2007年度02月定例会 3.自然に触れた思い出を味わいながら、"ファシリテーターの『感性』"について考える東京支部

FAJ東京支部2月定例会第3テーマ報告



◆ 日時 :2月23日(土)13時〜17時30分
◆ 場所 :日本経営者協会(NOMA)
◆ テーマ :自然にふれた思い出を味わいながら、ファシリテーターの『感性』に
 ついて考える
◆ 企画 :樹月みき
◆ 議事録 :矢嶋綾
◆ 参加者 :15名(見学1名)
◆ レイアウト :いすを中央に円型に配置。BGM、香り付き

◆ プログラム

1. 導入

目的説明


今日のワークをするに至るまでの企画者の3つの思い。。。
? 「頭で考えた理屈ではなく、今、この場で私が感じることは何だろう?」とずっと問い続けてきた。
? 「無意識に感じ取っていることのバロメーターは何だろう?」
無意識に体が反応していたり、何かをキャッチしていても気がつかないこと。その「無意識」を「意識」してみることに、ファシリテーターのヒントがあるのではないだろうか?
? 「そのヒントは、自然に触れる体験にあるのではないだろうか?」

⇒「今日は、自然に触れたことを思い起こしながら、ファシリテーターの感性について考えてみましょう。」

進行説明


・プログラム全体の流れ
・今日のお約束:無理をしないで。探しすぎないで。
⇒「探しすぎると感じるよりも考えてしまうので、負荷をあまりかけないように、  
 無理をせず、のんびりといきましょう。」

ひとりひとことずつタイム


呼ばれたい名前、今日この部屋に入ってまず感じたことをキーワードで3つ、今日のワークに期待することをひとりずつ発表。
<部屋に入って感じたこと>
マイナスイオン、安心感、落ち着く、心地よい(部屋の色、匂い、音)、のんびり、和を感じる、なごやか、時間の流れが外と違う、少人数なので緊張する等々
<期待すること>
ゆったりとしたい、感じたい、寝不足なので寝ないように、リセットしたい、自分の感性を発見できたらいい、自分の五感・直観力のアップ等々

2. ウォーミングアップ:ナンバーカウント Part1


今日集まった参加者が、今どれくらい場を「感じる力」を持っているか実験した。
<ルール>
・1から順番に、みんなで数字をカウントしていく
・ひとりひとつづつ、数字をいっていく。言う順番はランダム
・最後までいったら成功!
・2人以上の声が重なったら、また1に戻る

⇒10回やった結果、一度も成功しなかった。(10までもカウントできなかった)

3. 「感性」と「思考」の違いについて考える


「感性」に意識を向けるため、まず「感性」と「思考」に対するそれぞれのイメー ジを共有した。
<やりかた>
「感性」「思考」からイメージする言葉を自由に発言し、それを模造紙に書き出した。
その際、それぞれの言葉をからイメージするペンの色を使用した(「感性」=オレンジ色、「思考」=緑色)。
<出てきた言葉>
「感性」:右脳、五感、六感、心、単語、本能、わくわく、楽しい、自分勝手、頭がムズムズする、外のものを受け入れる、今、感じること
「思考」:左脳、緊張、頭、時間がかかる、エネルギーを使いそう、めんどう、体の中でグルグルする、考える、フレームを使いたがる、過去、未来

4. 「無意識」に「意識」を向ける


私たちは、生まれてきたから片時も離れず呼吸をしているが、呼吸に対して無意   識でいることがほとんどではないだろうか。そこで、自分の呼吸に意識を向け、呼吸を味わうことに重きを置き、呼吸を感じてみた。(約2分)
<呼吸の仕方>
? 口からまず息を吐ききる
? 鼻からゆっくり空気を吸い、空気が体に入っていく感覚を味わう
? 吸ったら、すこし体全体に空気を満たす
? 口からゆっくりと吐いていく。空気が出て行く感覚を味わう

⇒呼吸を感じてみた感想:空気がおいしい、落ち着く、視界が明るくなった等

5. 感じ方の違いを知り合う 


  キーワードから連想する「感覚」に意識を向けた。
<内容>
? キーワードを聞いて、呼び起こされる「感覚」を各自味わう。(約1分)
? ペアになり、お互いにその「感覚」を伝え合い、感じ方を共有したり、違いを感じたりする。(約2分)
キーワード:山、遠足、自然
  <感想>
・キーワードから、まず具体的なイメージが浮かんだ。感覚はその後にきた。
・キーワードから連想するイメージが、自分と相手とで全然違うのがおもしろかった。(自分は広野、相手は身近な風景を連想していた) 
・体験によってイメージが違った。相手の体験を聞いてうらやましくなった。
・ストーリーとしても感覚としても思い出していた。
・キーワードを聞いて、自分は場面(あるワンシーン、ワンショット)が浮かんだ。それに対して相手は、動画(ストーリー)を思い浮かべていた。
・「自然」のキーワードのとき、目頭が熱くなった。BGMのせい?
・キーワードによって感じ方が違った。「山」のときは視覚的で、具体的な山(富士山)が浮かんだ。「自然」のときはイメージが漠然としていて、具体的な絵は浮かばなかった。
・いつもは具体的なイメージが浮かぶが、今日は「感じる」ことに意識を向けているせいか、感覚的なイメージ(香り、色等)が浮かんだ。
・今日はあえて「感じる」ことに意識を向けたが、難しかった。
・思い出すときって、知覚的なのか?感覚的なのか?

6. 自分の中の「自然に触れた感覚」に出会う


ここではさらに、「感覚」に深く意識を向けていった。
<内容>
? 部屋の中で、自分の居心地のよい所にいく。(イスに座る人、床に寝転ぶ人、壁に寄りかかる人、うつむく人、天井に頭を向ける人などあり。)
? ファシリテーターの(自然を連想させる)ナレーション、BGM(屋久島)を聴きながら、意識を「自然に触れた感覚」に向け、その感覚を味わう。

≪休憩≫

7. ナンバーカウント Part2


スタートから2時間がたち、参加者がどれくらい場を感じるようになったかPart1との比較実験をした。
<やり方>
第一回目と同じ。ただし、より「感じること」のみに意識を向けるため、目をつむって行う。

⇒その結果、2回目にして成功!しかも2回連続で成功した!!

Q. 問いかけ「なぜ今回はうまくいったのだろう?どんな違いを感じた?」
・Part2では焦りがなかった。
・Part1のときよりも、Part2では温度を感じた。
・Part1では、「気」が自分の周りだけ回っていた感じ。Part2では、「気」が部屋全体で回っている感覚がした。
・Part1では、この数字を言うぞ!とはじめから決めていた。Part2では、自然に自分の番だと感じたときに言っていた。
・一体感を感じた。

8. 今日を振り返って


全員が床に車座にすわり、今までの時間を振り返って感じたことや気づいたことを自由に発言。車座の内側に模造紙を並べ、ファシリテーターがその発言を書き留めていった。
  そして最後に模造紙を壁一面に張り、みんなで眺めながら、再度全体を振りかえった。

<ワークを始まる前に感じたこと>
今日は何するんだろう?、ドキドキ感、「典型的」な場を想像していた、静かな「間」がこわかった等
<今感じること>
緊張が取れた、安心感、休んでいいんだ、「場」が成長している、今は「場」を信頼している、「間」を待つことができる、一体感を感じる等々


<今日感じたこと、気づき>
○ ちょっとした「違和感」をつくることが、「場作り」のきっかけになる。
例)場所を変える(和室、屋上)、会議室の机をはずす(机は心理的な障害物)、ネクタイをはずす、あかり、匂い、人数、部屋の飾り、紙芝居、外部のファシリテーター=感情を受け止める人、食べながらなど

○自然を感じることで、自分を自然体にすることができた。

○場に対する信頼感が始めと後で違った。

○「ゆったり感」を良い意味で強制させられたことがよかった。
→心のブレーキが外れて、本音で話してよいという「安心感」が生まれた。
→かえって話し合いのプロセスを先に進ませた。

「ゆったり感」って?
→ゆったりしているけど、頭はストレスもなく回っている。ゆったりしているから「考えない」で話すことができる。
⇒ ○ 感性で話す
    × 感情で話す

○「みんなでひとつのことを達成した」(ナンバーカウント)ところから一体感が生まれた
 →達成感、チーム感がある、ひとりひとりが自発的になっている。

○ゴールイメージは大切だが、その前に、今ここで起きていること、今いる「場」を共有することが大事なステップ。

ステップ:価値観の共有⇒チーム作り⇒目標⇒ゴール!
価値観とは?→一体感。ここをないがしろにするとゴールにたどり着けない。
       自分の価値観とチームの価値観を並列にし、ひとつの価値観を
       共有する。

○ゴールが広い、プロセスにこだわっていないことが、場のエネルギーを引き出す。

○(ワークに参加して得る)「お土産」を、今日はそれぞれが、それぞれのお弁当箱に、好きなものを、好きなだけ、詰め込んで帰れる感じ。
⇒「お土産」がファシリテーターによって決められていない、でも思いの他収穫があった。

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