2024年1月定例会レポート テーマ3『「わかりあえない」からはじめるファシリテーション~対話編~ ~~合意形成を越える~~』東京支部

調査研究:東京支部 2024年1月度定例会

テーマ3 定例会『「わかりあえない」からはじめるファシリテーション~対話編~~~合意形成を越える~~

開催日

 2024年1月27日(土)13:00~17:00

会 場

 かつしかシンフォニーヒルズ別館 会議室(ローレル)

ファシリテーター/企画運営担当

 ファシリテーター:山口千咲・久木野勉(FAJ会員 東京支部)

参加者数(会員)

 6

一般・見学者数

 0名

テーマ詳細 プログラム内容 担当者振り返り 参加者コメントなど

【本テーマの主目的・検証したかったこと】
個人カウンセリングで扱う個人心理と、家族療法などのグループ心理は、フラクタルであることはよく言われるが、その理論を学んで、プロセスワークのようにグループダイナミクスを取り扱うファシリテートに応用するには、学びと実践に長い時間がかかる。
そこで、セラピーを部分的に体験いただく実験を行うことで、自分が直ぐにグループファシリテートに応用できることはないかを、その体験から見つける体験学習プロフラムを作成した。
グループセラピーを部分的に体験することは、グループファシリテートのヒントを掴むことに有効か?
有効性があるなら、プログラムデザインをどのようにブラッシュアップしてゆけばよいかを検証する。
【主目的・検証したかったことについての実施結果】
フォーカシングとして、個人の内省からグループセラピー(ロールプレイ)へとグループサイズを変化させ、参加者が「自分が本当に望んでいること」を感じ取り安くするとともに、段階分けがあることで、段階ごとにどんなことが起こったかを見分けやすくするプログラムデザインとした。
それによって、「自分が本当に望んでいること」を感じ取ったときの感覚の変化(気づき・キャリーフォワード)が起こる場の体験を提供できた。
しかし、その体験から、自分がファシリテートするときに直ぐにできる応用例を見つけることは難しかったかもしれない。実験後の対話で、応用例に関するシェアはなかった。

【プログラム】

①チェックイン:自分の中の声をきき始める(ペアで「今の感じ」をきき合う)
②準備ワーク:自分の中の多様な声をきく(いくつかの声を、他者の助けを得てきく)
③主ワーク:個人の葛藤(多様な声)を、ロールプレイ(グループセラピー)で取り組む。
 個人の葛藤「Aがいいかな?」「Bがいいかな?」という事例を、他の参加者が分担して「A」の声、「B」の声を代弁するロールプレイ
④ロールプレイで起こったこと(葛藤があった個人の感覚が、何によって変わったか)を題材に、グループをファシリテートするときにできることについて対話
【アンケート結果】
・テーマの満足度 ★★★★☆(4.3)
・ファシリテーション・進行について ★★★★☆(4.0)
・プログラムの構成、内容について ★★★★☆(4.3)
 
【参加者の声】
・NCVのことを知る機会となり、feeling シートが参考になりました。
 
【企画側の気づき】
ワークショップ募集では実験による体験学習としていたが、参加者は研修型のプログラムを求めていた可能性がある。インストラクションに関して、何を学習転移するように行えばいいのかという観点の質問があった。
改善点としては、習慣的に研修型で行われるだろうと心理準備をしている参加者が一定数いることを想定して、体験学習型の心理準備に切り替える導入を丁寧に行う必要があった。実験からそれぞれの気づきを持ち帰るモデルの提示を導入段階で1ワーク行う必要がある(午前中に開始)。
サークル(椅子を円形に並べる)の場合、中心の床にプログラムに関する物品を並べることが多いが、その形に慣れていない参加者に配慮して当日柔軟に変更したが、今後は参加者層の文化習慣を尊重して、会場レイアウト・物品を変更する必要があるだろう。
【ファシリテーターの感想】
主ワークの時間に、複数参加者がご自身の葛藤テーマを提供してくださったおかげで、参加者全員でグループセラピー(ロールプレイ)に取り組めた。果敢な心理的チャレンジのおかげで、キャリーフォワードがどのようにもたらされるのかの場面を経験いただけたことは、ファシリテーターが何をしているのかを掴む大きなヒントと成りえる貴重な時間だった。心をオープンに取り組んでくださる方たちのおかげで、実験を行わせていただけ、感謝しています。

報告者

 前田卓也

報告日

 2024/2/14