苛立ちから思いついた「ラクガキ」によりファシリテーションの「型」を確立し2014年、プロとして独立。今回のテーマは「本音をあぶり出すファシリテーション・ツール」。顧客が本当に悩んでいることを起点にするイノベーションを実現させるために、ファシリテーターとして欠かせない3つの視点を共有したい。

プログラム概要

【参加人数】 参加者35名+ファシリテーター1名+実行委員スタッフ2名(合計38名)

「イントロゲーム」
1テーブル4人で分科会に期待すること、できるようになりたいことをポストイットに書き出す。
最初は1人で。次にテーブルでシェアし、チームでひとつ選んで全体でシェア。

「問題提起〜今回取り上げるフレームワークの紹介」
イノベーションの始め方、進め方、誰とやるか?そのガイドが必要。
Whyがはっきりしないプロジェクトが多い。
イノベーションを起こそうとしても、どこまで行くか基準を持っていない。

イノベーションには3つの要素がある
・テクノロジー
・顧客の不満
・ビジネスモデル

★スピードが最も高コストの時代
解決はイノベーションを始めること。
Forthメソッドはその1つ。
イノベーションはどんな組織も立ち向かわなければならない。
何からやればいいのか?⇒手を動かす。つまり行動する。
人が行動を変える時は不満があるから。
そこをあぶりだす。

★紹介するフレームワーク〜Value Proposition Canvas〜
2つの図。
それぞれ3つの部分で構成される。
左側:Value Map デザインする・考えるツール
Gain Creators-------満足を増やす、実現すること
Pain Relievers------不満や障害を取り除くこと
Products & Services-製品やサービスのスペック・特徴

右側:Customer Profile お客さん観察のツール
Customer Job-お客さんの役割・仕事・状況
Gains--------Jobに対する満足・期待
Pains--------Jobに対する不満・障害

使う際のポイント
考えるお客さんは具体的な1人に絞り込む。
年代・性別などで一般化しない。
Customer Jobに対してなぜ?を深堀してCustomer Profileをあぶりだす。

「ワーク:Customer Profileをあぶりだそう」
・ペアワーク1
ペアになり、お互いのお客さんについてインタビューする。
黄色の付箋にJob、オレンジの付箋にGains、緑の付箋にPainsを書き出す。
・インタビューのデモ
山本さんが参加者にたいしてインタビューをする場面を観察。
「なぜですか?」「なぜ○○しているんですか?」と短時間の間に深めていく。
・ペアワーク2
デモを参考に、もう一度インタビューする。
なぜ?で状況を絞り込んでいく。
・個人ワーク
シンプルに付箋の内容を整理する。
Jobの書き方「私は○○です。役割上(仕事上)△△をしなければなりません」
しかし、、と続く不満をPainsに記述する。

「ワーク:Value Mapをつくろう」
チームで1人のお客さんについてValue Mapをつくる。
ストラクチャード ブレインストーミング
考える(付箋に書く)⇒チームで共有する
これを繰り返す。

アイデアが出しにくいときは問題(Pains)が不明確。
複数の問題が混ざっている状態なので分割する。

<参加者の声>
お客さん本人にはわからないことが見えてくる可能性がある。
Customer Profileは第三者からある人の話を聞いて作成するパターンもあると思った。
このフレームを応用できる。
<ファシリテーターからのアドバイス>
使いこなすには数をこなすこと!100をキーワードにしている。100回、100個など。

ファシリテーター所感

意欲的な参加者が多く、会はとてもスムーズに進行できました。実は、お互いの「お客様」についてインタビューするのは、コンサルタントがクライアントの顧客について尋ねるのと同じレベル。難しいのは当たり前なのですが、さすが大阪、かなり多くの方は方法については問題なく実施できていました。「質問力」と「観察力」をさらに深めていくことが、Value Proposition Canvasを効果的に使いこなすコツです。常に「Why?」を問いながら話を深めていけば、自然とお困りごとや切実な要望にたどり着きます。相手の言動にちょっと大げさに頷き「そうですよね〜」と共感する。これで、次の話を引き出しやすくなります。上手くいっていた方は、これが出来ていたようでした。幸いツールはとても単純なので、数稽古で実践すれば誰でも上達できますよ。

記録者所感

Customer Profileは人と話をするあらゆる場面で活用できると思いました。ふだん接している家族や友人をあえてお客さんとして捉えることで相手の状況をより深く理解しよう、本質を見ようという意識になります。
1つのフレームワークをきちんと使いこなすには回数とおっしゃっていましたが、Value Proposition Canvasの威力を実感できるようになるには質問力を高める、なぜ?にこだわる姿勢が重要だと感じました。インタビューも慣れないとうまく質問できず、十分に問題の把握に至りません。フレームを頭に置きながら、本音に迫る質問力を高めたいと思います。

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