2018年4月定例会1『「事例持ち寄りシリーズ#2」ファシリテーションの最初の一歩の踏み出し方』東京支部

調査研究:東京支部 2018年4月度定例会

テーマ

「事例持ち寄りシリーズ#2」ファシリテーションの最初の一歩の踏み出し方

開催日

2018年4月28日(土)

会 場

台東区民館 第3会議室

ファシリテーター

飯島邦子、津田壮彦(以上FAJ会員)2名

参加者数(会員)

38名

テーマ詳細 プログラム内容 担当者振り返り 参加者コメントなど

【企画概要】
FAJの会員の中には、「ファシリテーションには変革の鍵がある!」と思って学び始めたものの、現場での実践・変革へのつなぎ方に今ひとつまよっている人もいるかもしれない。方や、課題は残しつつも、FAJでの学びはし尽くしたかな?そろそろ卒業かな...?と感じている人も、少なからず存在するかもしれない。
しかし、FAJには約1,700名のファシリテーションを学ぶ仲間がいて、それぞれの現場、それぞれの思いで奮闘していて、そこに実践事例という大きな学びの種が存在する。ファシリテーションの上達には場数が有効であるが、誰かの実践を見たり聞いたりすることも、場数になるはず。
そこで、自分の悩みは悩みとして抱えたまま、他の方の実践事例を聞いてみよう。違う現場、違う課題なのに、聴いて対話を重ねるだけで、自分の次の一歩が見えてくるかもしれない。
この定例会は、そんな場を定期的に開催してみよう、という繰り返しを意識した企画である。

シリーズ2回目のテーマは、『ファシリテーションの最初の一歩の踏み出し方』

ファシリテーションの最初の一歩に少し躊躇している方、やってはいるけど、自分のやってることを少し俯瞰して考えてみたい方に向けて、「失敗してみて初めて気がつくこと」「参加者の立場でも(だからこそ)できること」というテーマで二名の方に話題提供して頂いた。

【事例発表者】
田坂逸朗、加藤朝史(以上、FAJ会員)

【プログラム内容】
1.自分の課題を思い起こす
2.説明
3.事例発表(以下の内容を2回繰り返す)
  ・発表者による発表(15分)
  ・事実確認の質問
  ・聴いたことを自分で咀嚼
  ・周囲と対話
  ・発表者と自分へのメッセージを記入
  ・休憩&席替え
4.全体で共有、対話

【第1回からの主な変更点】
・発表者を3人から2人に減らして、発表時間を10分から15分に延ばし、ゆっくり話してもらえるようにした。
・2人にした分、それぞれの発表後にも全体共有の時間を設けると共に、最後のふりかえりでの全体共有の時間を長めに取った。
・ふりかえりの場での問いを3段階とし、「1)事例のポイントの抽出」「2)自分にとっての意味付け」「3)次の一歩を考える」という流れとした。
・発表資料については、配布をしないこと、撮影禁止であることをワーク冒頭で明確化した。

【変更に対するレビュー】
・発表者を減らし、個々の発表時間と、その後の対話の時間を長く取ったことは、最終的に参加者の明日からの実践に結びつけていくための考える、対話をする時間をきっちり取るという意味でも、良かったと思う。参加者からのフィードバックでも好意的なものが多く見られた。ただ、もっと事例を多く聞きたいという声も一定数あり。
・事例発表それぞれの後で対話の時間を取れたことは、いったんそれぞれの事例を咀嚼するという意味でも効果はあったと思う。フィードバックでも好意的なコメントがあった。
・ふりかえりの問いについては、「問う順序が1と2が逆のほうが話しやすかったのでは」「問いが大きすぎて話しづらかった」などの声もあった。
・発表資料の配布無し、撮影禁止については、参加者にも理解してもらえたと思う。

【参加者からのフィードバックコメント】
◯ここが良かった
・副題に合わせた人選が良かった。
・事例2つのバランス。
・最初の問いが、最初に問われた時と最後に問われた時の答えが自分の中で変わり、ワークを通して自分が得られたことが明確になリ良かった。
・全体的に余裕のある時間配分で、個人で考える時間も多めで深く考えられた。
・次に繋がる共有・ふりかえりの時間があったのが良かった。
・事例→ダイアログ→事例→ダイアログの流れが良かった。
・説明がわかりやすかった。
・事例を聴くだけでなく、はじめに自分の目的の確認があり、自分事として発表を聴くことができた。
・発表者二方とも話がうまかった。
・共通テーマ化(抽象化)があったのは良かった。
◯こうすればもっと良いのでは
・自分の課題を話す時間を取ったら良かったのでは。
・グループでの会話の時間が長く感じた ただの感想を言う場になりもったいなかった。
・ふりかえりの2つ目の問いが考えにくかった。
・時間的に可能なら事例の数を増やして欲しい。
・模造紙に書いた他のグループのをみることができたら良かったかも。
・前半メンバーチェンジが多くて、話が深まりづらかった。
・受付ドタバタ。
・最初から机があっても良かった。
・実践者が集まらないとワークが深くならない。
・HPでの案内が初心者向けなのかベテラン向けなのかわかりづらかった。
・約束事・決まりごとが多く、少し堅苦しく感じてしまった。

【企画振り返り】
◯企画の意図とやってみたことの意味づけ
・そもそもの企画趣旨として「このような発表の場があることで、実践する人を応援する」「発表してくれる会員を"受け手"から"提供者"に変える」という狙いがあったが、二人の発表者ともこのプレゼンが自身の実践を丁寧に振り返る機会になり、とても良かったという声があったことからも、そこは達成できていると思う。
・また、事例を聴くということへの参加者ニーズは、今回の申込状況を見ても、一定のニーズがあることは間違いない。しかし、企画の意図としては参加者に実践に結びつけてもらいたいと考えているので、そのための発表事例、参加対象者、ワーク内での問いのそれぞれの設定については、今後も引き続き検討していきたい。
・この企画を繰り返すことについては、「枠組みさえ組み立てれば永遠に展開できそうな繰り返しネタ」というそもそもの狙いもあり、今回の発表者からも、繰り返しすることへの意義や、是非発表者側になりましょう、という声かけもあったことから、繰り返し実施の意義は大いにあると思われる。
・反面、「同じプログラムだと飽きる」、「色々な事例の"持ち寄り方"があるのでは」という声も出ているので、そこも継続的に検討していきたい。
◯内容について
・テーマ設定「最初の一歩の踏み出し方」と発表内容との事前の摺り合わせは意識的にやった結果、発表者のプレゼンもわかりやすく、参加者も話が聞きやすかったのではないかと思う。
・前回の振り返りを踏まえて、ワークの最後に今回のテーマで気づきを抽象化する問いを入れた。事例テーマを設定する場合には、この抽象化が重要であることにあらためて気づいた。
◯プログラム構成について
・発表時間は今回のように15分あったほうが(実際には田坂さんは更に5分延長)話す側も聞く側も余裕を持って取り組めた気がする。
・発表者2名にし、時間に余裕をもたた分、個々の発表後の全体共有の時間や、発表者との対話などの時間も取れたのは良かった。
・ふりかえりでの問いの中で、自分の気づきへの意味付けから次の一歩を考えるということは、今後もこだわっていきたいところであるが、どういう問いにすることでグループでの対話をより促進できるかについては再考したい。
・事例発表時は周りとのバズ中心(そのために机はなしで、多様な人と話をするために発表のたびにシャッフル)、ふりかえりの際はグループでじっくり(机を出して、席替えもせず継続的に話をする)という狙いでのレイアウトとしたが、特に前半の机無しと席替えについては否定的な意見もあり、場作りについては改めて考えたい。
〇運営
スタッフが少なかったため、話題提供者の方や参加者の方に受付や場づくり等、手伝ってもらい、とても助かった。

報告者

津田壮彦・飯島邦子

報告日

2018/5/12