2021年3月定例会テーマ5レポート『フィンランドのトップファシリテーターから学ぶ「知恵で創発するファシリテーション」』東京支部

調査研究:東京支部 2021年3月度定例会

【※事業内容】  東京支部2021年3月定例会テーマ5

【※テーマ名】  『フィンランドのトップファシリテーターから学ぶ「知恵で創発するファシリテーション」』

【開催日】 2021年3月27日(土)

【※会場】  オンライン

【※講師・ファシリテーター(「氏名(所属)」形式で)】

Pepe Nummi(IAF会員)  渡辺誠(FAJ会員)  Tanja Bach(FAJ会員)

【※企画運営担当(「氏名(所属)」形式で)】  

渡辺誠(FAJ会員)、大国兼道(FAJ会員)、鈴木愛子(FAJ会員)、杉山貴史(FAJ会員)、Tanja Bach(FAJ会員)

【※参加者数(会員)】  69名

【※参加者数(一般・見学)】  48名

【※本テーマの主目的・検証したかったこと】  

・組織・チームの意思決定をよりよく行うための理論・原則をともに学ぶ  

・従来のやり方と違うフィンランド式ファシリテーションを体験/体感する  

・対話を深め、未来を創造するメソドロジーを検証する

【※主目的・検証したかったことについての実施結果】  

・理論・原則を惜しみなく公開してもらい、解説した結果、理論・原則を理解することはできたので、目的は達成した。

今後それぞれのファシリテーションの現場で活用するためには、さらなるトレーニングが必要と感じた。  

・1月の定例会の反省点「フィンランド式と従来の日本のファシリテーションの違いがわからない」という点を意識して、Pepeさんには、「誇りをもって盗む(Steal with pride)」「発散(Divergent Thinking)から創発(Emergent Thinking)へのチェンジ」を強調してもらった。結果、参加者の多くはその違いに気づくことができた。

ブレイクアウトルームやチャットで一人ひとりの気づきからそのことを実感できた。  

・何度もメンバーを変えて行われるブレイクアウトルームでの対話を通して、アイデアログのメソドロジーの有効性は証明された。

これは、2018年大阪で行われたIAF Asia大会ですでに発表済みである。

【※実施内容(非参加者にもわかるように)】  

・ファシリテーションの歴史を振り返り、グループでの意思決定に関する課題を明らかにした。自分の体験をペアで話した。

・『フィンランド式ファシリテーション』基本ツールである「創発→収束」「CSAモデル」「アイデアログ(アイデア+ダイアログ)」について解説し、理解を深めるワークを体験した。  

・アイデアログの核を学ぶー3人で相手のベストプラクティスを誇りをもって盗むための対話(話す・聴く・深める・ 発展させる)を行った。  

・Idealogueメソッド「課題の明確化」→「解決策の合意」→「行動の決定」の解説  

・グループでの意思決定(解決策)の課題解説  

・ファシリテーターのコア コンピテンシー解説  

・終了後、参加者からの質問に1時間答えていただき、PepeさんとMaxさんに心から感謝します。

【企画側の気づき】  

・アイデアログの核を学ぶためのワーク「あなたのベストプラクティスは?」は、案の上、物議をかもした。 「何についてのベストプラクティスか?」 「何でもいいです。料理のしかたとかちょっとしたことでいい。」と言ったが、「それでは共有できない。ファシリテーションに絞ったらどうか?」と言われ、「それでもいいです。」と答えた。 このやり取りが最初のストーミングだった。

しかし、私のブレイクアウトルームでは、「この対話は相手のベストプラクティスの目に見えない部分(アイスバーグモデル)を根掘り葉掘り聞いて共有することなんですね!」という理解で一致したのがうれしかった。

まさにPepeさんの著書「BEYOND BRAINSTORMING - Idealogue」の本質に触れた瞬間だった。  

・なかなか理解ができない人には、体験して違和感を感じてもらうことが一番と認識していたが、それだけでは不十分と感じた。日本人の自己肯定感や日本人の底力を発揮するためには、「日本という方法」(松岡正剛)についても研究してみたい。遣唐使や明治維新で行われた海外文化の日本流の取り込み方に学ぶ必要があるだろう。  

・ファシリテーションが一部の人の固有技術ではなく、全ての人が使える考え方になることの重要性を再認識した。フィンランドで小学生がマインドマップを学んでいるように、日本ではファシリテーションを学ぶといいなと思った。  

・フィンランド式ファシリテーションのリーダーであるPepeさんのファシリテーターとしてのビーイングについても学ぶことが多かった。どんな質問が来ても真摯に向き合い、決して次に進もうとしない、その姿勢には強く心を打たれた。  

・このような学びを深めたいため、企画チームに入りたいという人もいたが、今後は企画チームメンバーを広く公募することも必要と考える。「やってみればえーやん」の精神で。

【参加者の声】  ・講師の方や他の参加者からの知見が得られ、有意義な学びの場になりました。  

・企画キーワードに「合意形成」がありましたが、今回のメソッドがどう繋がるのか良く見えない感じがありました。内容自体はとても良く有意義な場を提供くださり感謝しております。  ・Stealingの言葉選びに文化の差がある点を考えさせられました。  ・事前に共通認識を確認しておくとさらに良かったと思います。  

・同時通訳が悪いわけではないが、少しでも事前資料が欲しかった。なかなか理解が難しかったので  特に、学んだこと、今後に活かしたいと思われたこと:  

・定例会の企画チームに参加してみたい。, ファシリテーターとして参加してみたい。, 運営委員会に参加してみたい。, どのような活動があるのか、詳しく話を聞いてみたい。  

・今回はこのテーマがとにかく強すぎて他の4テーマが参加者集めに非常に苦労していたように思います。もう少しバランスの調整が必要かも  

・定例会の企画チームに参加してみたい。  

・溝がある/理解し合えない...と感じ合っている組織間や階層間で、ゴールを共有したり協業していくためにファシリテータができること

【※報告者】  大国兼道(FAJ会員)

【※報告日】  2021/4/5