2005年度11月定例会 ファシリテーションの可能性を求めて〜医療・福祉の現場へ〜東京支部

第23回東京地区定例会議事録

■日時: 2005 年 11 月 26 日(土) 13:00 〜 17:00
■場所:日本経営協会(NOMA)2F
■企画者:三田地真実(FAJ通称:野菜さらだ)さん、森上博司さん
■パネラー:(順不同)
  室林治さん(医師)、浦山絵里さん(看護師)、
  須藤彰宏さん(医療マネージメント)、月崎時央さん(医療ジャーナリスト)
■テーマ:「ファシリテーションの可能性を求めて〜医療・福祉の現場へ〜」
■活動概要
1.1 全体の流れ
   −三田地さんの挨拶
   −パネラーからのプレゼン
   −グループディスカッション

1.2 森上さんより背景情報
    医療の現場の関係者は院長、医局、看護部、副診療部(薬剤師)、事務(バックサポート)がいる。業種の異なる他民族プロ集団の一時的集まり
      →医療事故が出てきてしまうなどの可能性もある。
    医療と福祉間の問題、新しい価値観への抵抗 地域社会とのコンフリクト 医療関係者患者間などを考える必要が出てきている。

1.3 須藤 医療コンサルタント マネージメントとの立場から、
   「F 医療・介護業界への可能性」
     〜より良い社会システムとしての医療・介護サービスを作るには〜

 もともとは医者しかいなかった。(赤ひげ先生の時代)必要に応じて機能分化して薬剤師、検査技師、看護し、療法士などができたが関係者間の連携が必要である。
 患者を「患者様」というだけで顧客視点にたてるのか。患者、経営層、医療従事者の△のなかで考えていたことを、より広い家族、行政 、市民など多くのステークホルダの中で共同を図るのかが今後の課題である。

1.4 浦山絵里さん
   「今なぜ医療現場にファシリテーションなのか?」
 看護師のおかれている環境、医療事故の発生した現場など過酷な状況に看護師はいる。そのために自律した医療チームを作る目的でファシリテーションがあると思う。
 周囲の「看護師、注射も夜勤も掃除も洗濯もできる便利な人材」というイメージも是正する必要がある。
 看護師になりたての人にはリアリティーショックがありその対応が必要である。

1.5 室林治さん
   「医師とファシリテーション」
【医学教育と地域医療】
 良い医師とは何か。これは患者、看護師、医局など立場によって異なるが、今後、プライマリ・ケア、社会的役割などの側面が重要になってくる。特に慢性期医療としては地域と連携して行わなければ医者/病院、患者としても立ち行かなくなるケースがある。
  ・社会が望んでいる医師とはまず「人の話が聴ける医師」であるはずである。
  ・医療教育の環境整備が急務である
  ・他職種の共同
  ・院外リソースの利用
  ・医療環境を改善するためにはまず、医師に働きかける必要がある
    (医者が決めている部分が大きいので)

1.6 月崎時央さん
   「精神保健福祉とファシリテーション」
 国内の医療現場アイ外と比較して劣悪な環境にあるが、その中でもは精神科の現場は厳しい状況にある。
 家族/関係者と医者の間には相互に誤解があり、それにより適切な医療が行えないことがある。
 また医療の進歩・社会情勢の変化から、精神病院の役割も変化しつつあり、対応を迫られている。

1.7 三田地さん
   「ファシリテーションの手法を使った、大学病院リハ組織改革の実践」
 以前の職場より依頼があり、行ったことがある。「ファシリテーション」を現場が知らなかったこともあり、当初は反発を受けた。
 いろいろ手を打つことで、現場改善のプロセスが自律的に動き出すようになった。教授にも色々言うようになった。私のファシリテーション像は「場つくり仕掛け人」である

2.詳細
2.1.三田地さんよりご挨拶
 医療現場と福祉の現場からスピーチセラミストをしていた。FAJの東京支部は7割近くがビジネス系と聞いているが、ヒューマンアプローチが色々な世界で言われている。パネラーから素朴な疑問を投げかけていただき、英知を集めたい。
 今日のスケジュールは最初パネラーが問題提起する
 森上さんが医療現場の現実を背景情報としてだす。

2.2.各パネラーからプレゼン
・須藤彰宏さん 医療コンサルタント マネージメントとの立場から、
 「F 医療・介護業界への可能性」
 〜より良い社会システムとしての医療・介護サービスを作るには〜
・浦山さん 看護師 現場でFがこれだーということで生々しい話をしていただく。
・室林さん 医者の立場から医師の教育という立場現場から
・月崎さん 医療ジャーナリストの立場、当事者の立場 医療現場にかかわった。
・三田地さん 医療現場でのファシリテーションの経験について

2.2.1 森上さんより背景情報
医療コンサルタントの肩書きで病院のコンサルタントをやっている。一見解として今日の話をする。
【病院組織の特徴】
 ?国家資格を持った専門家たちの集団でお互いの専門領域を尊重しあっている。
 ?独立性が高いため、たてのつながりに比べてよこでの問題に無関心の傾向
 ?大学の医局が医師の人事機能を持っている。病院ではなく大学を見てしまう独特のヒエ  ラルキー

【一般的な病院組織と特徴】
            院長
            │
┌───┬───┴─┬────────┐
│     │        │            │
医局  看護部   副診療部(薬剤師)   事務(バックサポート)
(大学)

・医局 人事権を持っている大学の方を向いている人もいる
・看護部 忙しいために一所懸命であり全体最適化の視点が抜けることも
・副診療部 医局や看護部の言うことを聞くだけの公務員的無力感
・事務       (同上)
・院長 医師としての腕は確かであるが、マネッジメントに関しては素人

業種の異なる他民族プロ集団の一時的集まり
   →医療事故が出てきてしまうなどの可能性もある。
医療と福祉間の問題、新しい価値観への抵抗 地域社会とのコンフリクト 医療関係者-患者間などを考える必要が出てきている。

2.2.2 須藤 医療コンサルタント マネージメントとの立場から、
 「F 医療・介護業界への可能性」
    〜より良い社会システムとしての医療・介護サービスを作るには〜
 創発 何かが得られたらいい。
 FAJ 何かを提供できたらいいのではという風に思いはじめた。
 何かを分かち合い外に向けて発信の第一歩とする。
 
 【組織開発】
 医療介護の課題の複雑さについて説明する。
 手技専門性 職種専門性 職種区分 サービス機能 患者ニーズ

 【職種区分】
 医師が赤ひげ的立場からスタートしてそこから機能分化して薬剤師、検査技師、看護し、療法士などができた。
 医者とそのほかの役割とのあいだで情報共有がされているのか。
 医師同士でも、患者の事を話し合えるのか。
 流儀の差、価値観の差により変わってくる。
 一つの話をするときにその分野では正しいかもしれないが他の専門分野では成り立たないかもしれない。どの側面から考えるのかをはっきりさせる必要がある。

 【業界共通の課題】
 -機能分化による統制調整の複雑化
 -制度の制約
 -問題解決手法の固定観念

 【組織の支援者として何が必要か】
 ?事業経営層
 ?医療従事者 横方向 自分たちがどこまでやればいいのか 上方向の患者との接し方
  資格制度があるので転職が楽なためひとところにとどまって組織改変に取り組むのが難  しい可能性がある。
 ?患者・利用者
  わかりにくい制度のしくみ 選択肢が少ない。

??は内部の問題。?は患者を巻き込んでの問題であるが、???切り離せる問題ではない。外部の支援者、 内部の対人援助担当者、当事者誰がどんな方法でやるのか。

【患者の視点】
 どう考えるか。
患者思考は市場思考であるのか。患者様と呼べばすむことなのだろうか。医療費の負担は患者だけでないので単純な顧客視点ではないはず。国民全体の視点でも考える必要がある。慢性期医療はどのような生活をしたいのか、受け手ではなくプロセスであるので状況に置いて考える必要がある。

【社会システムを変革する「力」】
医療介護を作っていかなければいけない。
現在持っている不満を、情報化・グローバル化・規制緩和にファシリテーションを加えて新しいものを作っていくソーシャルイノベーションを行う必要がある。
 システムというのは複雑であることを踏まえ、無駄な事を除去していくことを考える。

 不満に関しては、患者、経営層、医療従事者の△のなかで考えていたことを、より広い家族、行政、市民など多くのステークホルダの中で共同を図るのかが今後の課題である。

《質問タイム》
・コメント
マクロとミクロの視点を組み合わせている。須藤さんは両者のつながりを考えている。
・質問
 Q:MSW:Medical Social Workerとは何でしょうか。
 A:転院の相談、制度の説明等を行う職種よく似た職種としてPSW:精神科Social Worker
  があり、心の相談等を対応している。
・質問
 Q:ファシリテーションとして何が問題か。一般社会とどう異なるのか。確かに医局は難しい  が。
 A:社会システムとしてどう運営していくのかの視点が必要になってくる。医局以外には保  険報酬によって制限があることは異なると思う。あとで議論していきたいと思う。

2.2.3 浦山絵里さん
「今なぜ医療現場にファシリテーションなのか?」
本で読んだ知識と現実が繋がらない点をもどかしく思ってきた。なんでFAJに惹かれてきたのかをしゃべればいい、と今日は思ってきた。

【看護師の仕事】
診療の補助療法上の世話
生活を支援する専門職であると考えている。
 「白衣の天使が苦痛であるという話をしたら、コーチングに「そのような想いを持っている人の下で働いている人はどう思うのか」
というなげかけをされた事がある。今日に至るまで答えが見つからない。先ほどの話で看護師は組合的な見方をするといわれたが実体を見ていただきたい。
-看護師数の比較
国内
A大学 0.92人/床
B地域病院 0.68人/床
これは夜昼休日まで含んだ数値であることを留意いただきたい。
100床あたりの人員で比較すると、国内は米国・ヨーロッパから比べると数分の一しかない

【どういう病院にいきたいか。】
-優秀な医師
-最新の医療機器
-医療費の高い、低い
-家の近所
-大きな病院
-評判のいい病院

 より良い環境を作るためにはどんな風なケアを看護師としてやっていきたいか。
人材育成として考えたとき、せいぜい22,3歳の若い看護師が「患者の死」に会いながらどのように育っていくのだろうか。看護師と患者の関係は1対1とのコミュニケーションから始まったはずだが。看護師と年齢差のある患者、若い医師との関係、権利意識の側面。センセーショナルな報道として医療事故が報じられると、親としても心配になってくるようだ。
 →看護師になる人が減っている。

【自律した医療チームを作るために】
コーチング(目標管理)を取り組んで。

 看護チームで仕事をしている。25-30人を数グループに分けて3交代を行っている。グループで行うのならばグループコーチングという形になる企業で言うのならば小集団活動のようなものであり、1年間工程表を作って対応した。

公立の病院にでて行っていたが大きな問題にあたった。
・ボトムアップに期待する上層部。
 でも実際はトップダウンで動こうとする。権限をもてない現場。職位の沿った話をしないと進 まない。「看護師、注射も夜勤も掃除も洗濯もできる便利な人材」というイメージでしかなか った。

・看護ケア病棟の立ち上げグループでの話。 委員長がしゃべると他の人が何も言えなくなる。持っている経験を言語化することで新しいものができないか。 自由に発言できる場を作りたいと思った。看護師は人員的には多い職種。発言力をつければすごいのではないか。
  →もてる力を活かす組織改革。
  →住民を巻き込んで新のチーム医療に結び付けたい。

-二つの病院を経験してみて
 ビジネス分野と医療の現場は異なるのか。公立私立の違いなのか、地域の違いなのか整理できていない。

【ファシリテーションの導入】
看護の現場になぜファシリテーションを導入したいのか。
-ここのスタッフ人員育成のためのF
-患者QOL(Quality Of Life)向上のためのF
-看護師チーム内のF
-患者会運営のためのF
 ・・・・・・・

【看護師のケア】
 ちょっと様子がおかしいのでどうしたのというと尋ねてみると、「次の日やめます」ということが多い。学生時代に思い描いていた世界と現実との乖離、リアリティーショック(☆_◎
;)!もあると思う。根性でやっといけといわれた、われわれの世代では的確なアドバイスができるわけではないが。

大学病院 自由の分に気があった。
公立病院 タイムスリップをした感じ。公務員としての立場を守りたいという雰囲気もある。
      のりは若い人のほうがいいが、成果としては年行った人のほうがいいと思う。

2.2.4 室林治さん
「医師とファシリテーション」
医学教育と地域医療、ポストグラディエーション、地域医療振興に携わっている。

【良い医師とは?】
 立場によって異なるはす。患者、医師、看護師、病院、地域によって理想像は変化するはずである。

-厚生労働省の考え、臨床研修の基本理念
『専門治療も大切であるが、社会的役割を認識して、プライマリ・ケアを大切にする。』

真意氏臨床研修の基本3原則
?医師としての人格を涵養
?プライマリ・ケアの理解
保健医療福祉を包括して、住民地域に立脚して日常的なケア
?アルバイトせずに研修できる専念できる環境を整備
(研修医の給料はたった3万円。アルバイトしないと食べていけない)

【家庭医】
・行きやすい
・患者さんと継続的に
・利用可能な資源を探し出し、招請し、有機的に動き出すように働きかける。
・地域で生活する人と捕らえる。エリア全体の問題として捕らえる。
・患者の背景を重視する。

【地域社会との連携の必要性】
・プライマリ・ケア地域医療は大事
 専門医から見ると低く見られていた。
 →研修制度の変更により、2年間ローテーションするようになり最近はちょっと変わってきている。

・社会における意志の役割を強く意識する必要がある。
 医師の活動は病院内でという固定観念に縛られている人が多い。
・他職種、地域住民との共同が求められ手いる。
 気がつき始めている人はいるが何していいかわからない。

【ケース】
ALS(筋萎縮性側索硬化症:車椅子の物理学者のホーキンスも罹患しているので有
名になった病気)だんだん筋肉の働きがなくなってくる、 治療法もない、3-5年余命で人工呼吸器が必要である。でも! 病院は3ヶ月以上いられない。代わりに受け入れる施設もない。
 ⇒在宅治療にかけるしかない。
 - 医師だけ、病院だけでは対処できない。地域にいる多くの人の支えが必要
 - 利用可能な資源は何があるのか、ないものは代用できないのかということになると医  師や病院だけではできない。
  (停電だけで死亡に至る。非常電源のある病院は問題がないが地域社会では?)

【まとめ】
・社会が望んでいる医師とはまず「人の話が聴ける医師」であるはずである。
・医療教育の環境整備が急務である
・他職種の共同
・院外リソースの利用
・医療環境を改善するためにはまず、医師に働きかける必要がある
  (医者が決めている部分が大きいので)

《質問タイム》
 Q:プライマリ・ケア、ACCCCと昔の街医者との差は
 A:ほとんど同じであると思う。
  アメリカはそれを念頭にしてトレーニングしている。お産、外科までやらせている。国内で  はそのような意識がないので同じに展開できないが。昔と比較して洗練された意識と考  えてもらえばいい

 Q:オーストラリア人が国内で医者にかかる必要ができたときに、まずかかりつけの医者に  連絡して欲しいといわれた。これは意識の差だろうか。
 A:専属の医者にはじめにかかってから大病院にかかるというシステムになっている。

2.2.5 月崎時央さん
「精神保健福祉とファシリテーション」
【短いビデオ(患者の告白とただそれを聞くまわりの人の画像)をまずみる】
【月崎さんの原点】
 必要が生じて、「良い精神病院」を探したことがあった。
  ⇒でも、見つからない
   ⇒私はジャーナリストなのに。何かおかしいのではないかという問題意識が原点。

【精神病になる人の特徴】
・『非常にいい人(相手のことを思いやりすぎる)』
 「先生は忙しい、煩わしてしまっては悪い」
 ⇒正直にいわない、自分で勝手にコントロールする傾向もある

【家族・関係者の勘違い】
・「魔法の薬があるのではないか。これを飲めば一発でもとにもどれる」のような過大な希望
  ⇒この先入観が医者を使いこなせない原因に繋がる。

【医者の勘違い】
・『救済妄想』「私だけがこの患者を治せることができる。」
  ⇒人の話を聞かなくなる、皮膚感覚がなくなる
・医者の保護の必要性
 毎日、文字通り意味の通らない話を聞かされる。発作を起こした患者の悲惨な状況。
  ⇒医者自身も精神的バリアをもたなければやっていけない側面も。

【精神病院の役割の変化】
・精神のがんといわれた統合失調症(旧称:精神分裂症)は薬で押さえ込めるようになり、強制入院等の必要性は下がった。
 ⇒病院の役割の変化 "軽め"の治療(薬物依存など)への対応が必要になってきた。
  ⇒病院・患者・地域の関係性に改善が必要。

【連携の必要性】
・薬で改善したとしても
 ⇒患者が同じスタンスで、同じ現実に立ち向かえば
  ⇒同じストレス
   ⇒再発の危険
    ⇒"ケアインド"の必要性

【病からの復活に際して】
・劇症期にやったことを患者は覚えている。
 ⇒恥ずかしい、新たなストレス源にも。
  ⇒他の人の前で「言いっぱなし」「聞きっぱなし」
    (他の人は何も応答しない。ただ聞き入るのみ)
   ⇒患者にとって大変意味がある。

 
2.2.6 三田地さん
「ファシリテーションの手法を使った、大学病院リハ組織改革の実践」

【事例1】
ゴール
 「リハビリを365日稼動にすること。」

 以前勤めていた病院での話。非常に抵抗があった。コンサルタントとして依頼があったが、「ファシリテータ」として仕事を受けた。上の意思を押し付けるものではないという話をしたが、現場からはファシリテーションを知らないから、何のことかわからずに非常に反発を受けた。
 最初に、言いたいことをいえる場を作って、その意見の一部を上が実現したことから、状態が好転したモデルケースになる病院を三田地が見学・取材して持ち帰り報告した。その後、そのモデルケースのキーマンに来てもらって講演をしてもらう段取りも付けた
 はじめのうちは色々手を打ったが動き出して回ってきたので手を引いた。
 ⇒教授に皆さんは意見を言うようになった。

【事例2】
東京老人総合研究所
小金井市 市報にファシリテーションの募集をしていた。
一般市民からの公募。 私の妹が応募した。
5日間の研修を経て、選抜3名。
彼らのファシリテーション教育は中立性の強調が強かった。
行政においてはその必要性が高いと思う。

【三田地さんにとってのファシリテーション】
「学びと気づきと一歩前進をもたらす」場を作る、「場づくり仕掛け人」である。
『Narrative Witness of Illness』
やんでいることは2重に人間性を剥奪される。
 -やむこと、
 -病人として扱われること
→語ることで人は癒される。
 →語るとは相手との共同作業である。
一番要りたいファシリテーション 大事なのは「当事者」中心の考え方

《質問タイム》
・質問 当事者性について。 なぜ当事者は個人ではなくて、家族「ファミチュウ」なのか。
・回答
現代が特にそうであるが、基本的には家族・個人、同じ事であると思う。
家族抜きでは無理であると思う。

・質問 臨床予防のファシリテータとはどういうことか。
・回答
どうやって治療をやっていくのかを決めることのところ。
話は切らないとかあるようである。

2.2.7 全体質問
【To  浦山さん】
・グループダイナミックスを活かすファシリテーション
・QOLからのファシリテーション
誰を対象に何をやるのか。

回答
・グループダイナミックスを活かすファシリテーション
手ごたえあったが、グループ全体の質をあげるのかは今後の課題。
小さな塊でやる必要があるというところでグループコーチング。
ファシリテーションを入れればもっとうまくいったかも
・QOLからのファシリテーション
末期がんの患者。何を考えているのか。
 ある患者さん、喉頭がんの患者さん、「生きているという価値を感じないと意欲が出ない」
看護師との会話を通し。気管切開した患者さん、オカリナを演奏できるようにした。
子供に生き様を見せたい。入院中に演奏を実現された。看護師がいる時間が長いか
らこういうことが実現できた。
 そういう声を活かせることができればQOLを上げることができると思っている。看護師-患者からさらに外側に広めて、病院、社会で何ができるのかの立ち位置と思う。

【感想】
雰囲気として感じたのは医療従事者と患者、スーパーマンを期待している。
医療従事者の理想像を追い求めるのが関係を深める必要があるのではないか。
生身の人間の関係であるという視点が少ないのではないか。

【森さんの世界の違い】
ビジネス形を知らないのでわからないということがある。
・日本の医療は目に見えないところに金をかけない。
・地域との関係重視すべきなのに。
地域に出て行くと経営者とのコンフリクト。お金にならないから。
ビジネス的な視点と医療従事者の医療という点でコンフリクトを起こしている。

・須藤さん
 統制経済として決められているのが医療業界の大きな特徴である。決め方もクローズされており、透明性にかけている。報酬制度の決め方を議論する方向になってきている。どれにどれだけかけるのか、ということからあるべき医療制度の議論が始まると思う。
 何かをするときに点数がつくのかという議論になる。薬もゾロ薬を選択しやすくする仕組みが議論されている。
 インフォームドコンセプトにも点数をつけてインセンティブをつけようとするところが異なる。

・浦山さん
 看護の点数はほとんどない。ほんとにつかない。1500円/月しか入っていない。色々なことをやりたいとしても、看護師は経営が疎いという欠点もあって、企画しにくい。どこに行ってもお金が一緒である。そのことをどう判断するのかは別の問題であるが。
 今の制度では新しい制度に関しては点数をつける。ある程度行った時点で今度はやらない所にマイナスの点をつけるようにする。非常な労苦を押し付けられている医療者自身のQOLを考えることは宿題として持ち帰りたい。

・室林さん
 予防医療で外に出るのが好きであったが点数にならないからと断られた医療費として予防医療を行えば全体として地域負担が減るし実際として減らしているところもあるが壁にさえぎられた。病院の利益だけでなく全体としての利益を考えるようにするのはいいことだと思
う。
 シニアレジレント 3年目以降も研修医を募集するが、プライベートライフを充実させるということが入っていっている。そこが大切にされないと医者も患者といい関係ができない。

・月崎さん
 PSWが国家資格化された。点数につなげる事になった。 臨床心理士はつかないので
サービスをするだけでやめさせたところがあった。患者との断絶があったこともある。
 比較的自由に動いていたPSWが点数に組み込まれて逆に動きが悪くなっていたとこ
ろもある。有力な院長は目に見えないところに有能な人材を配置していることが多い。 満足
度も点数化できないが、何らかの形で気がつかせる、無駄ではないと知らせる、その仕組みをどう作るか。

2.3 グループワークでの意見、感想 (室林さんのグループの例)

各人が自己紹介を含めて意見、感想を表明した。
おもに在宅医療 家庭医 についてダイアログ形式で意見、感想を表明した。
  ・プライマリー・ケアードクターのいいところ悪いところ両方ある。
 ・地域に出て行ったときに聞きたい話、行政の話したい話が異なる。どうすれば調整が聞く のか。
 ・医師はグループ医療に関してあまり関心がない。何をしたいのか。
 ・療法としてのF,組織運営としてのF、プライマリ・ケア、医療相談の開かれた機関をどのよ うに作るのか。ビジネスとしてなりたたないのか。
 ・地域医療を関係した医療を考えるときに参加者の間で情報非対称性があるその中では チームビルディングが大切なのではないか
 ・利用可能な資源を在宅医療に如何に活かすか考えることが必要である。
 ・私の実家の地域はとてもよい設備を入れている。それでも患者をよく見ない医者が来た ときには隣村に行ってしまう。いい医者はいい設備に勝る
 ・プロセスに国民が参加するところにファシリテーションが使えないかということを考えてい る。
 ・専門性、地域医療のかかわり、ビジネスと比較して本当に特殊なのか、などを議論
 ・腑に落ちていない方法論に落ちていなかったが、方法論の参考になっているのではない か。全体を見るのも専門領域ではないか。

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