2009年度04月定例会 2.いつでもどこでも誰とでも、自然の中でもファシリテーション東京支部

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■テーマ2:『いつでもどこでも誰とでも、自然の中でもファシリテーション』
■日 時:2009(平成21)年4月25日(土)
■会 場:新宿御苑 & 日本経営協会(NOMA)2F
■参加者人数:26名(参加者13名、見学3名、運営スタッフ10名)
■企画運営担当(敬省略)
・講師:木幡、本間(日本自然保護協会)ほか、自然観察指導員の皆さん
・スタッフ:小川、長橋、喜多(記録係)
■天候:雨
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■定例会フロー
【自然観察会】(屋外:新宿御苑にて)
11:55 受付開始
個人散策(各自で印象に残った事柄を記録する)

12:20 集合・挨拶
グループ分け
グシケンさん・・・(1)
ナガシマさん・・・(2)
ナカジマさん・・・(3)
コクボさん・・・(4)
チャーリーさん・・・(5)
各グループで、個人散策で気づいたことを共有気づいたもの

12:30〜13:50
個人散策で気づいたことを導入にして、グループで散策(自然観察会)
※各グループに1名ずつ自然観察指導員の方がついてくださる

13:50〜14:25 移動および休憩

【グループワーク】(屋内:NOMAにて)
14:20〜14:20
●グループワークの趣旨説明
自然観察会はいかがでしたでしょうか? 今日は、「自然を好きになって
もらいたい」という目的で、自然観察指導員の方々がファシリテートして
くださいました。私たちがファシリテーターとして場をつくるとき、この
ような「目的」が必ずあります。その目的に向かってどのように参加者や
場を「ファシリテート」(促すことが)できるかは、私たち共通の課題で
す。今日は参加者としてファシリテートされた実体験ももとにしながら、
その自然観察会にこめられた目的に向かって、ファシリテーターがどのよ
うにすれば場を促進できるのかを、全員で考えてみたいと思います。

14:25〜15:00 グループワーク1
●問いかけ?
「自然を好きになってもらいたい」という気持ちを伝え広げる(ファシリ
テートする/促す)ために、どのような工夫がされていましたか? どの
ような工夫が有効だと思いますか?

15:05〜15:15 休憩

15:15〜16:00 グループワーク2
●問いかけ?・・・?の議論をもとに各グループで問いを設定。(4)が
予定していた問い
(1)    自然を好きって、どういうこと?(好き/守る/重要性の理解)
(2)    自然って何?
(3)    子供が参加者だったら、どういう工夫?
(4)    どのような自然観察会であれば、参加者はより自然を好きになる
と思いますか?
(5)    なぜ、自然観察指導員をやっているのか?
なぜ、都会の文京区で親子自然観察会をやってるの?

16:10〜16:30 全体共有
(1)・・・グシケンさんチーム
〔問いかけ?について〕
・五感を使っていた・・・触る音を聞くは普段使っていない。たとえば、
コケに触ってみましょう
・ツールを上手に使っていた・・・ルーペ、シャーレで虫をまじまじと見る
・丁寧に問いかけていた・・・質問やクイズのような問いかけ。最後まで答
えを教えないケースも。
・一緒に考える参加者がいた・・・お互いにフィードバックがある。
・普段使っていない触手が伸びる感覚があり、刺激的だった。
〔問いかけ?について〕
・「困ったことって何ですか?」という問いから、「自然を好きって、どう
いうこと?」という問いが生まれた。
・「価値観が違う好きの難しさ」について議論した。つまり、一部だけ好き
という人もいる。たとえば、花を切って持って帰る人にどうやってわかっ
てもらうか? 
・「どの程度とっていいのか?」には答えが出ない難しさがあるが、議論は
深まった。

(2)・・・ナガシマさんチーム
〔自然観察会にて〕
・最初、参加者が感じたことを雨にぬれても大丈夫なシールに書いて貼った。
それを見ながら、自然観察指導員が進め方を変えよう、進め方を見極めよう
としてくださった。
・なお、参加者が感じたことには芸術的な表現が多く、「どういう会になるん
だろう?」という期待感が高まった。
〔問いかけ?について〕
・「観察」「質問」「考える」「答える」「(知らないことを知って)感動」
というプロセスが提供されていた。「発見を考える」時間があった。
・参加者の視点を上下左右、空間的に使って広げていた。
・「自然は癒し?」という程度の認識だったが、サイエンスと知識を知ること
で、もっと好きになることがわかった。
〔問いかけ?について〕
・木を見るだけではなく、川も見れば、町並みも見る。生活のふれあいのある
ものはすべて自然。ボーダーがない。人間も自然の一部。目を向けることに
よって好きになり、大事にするようになる。
・イギリスのことわざ「聞いたことは忘れる。見たことは思い出す。体験した
ことは理解する。自分で発見したことは身に付く」という考え方に共感した。
・自然観察会には、子供は集まらない。意外に大人が集まる。でも、無理の子供
が来させなくても、時間ができた人が来て、子供や孫に伝える、次世代に伝え
るということでいいのではないか。
・さっと感想をいって自然観察会を終わりにするのではなく、しっかりとフィー
ドバックの時間を設けて観察会を双方向にすると、もっと印象深く伝えられる
のではないか。

(3)・・・ナカジマさんチーム
〔問いかけ?について〕
・自然が好きだが、「自然に関心があるか?」というと、そうであるとも限らな
い。FAJの一つのイベントとして出てきたという認識の参加者に、どう参画
意識をもってもらうか?という課題があった。
・参加者の一人は、生き物・植物の知識を得るが目的と思っていたがが、「どの
木が好きですか?」という問いで、一気に個人の気持ちの問題になって、巻き
込まれてしまった。
・全体を見渡して、違いを認識してもらって、一つ一つの違いに気づくという流
れがあった。ミクロから入ると「何をしたいのか」がわからなくなるので、全
体から入るのが大事。
・視点を変える問いかけがあった。たとえば、葉っぱから水滴の大きさに視点を
転じたり、「なぜここに水がたまる?」など。視点を変えると、興味をもちな
がらついていける。
・植物の名前などの知識だけではなくて、「木は太陽の取り合い(生存競争)を
している」「御苑も競争原理によって成り立っている」などの話が新鮮だった。
自然観察指導員は「実際の葉っぱなどの知識の提供よりも、自然の中の関わり
あいを感じてもらうのがゴール」という意識で行なっていた。
〔問いかけ?について〕
・ミクロに興味を持つ参加者という視点から、「子供が参加者だったら、どうい
う工夫?」という問いが生まれた。
・親子一緒に楽しみ工夫をしたらいいのではないか。お互いが自然を感じる工夫
をできたらいい。

(4)・・・コクボさんチーム
〔問いかけ?について〕
・下敷きで、雨粒の違いが目に見えるように工夫していた。
・「一つのものにフォーカスしすぎると、他のことが見えなくなる」ということ
を感じた。
〔問いかけ?について〕
・関心を共有する仲間が必要。一人の時には気がつかないことが、いろいろな視
点で見ることで共有できた。
・身近なところで観察することの面白さを感じた。自然を求めて海外にいかなく
ても楽しめる。スズメからでも自然の関心へとつなげられる
・五感を使って、掛け合わせて脳に触れていく感じ。いつもとの違いを感じた。
・参加者に考えてもらうのが大事

(5)・・・チャーリーさんチーム
〔問いかけ?について〕
・自然を好きになってもらうための工夫・疑問を話し合った。
・ファシリテーションと自然観察員の違いがある
>ファシリテーション・・・目的意識をもって立たない
>自然観察員・・・目的意識あり
・ではチャーリーさんはどういうことを伝えたい?・・・感動をもってもらい
たい
〔問いかけ?について〕
・チャーリーさんはゼネコンに勤めている。ゼネコンの仕事は自然に影響を与え
るが、「いい影響を与えることはできないか」という広い視点を持った社員が
育てばいいなという思いをもっている。
・チャーリーさんは文京区でも活動しているが、そこでは参加者にいろんな視点
を持ってもらえたらという思いで活動している。
・参加者の中には、ダイビングのインストラクターもいた。海を好きになって欲
しいという思いをもっているが、潜って海を嫌いになる人はいない。ある意味、
海は誰でも好きになるから反則技。海では安全管理が大事。
・相手が何に興味があるのかをみて、アプローチをする必要がある。

16:30〜16:40 振り返り
●自然観察指導員のみなさんの感想
○グシケンさん 
観察会をやっていても、こんなに感想をたっぷり言ってもらうこともない。工
夫を聞かれることもないので、楽しかった。思いや工夫をいえる場がないので。
○ナカジマさん
自分が伝えたいこともあるが、FAJの参加者の皆さんにそれをうまく引き出し
ていただいているという感じがする。自分ひとりではこんなに楽しい会は作れな
い。人をしって参加者に助けられる。これほど双方向を実感したことはなかった。
○ナガシマさん
フィードバックを受けることがなかなかない。意識していることもあるし、なか
ったこともある。参加者の反応が聞けてよかった。また参加したい。
○コクボさん
参加してよかった。考えてもできていない部分があるということがわかってよか
った。雨の中での観察会に参加してくれて、ありがとうございます。
○チャーリーさん 
自然観察指導員にはそれぞれのやり方があるので、これからも続けていただいて、
いろいろな指導員の方を知っていただきたい。指導員を一人でも多く増やしてい
くことが目的なので、ぜひともFAJと日本自然保護協会の両方の会員になって
いただきたい。
○ホンマさん
協会に入ってから指導員養成の担当をしている。今日は、とても楽しい雨の日観
察会になったのではないかと思う。なかなかこういう機会がないので新鮮。「自
然観察指導員になりたい」というお話があったが、ぜひいらしてください。
○木幡さん
お疲れ様でした。皆さんの雰囲気を見ていて、改めてやってよかったと思った。
自然観察会に対するフィードバックを受ける機会が少ないので。次に活かす機会
になれば。

●インフォメーション(木幡さんより)
日本自然保護協会は、「自然が好きだから守りましょう」だけではなく、調査し
た上で多角に守ることを訴えている。守るために必要な調査研究も行なっている。
一方で、好きになってもらうための活動も大事。それが自然観察会であり、自然
観察指導員の育成を通じて、裾野を広げていく活動も行なっている。
日本自然保護協会はもともと個人が始めた動き。行政から助成金などを受けてや
っているわけではなく、寄付でなりたっている財団法人。
ファシリテーションの研究のついでに自然を守っていただけたら嬉しい。東京の
観察会は任意のグループがあるので、活用していただければ。

16:40〜16:50 連絡事項・アンケート

− 以上 −

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