2019年2月定例会2『場づくりワークショップ~あなたはこんな会議室でどんなことができますか?~』東京支部

調査研究:東京支部 2019年02月度定例会

テーマ

『テーマ2:場づくりワークショップ~あなたはこんな会議室でどんなことができますか?~』

開催日

2019年02月23日(土)

会 場

スクエア荏原 イベントホールB

講師・ファシリテーター

小西 力哉(FAJ会員)

企画運営担当

箱チーム (以上FAJ会員)

参加者数(会員)

10名

一般・見学者数

0名

テーマ詳細 プログラム内容 担当者振り返り 参加者コメントなど

あなたの会社の会議室では活発な意見はでていますか?
それはなにが影響していると思いますか?

ファシリテーションの4つのスキルの最初に場のデザインがあり、その理由として場は話し合いの意見の出やすさに影響すると考えられています。

今回はレイアウトを含めた場に与える影響要因を考え、ファシリテーターとして
どのような場のデザインができるのか、模擬会議を体験していただき、実際の会議においてどのような工夫ができるのか、考えて持ち帰るワークです。

ゴール
•レイアウトの効果を実感しつつ、実際の固定レイアウトで場作りのヒントを得る。

Agenda
ワーク1 レイアウトの違いが場にどう影響しているか
ワーク2 レイアウトが固定された場での工夫
•全体振り返り

対象者
会議の場づくり(場のデザイン)に興味のある方

企画キーワード
場作り・会議・ファシリタティブ

参加者の声】
<よかった点>
・全体として細かく計画されたワークショップ(定例会)であった。
・前半のワークショップでレイアウト設定の効果を実感できた。
・後半のシナリオ「大企業の営業部と商品開発部の戦い」は内容がよく練られていた。
・MFが定例会の合間で進行内容を理解しているか確認してくれて、分らないことを質問しやすい雰囲気でありとても良かった。
・休息が適度に設定されており、休憩中にワークの内容を議論や自分で考えることができた。

<改善点・次回への課題>
・それぞれのワークで出された問いを見えるように貼り付けておいて欲しかった。
・前半は場づくりのパラメーター(要因)としてレイアウトではあるが、議論のフェーズが発散・収束・合意形成があったため、議論のフェーズの影響がないような条件(例えば、発散のみで様々なレイアウトを体験)でワークをやってもよかった。
・後半のワークにおいて、①営業部と商品開発部の対立を解決するワークなのか、それとも、②場づくりのアイディア実行を考えるワークなのか、どちらかがわからなかった。
・後半のワークの作戦会議の際、議論する会場がイメージできておらず、どのような場づくりが可能かを考えて議論することができなかった。コの字ではないレイアウトでも良かった。
・後半のワークのシナリオは登場人物の性格なども影響してくるため、できるだけ不確実な要素を減らすべく、登場人物の性格などについてあらかじめ決めておいた方がよい。
・後半のワークで場づくりをしようにもホワイトボードが使えなかったのは影響が大きかった。
・後半のワークで一度対立を経験して、その後、振返りをして、改めてワークをするもの良かった。
・後半のワークのシナリオの設定はヒエラルキーがあり、ファシリテーションが使いにくい設定ではないか。フラットな組織の方が場づくりのファシリテーションには適していると感じ、そのためにはCSR、町内会やボランティアの会議のシナリオ設定がよかったのではないか。

【MF振り返り】
「レイアウトの効果を実感しつつ、実際の固定のレイアウトで場づくりのヒントを得る」というゴールを目指し、比較的長い時間の企画であったが、10名の参加者と3名の企画スタッフの協力を得て、ある程度は達成できたのではないかと感じた。

定例会の前半では、2グループに分かれ、レイアウトの違い(扇状、アイランド型、サークル型、コの字型)を参加者に体験してもらい、レイアウトを設定することによる効果とその影響について参加者に実感してもらうことができた。

後半の固定されたコの字型のレイアウトでは、「大企業の営業部と商品開発部の戦い」という対立の場のシナリオ設定がなされた。営業部と商品開発部のグループに分かれ、固定された半分閉鎖されたコの字型のレイアウトにおいて、合意形成の難しさや場づくりの課題について考えてもらうことができた。

MFとしては、定例会の進行中、設定されたプログラムに沿いつつも、参加者の反応の確認と企画スタッフの相談を通じ、状況に応じてある程度柔軟に休息を含めてプログラムを修正し実施することができた。

定例会のプロセスの振り返りでも多くのフィードバックがあったが、特に後半のプログラムを中心にゴール達成に向けて改善点が多かった。事前準備では改善点に関係する内容が出ていたものの、フィードバック・セッションによりそれが明確になり更に貴重な視点が得られるなど、非常に興味深かった。具体的には、①「場づくり」の定義検討の段階、②企画の段階、③実施の段階で今後は改善が必要だと思った。

①「場づくり」の定義検討の段階は、まず「場づくり」をどこまで考えるか、例えば、会議室のレイアウトに加え、場づくりに影響する要因、具体的には、ワイトボードや付箋などの備品、OARR(会議の目的・アジェンダ・役割・ルール)の設定、議論の内容・性質、参加者の構成・役職、参加者の性格、お菓子や休憩などの有無などが考えられる。定例会でどこまで実施可能かを考えつつ、レイアウトに加え、これらの要因をこの定例会では定義としてどこまでを含むか含まないか、それぞれどのように操作可能かについて議論を深めておくことが重要と感じた。

②企画の段階では、限られた事前の準備時間・体制、制限のある定例会の会場や時間の条件の中で、操作可能な要因の取り扱いについて、固定された場づくりでどのように考えヒントを得てもらうか、そのための参加者への問いと予想される答えは何か、問いの提示やシナリオへの組み込みをどうすべきか、それを参加者にどのような段取りで関わってもらうかになどについて、より深く考える必要があった。また、企画の段階で、定例会を実施した際に、参加者のアウトプット(途中で作成したメモや口頭での発言など)をどのように定例会中に共有し、最後にどう回収するか考えておいた方が良かった。

③実施の段階では、企画された効果が得られるように、問い模造紙に書き貼り付けるなど明確に参加者に示し、参加者の様子を観察しつつ、気づきのヒントとなる追加の問いを提示するなど工夫して実施していくことが重要。また、当たり前ではあるが、企画の段階で効果を得るデザインが明確でないと、企画以上の効果を得るのは通常は難しいと体感できた。

最後に、MFとして初めての経験であり、定例会の目的を達成するために、企画側がどのような準備と努力を行っているか、定例会中にファシリーターがどう感じているか、参加者やプロセスをどの程度観察可能でどこまで介入可能か、企画メンバーで協力し合い事前準備や当日の役割分担を進めていくか、参加者や企画メンバーのフィードバックをどのように引き出し受け止め今後の企画に生かしていくかなどについての経験と今後のヒントを得ることができたと感じた。改めてご協力して頂いた参加者・企画メンバーに感謝したい。

報告者

小西 力哉、干田尾恵子

報告日

2019/03/10