2004年度11月定例会 まちづくりケーススタディ 〜部分最適と全体最適の調和〜東京支部

第13回東京地区研究会議事録

■日時 :2004年11月27日(土) 13:00〜17:00
■テーマ:「まちづくりケーススタディ 〜部分最適と全体最適の調和〜」
■場所 :日本経営協会(NOMA)研修室
■話題提供者:松下さん
■メインファシリテーター:石渡さん
■アシスタントファシリテーター:ピョートルさん、大川さん、喜多さん、野口さん、菅野さん、渡辺

(1)「生態カルタ」
  話題提供者である松下さんの「生態」についての20枚位のキーワードを、何人かの方に選んでもらい、それについて松下さんが解説をする。
eg.「スーツと大根」「イケメン」, etc...
   (⇒これにより、松下さんの大凡の"人となり"が分かってくる。アイスブレーク的効果。)

(2)事例紹介
  A市の中心市街地に位置する商店街振興組合のアーケード撤去検討に伴うコンフリクト(※)発生と、商店街を取り巻く関係者の対処について検討する。

(※)老朽化による崩落の可能性や、売却の際に高値で売れる目論見で、アーケードを撤去すべきと 考える商店主と、撤去に掛かる余計な負担増や、面倒なことには関わりたくないと考える商店 主の間で、コンフリクトが発生

(3)マインドマップ作成
  それぞれが、アーケード撤去に賛成する商店主、反対する商店主という立場になり、そのキャラクターについてのマインドマップを作る。そして、そのキャラ クターで(想像における)"自己紹介"をする。(⇒事例に登場する各主体のキャラクターを理解するのが目的)

(4)グループワーク
  テーマ:「どう全体最適を気づかせ、納得させることができるか?」という観点で、外部からきたファシリテーターという立場で、3時間×3回のワークショップのプロセスを実際にデザインする。
(⇒この段階では、上述のキャラクターを離れ、皆、外部から来たファシリテーターという立場で考える。この"切り替え"がうまくできないと、コンテンツの詳細に深入りしてしまい、プロセスデザインというファシリテーターの本分が疎かになってしまう、、、)
  アウトプット:?3時間×3回のワークショップの目的やプロセスのデザイン
         ?1回目のワークショップの詳細内容
         (これに加えて、(3)で上述のマインドマップ)
(5)グループワークプレゼン
   (発表例)※詳細は割愛
* ワークショップの目的を、「まちのにぎわいの復活」を合言葉に、商店街の活性化に置き、全体の利益は個人の利益を満たすことに気づかせることとする。
* ワークショップの目的を「商店街全体のVisionをもつことが活性化につながる」ことに気づかせることに置く
* 行動計画→あるべき姿の実現→(その結果として)売上○%UP

  (⇒3回の構成はそれぞれのグループで相違はあるものの、「現状(課題)認識」、「望まし  い姿の共有」、「具体的アクション案出」の過程を通し、"商店 街の活性化"という全体の  利益に目を向けさせること、その共通目的をもって、アーケード問題を住民自ら解決させ  ようとする、というアプローチは一様であっ た)
  (⇒「本音を語り合うためにお酒の席を設ける」「各回のワークショップで"宿題"を出す」「"傾聴 のスキル"のトレーニングをする」といった興味深いワークショップ案も披露された)

(6)グループワーク振り返り
  各グループでワークのプロセスの振り返りをして、アシスタントファシリテーターへフィードバックをした。
(振り返り例)
* コンテンツとプロセスの話で混同してしまった
* コンテンツの深みにはまってしまい、行きつ戻りつしてしまった。そんな時、ある人が「仮 置きで話を進めてみよう」と言ったことで立て直せた
 (⇒いわゆる「流すテクニック」)
* ファシリテーターが自分を出しすぎ。任せるところは任せるべき
* 時間配分の枠組みを、冒頭で設定すべきだった
* 時間配分はファシリテーターの頭の中だけでいい。厳格な時間管理は自由な発散を妨げ るのでは? 時間を感じさせないくらいの"遊び"があってもいい。
* それぞれの意見をつぶさない姿勢が良かった。一方で、もっとファシリテーターに仕切ってもらいたい局面があった。

(7)松下さんのまとめ(事例の結末紹介も)
  *個々の商店主との交流を通じて、必ずしも日ごろ商店街のことについて考えていないこ とに気づく。そこで、まずは「楽しくみんなで儲けようよ!」というメッセージを彼らに伝えた。
  *個々のお店がいかに儲かるようになるかは、個々のお店の自助努力の問題。それとは 一線を隔したところの「商店街としての繁栄」に皆の目を向かせることがポイント。(⇒松下 さんの造語「結果商業のまちづくり」)
  *ビジネスのツールをそのまま用いると確実に"ひく"。そこで、分からないように入れ込 むように した。
*共通目的、協働意欲、コミュニケーションの3つのポイントに心を砕いた。

(8)全体振り返り
  全体を振り返って、フィードバックがなされた
* 事前設定を欲しかった。(セッションの内容を事前にオープンにして欲しかった)
* 「いい質問ですね」という言葉はあまりいい印象を受けなかった。
  (では、悪い質問はある のか?)
* 「いい質問ですね」という言葉を聞いて、うれしさを覚えた。
* 厳しい時間の管理や、ルールの設定は、まちづくり系のアプローチとして不適切では?( ⇒松下さんコメント「今回はビジネス系の参加者が多い中で、敢えてそうした。いつもはそんなアプローチは取っていない。」
* ファシリテーションとコンサルテーションの違いを意識するのが大事では?
* ファシリテーションとコンサルテーションの違いはそもそも存在しないのでは?
* 1枚1枚ポイントを紙にまとめて示してくれたので分かり易かった。

⇒最後に、「中野さん方式」で一人一言、今の気持ちをA4紙に記し、共有した。そこでも多数の方のコメントにあった通り、(またML上で繰り広げられた通 り)話題の提供のみならず、一人の人間として、全身で今回のセッションに向き合って下さった松下さんに、心から敬意を表すると共に、御礼を申し上げたいと 思います。

生態カルタで素顔を披露する松下さん こうやればまちに賑わいが戻ってくるはず!
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