2008年度12月定例会 1.全脳で行うファシリテーションー ドラムサークルで、 あなたのファシリテーションの何かが変わる!!東京支部

【日時】

2008年12月20日(土曜) 12:30〜17:00

【場所】

会場:品川スポーツヒルズ

【参加人数】

テーマ1 会員:84名 見学:8名

【企画者名】

○ファシリテーターチーム────
橋田'ペッカー'正人、佐々木薫、酒井麿、伊藤治久、(以上、FAJ会員)
○企画チーム────
鈴木まり子、菊池秀雄、河村甚、田頭篤、小寺康史、中島美暁(以上、FAJ会員)

【概要】

ドラムサークル」をご存知ですか?
なかにはもう体験済みな方もいらっしゃるか知れません。
ドラムサークルとは、みんなが即興的につくりあげる
打楽器のアンサンブル(合奏)です。
現在アメリカで数多くの優良企業が「コミュニケーション」
「モチベーション」「チームビルディング」「ダイバーシティ」の
トレーニングプログラムとして取り入れて成功をしていますし、
またメンタルヘルスの分野でも多大な注目を集めています。
たとえば米国トヨタ。
本社ビルになんと専用のドラムサークル・ルームがあります。
詳細は下記参照ください
ドラムサークルファシリテーター協会
http://www.y-m-t.co.jp/dcfa/
DRUMAGIK
http://www.drumcircle.jp/
ドラムサークルでは、全脳を活性化させ、
右脳左脳の両方を縫う様に使いながら、
お互いの音を聴き合い、調和を創造していくプロセスや、
人それぞれがもっている個人のリズム、個性へ目を向けていきます。
非言語の表現、創造性、可能性に着目し、
人と人との一体感や共鳴の瞬間とはいかに形成されるのか、
「場を感じる」「場をつくる」ということを含め、
普段と違う視点、観点からのファシリテーションを体感できます。
今回の定例会では、
日本におけるドラムサークル運動を牽引する4名 が
ファシリテーターチームとなってみなさんのドラムサークル体験を
ガイドしていきます。
「楽器は苦手」「リズム感がないから恥ずかしい」なんて心配は、
全くいりません。
また「ファシリテーション」いう視点でそれぞれの現場に転換させるために、
振り返りタイムにおいて体験を経験知に落とし込むフェーズも
たっぷり用意しています。
目指せ!『打てば響くファシリテーター!!』

【当日の経過】

12:15にスタジオが開場するとそこには椅子とタイコがセットになって3重の円 (サークル)を描いている。既にドラムサークル・ファシリテーター(DCF)の何名かが演奏を始めていて、参加者が順次着席するとすぐにドラムセッション が開始された(これはドラムコールと言い参加者の歓迎を意味する)。
12:30になり開会挨拶がなされると、サンタクロース姿のDCF酒井麿さん登場。 それから80分ほど、ほぼ休みなしでタイコに集中し、リズムセッションが続く。麿さんの身振りだけによる指示でffからppまで音の強弱やコール・アン ド・レスポンスのセッションなどが続く。途中パイプ状の音階楽器(ブームワッカー)が配られ、小さな音の楽器だけでのセッションも。
するといつの間にか今度は麿さんがスーツに着替えて再登場。よく見ると胸には「オバ マ」の名札(似てなくもない?)。ここで会場の4方向から「CHENGE!」「YES WE CAN!」のプラカードが上がる。すると参加者が自然に席を立ち、別のタイコのところに移動し始める。さらにその勢いでサークルの周りをパレードし始める 一群が発生。口々に「FAJ!」「CHENGE!」「YES WE CAN!」等とコールしている。
高揚感を体で表現する人、冷静に周りを見回す人、満面の笑顔、様々な思いが交錯する中、13:50終了
<場所をGate City大崎「北海道」に移動して振り返りワーク>
14:30〜
4名〜6名のグループに分かれて自由にドラムサークルを振り返る。その際にドラムサークル・ファシリテーター(DCF)に聞きたい事があったら書き出してその後のセッションで回答してもらうこととした。
15:00〜 DCFによりQ&A
以下は当日の振り返りででた質問とDCFによる回答
Q: トヨタUSAにあるドラムサークルルームはどのように使われているのか?
A: 同社の本社6階にドラムサークルルームがあり、126本以上のドラムが常備されています。ノンバーバルコミュニケーションによるチームビルディングをはじ め、コミュニケーション、リーダーシップ、メンタル面の強化など幅広い目的で使用されています。ドラムサークル導入により日系、メキシコ系、米国系の労働 者のトラブルが減少した実績があります。現在はUniversity Of Toyotaでの5000種類の講座プログラムの一つとして使われていて、これまでに延べ30000人以上がここでドラムサークルを経験している。
Q: 指揮者(ファシリテーター)は一人だけか?
A: まずドラムサークルでは指揮者なのか? 本日はDrum Circle Facilitatorである。最大3名くらい、2名くらいか。これに加えてSide Facilitator(こっそり音をまとめる人)がいる場合もある。
Q: 途中ででてきた「CHANGE」のプラカードの意味は?
A: いろんな意味を踏まえたつもり 例えば- 席替え(違う視点からDCを見る)
- 違う楽器による感じ方の違い(違う部署の感じ方を感じる)など
Q: 「YES WE CAN」の意味は?
A: スローガンで一体感を持たせたい。
Q: 年齢を問わずDCを行う場合があると聞きましたが、年齢の影響は?
A: 例えば幼稚園児などは「野放し」状態、ファシリテーションが機能しない。そのうえ勝手にどんどん新しい事を創造していくので大人等は到底たちうちできませ ん。原始なのです。素晴らしい事です。それゆえ私(ペッカー)はかれら(幼稚園児)のことを尊敬の気持ちを込めて『先生』と呼ばせてもらっています、ファ シリテーションの学びを沢山くれるからです。小学校3〜4年生くらいになると自我が芽生えて、そうなるとすこしファシリテーションが機能し始める。20代 くらいのメンバーになると例えば「メロディ」なども加えたりする。おとしよりの時には懐メロを歌ったりします。ドラムサークルは『ゆりかごから墓 場』(チャーチルの教育に関する言葉)とおもっています。各年齢に対応できるということです。
Q: 参加者が目隠しをしてDCを行うとどうなる?
A: 視覚がなくなるので、指示は音でしか出せなくなる。そのため、今日とは違ったものになると思う。ただし、視覚障害、聴覚障害をもったDCFの方もいらっしゃいます。
Q:盛り上がっている場に中途から参加するときのコツは?
A:笑顔で入ってくださいといっている。「笑顔」と「勇気」がキーです。
Q: DCFが輪の外に出る意味は?
A: Drum Circleはコミュニケーションツールであり、輪の中心にFacilitatorがいると輪の向かい側とのアイコンタクトや相互のコミュニケーションを 阻害してしまう。なので、本来は輪の中心にFacilitatorはいない方が良いと思う。ドラムサークルが自立して楽しんでいる時は輪の外にいるのが Betterではないか? 本当のDrum CircleはFacilitatorがいないものだと思う。なにか問題があった時(ブリッジタイム)だけファシリテーターが中に入るのが良い。輪の真ん 中(センタースポット)はつねに空心にしていて大事に使いたいものです。  
♪♩♪ブリッジタイムとは=飽きて来た人がファシリテーターに変化を期待したり、な がく同じグルーブをしていてグルーブが失速してきたり、ドラムサークルの場に変化を期待して次に移りたい、橋渡しをしてほしいなどの雰囲気が支配する時が あります。つぎの高い次元にドラムサークルを導く(ガイド)する時です。ファシリテーターがブリッジになります。みんなはその橋を渡って次の世界にいきま す。
Q: 輪、和を乱す人がいるときはどうする?
A: そもそも「WA」ってなんでしょうか? 正直「困る」人はいるときがある。しかし、その人を拒否した瞬間につながりが切れてしまうので、とにかく受け入れるようにしている。役割を引き出すように している。それにより全体がEmpowermentされる。 とにかく否定しないのが大切。
Q: Drum Circleは何人からできるのか?
A: 2,3人からでもできる(コミュニケーションツールなので複数の人がいれば成立する)
Q: ドラムをたたくと免疫力が上がると聞きましたが?
A: 答えはYesです。リズム運動がそうさせるのです。(細かいことは省略) 感動することで免疫力があがるようです。
Q: 今日のセッションで立ち上ったひと(立ち上って輪の周りを回った人)と立ち上らなかった人がいたが?
A: DCでは強制はしない。
Q:やり方がわからなくて乗り切れなかったのですが、どう考えればよいでしょうか?
Q:合図を決めなかったのはなぜか?最低限のルールも決めていなかったと思うが?
A:そういったものを含めて、参加者のなかから引き出す方が良いのでは?そうすることによって自信や生き生きした気持ちができると思うが。
指示、意図がわからないからのれないということは本当にあったのか? 後半の議論のひとつとなりました。
Q: Drum Circleは悪用できますか?
A: 悪用できる(しないでね)お願いします。ドラムというのは人をひきつけるので(日本の祭りで太鼓が使われるのもその例である)例えば政治集会の人集めのため、宗教の布教の為などには使わないで欲しいとおもっています。
なになに政党のドラムサークル、なになに教のドラムサークルというレッテルが貼られるといまやっていることが偏った見方をされてしまいます。危険です。
Q: Drum Circleに向かない楽器は?
A: なぜタイコかと言えば、誰でも簡単に叩けば音がでるから。他の楽器だと即興アンサンブルが難しくなる。パーカッション以外にハンドチャイムや、今日も使っ たブームワッカー(ペンタトニック(5音階)でどれが鳴っても不協和音にならない)などの音階楽器を使う事もあります。
Q: ドラムサークルを行う目的は?
A: 日本人は調和が好き、ただ調和を重んじすぎて自己表現がうまくない。これが両立することを体感してもらいたい。
A: この国が落ちていくスピードをできるだけ遅くしたい。
A: 終わったあとの達成感のある笑顔が見たい。
A: ただ消費される音楽とは違う音楽文化を醸成したい。
Q: DCFの意図は?
A: みなさん(参加者)の邪魔をしないこと。気持ちよくドラミングしてもらうこと。楽しかったことしか記憶に無くて誰がファシリテーターだったか覚えていない ようなドラムサークルが理想。ドラムサークルはみんなのものでファシリテーターのものではないということです。ファシリテーターがいないのに楽しく自立し 機能するチームつくり(Drum Circle)⇒ファシリテーターがいらないという状態を目指している。
A: ちょっとした調整役。
15:30〜 QAなども踏まえ、OST方式で話をしたいもの同士が自由に集まって、今日の想いを語りはじめる。
「ドラムサークルをビジネスに生かすには?」
「ドラムサークルを研修に生かすには?」
「ファシリテーターのいらない会議とは?」
・・・・・
中にはまだやり足りないとドラムサークルセッションが自然発生するところも。
最後は全体の挨拶とともに、その場でペットボトル製のシェイカーを使ったドラムサークルで締め。

<感想> (アンケートより抜粋)
「感じた事・学んだ事」
* 周囲を見る・見回すことによる気づき
* 乗れない人(会議に置き換えるとついてこられない人)をどう受け入れるか、乗れるようにどうサポートするか、その具体的な方法を得た
* 困った人を受け入れる  個を発揮しながら全体がひとつになる
* 自由の不自由さを感じた(不自由さを気にしなくてもいいように最低限のルールが必要だ)
* ルールやパラダイムにとらわれている自分
* 人はそもそも響きあいたい!という本能を持っているのだなと感じました
* まだどのように応用するかは答えが無いが、結局仕事も楽しくやることが大事だなと
* DCFの手法は非言語なので、より本質的な部分に触れられるように思った
* 人人のつながりの大切さを改めて感じた
* 非言語でのコミュニケーションを強制的に作り出す事で色々な感覚が研ぎ澄まされるように思う
* 心躍る時間でした 叩く−つむぎだされる音の一体感、包まれる共有感 この体験を以下に短縮できるか、現場に持ち帰られるかと話し合えた
* エネルギーは感じられたがしまりがなかった
* 良い発想のセッションだったがもう少し共創を刺激するような工夫があればもっと良かった
* ふりかえりで自由に作ったテーマ別にグループを作るのは良いアイデアだった
* 楽しい事は素晴らしい リズムは身体の中から生まれる ヒトとヒトのリズムが合えばパワーもアップ
* 今日は「学び」と言うより「体感」、気持ちの変化の気付きなどを味わいました こんな「すっきり」した気持ちを持てる現場にしたいものです
* 「ドラムサークルでは自己表現と調和の両立を目指す」と言う言葉にはとても共感したが、残念な事に今日のワークでは自己表現の場は感じられなかった
* 気分は高まったがその後何があるのだろう? ちょっと調和を強要しているように感じる事も‥‥でもそれが結局いい状況を作る事なんですね
* YES WE CANのくだりはアジテーションっぽいように感じ好きになれなかった ドラム自体は楽しかったが「盛り上がる」に終わらない非言語コミュニケーションの楽しさ・奥深さをもっと味わえたらよかったのに
* 「体感」効果を感じる事が出来て素直に楽しめたが、頭で理解する面では消化不良だった もう少し情報提供があっても良かった
* アイスブレーク・雰囲気作りに有効とは思ったが、今までの定例会に比べると納得間は低い
* ドラムセッションが何故ファシリテーションと結びつくのか最後まで理解できなかった ファシリテーターと自称している人はただの指揮者に過ぎないのではないか 誰が誰にどういう目的でどういう手法でやらせようとしているのかが全くはっきりしていないのは残念だった

「現場にどう生かすか」
* アイスブレイク、チームビルディングに取り入れたい(同様の意見多数)
* 立場が違う人同士がフラットな人間関係を作る場に使ってみたい
* 研修に早速役立ててみたい(特にペットボトルのはすぐにアイスブレイクに使えそう)
* 会社でも是非やってみたい(ペットボトルシェイカーならいろんな制約が無さそう)
* シェイカーパスは月曜のMTGですぐやります!
* ストレスマネージメントの一環として定期的に社員で集まって出来るといい
* 自分が楽しくする事、周りを巻き込む事
* 非言語のワークを使って何かをしてみたい
* 分からない人・乗れない人に気づいてもあきらめないFを目指します
* 先ずかたくなな個を打ち砕く事 輪を目指すことは皆が元々持っている気持ちを引き出す事にすぎない
* 「3・3・7拍子(和風DC?)」をやることからはじめます
* のりのりで話しかけてみる?
* 呼吸を整えて合わせる時に活かしてみます
* 「自分スイッチ」を入れられるようなFが出来たらいいですね
* ドラムサークルは今日体験したより奥が深そうなのでいろんなヴァージョンをもっと勉強してみたい
* 脳の活性化を促進・健康の増進・会議の最初や中間でのアイスブレイク・トランジッションポイント等
* 4月に社会人になったらこんな楽しい世界があることを広めていきたい

以上

←前のレポート 一覧表へ 次のレポート→