2009年度11月定例会 1.葛藤や対立をファシリテートする〜組織やグループの対話を促すワールドワーク〜東京支部

『葛藤や対立をファシリテートする 〜組織やグループの対話を促すワールドワーク〜』

■ 概要

みなさんの組織やグループでは、葛藤や対立をどのように扱っているでしょうか?
問題の根底に人間関係のもつれがあって物事が進まない、見えないところでの足の引っ張り合いがある、といった感情的な問題があるとき、適切に対処されているでしょうか?
ややもすると感情的なことが、何かよからぬことのように扱われたり、ないものにされたりしていないでしょうか?
その結果、組織の中に閉塞感が充満したり、ゴシップが横行したり、メンバーの一体感が損なわれたりしていないでしょうか?
今回の定例会では、このような組織やグループが抱える問題に対する対応方法のひとつとして、ワールドワークという手法を体験していきたいと思います。
例えば、ミーティングの場面で、表面上は理性的に話し合いが行われているようでも、テーブルの下では足のけりあいが起こっているとき、ワールドワークの手法では、この足のけりあいに焦点を当て、ロールプレイなどを用いながらファシリテーションを試みます。
ファシリテーターとして、日本人で9人しかいない認定プロセスワーカーの桐山岳大さんを大阪からお招きし、みなさんとともにワールドワークの世界を体験したいと思います。
 

■ ワールドワークとは?

 世界や社会に働きかけ、あきらめない事を可能にするプロセスワークの一つの形

 グループや組織が持つ問題という主題に取り組む方法。場にある全ての声や立場を歓迎し、遊び心を持ちながらコンテンツとハプニングを公平に大切にするワーク

 

■ ワールドワークにおけるファシリテーターのスキル

 メタスキル

  遊び心と好奇心、ユーモア  慈悲と忍耐  等身大の正直さ  エルダーシップ

 スキル

  複眼 ロールを設定し対話を創りだす ホールディング アクセス インナーワーク

 

今回はそのほか、ワールドワークの進め方、考え方等についてのレクチャーの後、実際にワールドワークを体験した。

 

■ プログラム

 

12:35〜   イントロダクション  今回の企画意図 関西支部合宿での実施について

12;38〜   ファシリテーターの岳さんから、アジェンダについて説明

       自分を知っていくことから始めていくという事をつたえ、身体緩めのワーク

12:42〜   深層民主主義について説明

       レクチャーとインナーワーク、その後体験をさらに意味づける事を行う。

       テーマは「聴いていない声を聴く」

       外の葛藤の声を聴く前に、自分自身の中の内なる声を大事にする。

12:50〜   2人組で自分のうちなる声についてシェアする。

13-02〜   プロセスワーク、ワールドワークについて簡単な説明

休憩

13:32〜   場を感じる

        Fが参加者とともに、この場の雰囲気を感じる

       対話の切り口になる話題を決める(ソーティング)

        12のテーマが出され、その中から「組織の中の困った上司」

というテーマが選ばれた。

       守秘義務があるという事を、グループの中で取り決めをした後、

       話題提供者の方の話を聴くことから、グループプロセスが始まる。

14:16〜   しばらく、会場と話題提供者との間で、事実確認などのやり取りが続く

14:35〜   この場や、やり取りされることに、特有のムードがあることをFが場に返す。

       ロールを立てる事の説明

       ロールを立てることでの安全性を伝えられ、極(対極的な意見や考え)が立つ。

   

   最初の極は、現状の維持を目指す上司のロールと変化を求める部下のロール

   そこでの対話が始まるうちに、やがて上司だって大変な思いをしている事が吐露される。

   そこでもう一つのロール、そんなに大変なら許してあげようという物が生まれる。

   その後、過労死した人のロールが現れ、4者の対話が始まる。参加者はそれぞれのロールを行き来しながら、対話のプロセスが持続していく。

 

部下(変化をいとわない人というロール)と上司(こまったちゃんと最初に言われていたロール)のやり取りの中から、徐々に上司が今まで体験したことをシェアする事が出てきたり、今の立ち位置で十分一生懸命やっている事などがシェアされてきたりした。

それでも頑張って変化させたいという部下、そして上司も頑張っているじゃないか、みんな大変だよというもう一人の部下、そしてそういう軋轢にたえきれずに亡くなっていった仲間の声が入れ替わり出てくる。

それらの声にFは居場所を与え、参加者はそのロールをとって対話をする。この時、参加者は自由に各ロールを行き来してそれぞれの場を体験する。

また、時にそのロール以外の声が場に沸き起こってくる。

ここでは女性の声や、そんななら会社なんかやめればいいという声。

いろいろな声が出るたびに、Fがその声を捉えてはっきりとさせていく。また、その場の雰囲気を場に戻す事をする。

また、個人とロールを分けることを丁寧にしていく。

今回のプロセスでのキーワードは、助ける、助けられる、変える、変えられる。そしていろいろなロールが繰り返される。

15:55〜  3人ひと組で、シェア

16:15〜  全体シェア QA

 

 

Q ワールドワークは感情的なワークですか?

 感情的になる事を目的にしているわけではありません。今までとは違うチャンネルを使うという意味です。ですから感情に持っていくことが目的ではありません。しかし、感情や直感、身体感覚というものを大事にします。そういうものにつながることで、本音に気付けたり、言えたりするからです。

 

Q ワールドワークで問題解決ができますか?

 ワールドワークは、問題解決が目標ではなく、問題を丁寧に開いていくことです。

 

Q ホットスポットはどう取り扱ったらよいのでしょうか?

 ホットスポットだということが大切です。それが場に自覚を持たせることになります。そのままにしない事です。ただ傾聴するだけだと、見下されているというような感覚につながってしまうこともあります。

 

終了後、何か気分的に残る者のある人は、お申し出ください。

http://www.processfacilitation.net/