2012年度8月定例会 2.不思議と促進される会議の場作り東京支部

事業内容 調査研究:東京支部 8月度定例会
テーマ テーマ2 『不思議と促進される会議の場つくり〜最適な場作りで会議が有意義になる法則〜』
開催日 2012年8月25日
会 場 東京都大田区 大田区民センター 第1・2・3教室
講師・
ファシリテーター
佐藤成臣(FAJ会員) 1名
企画運営担当 箱ギルド(FAJ会員) 4名
参加者数(会員) 13名
一般・見学者数 1名
テーマ詳細
プログラム内容
担当者振り返り
参加者コメント
など
【概要】
「ファシリテーション」における「会場、レイアウト」との関係は意外に大事です。
その会議に適したレイアウトや 限られたレイアウトとリソースを使って、最善の場にする方法などレイアウトが会議に与える影響を考え、体験し、感じたことをあなたの次の会議に活かしませんか?
プレゼンターは東京支部の運営委員の中でも会場について造詣の深いメンバー(通称:箱ギルド)がつとめます。
レイアウトのHOWだけではなく、なぜこのレイアウトが場に影響するかのWHYもしっかり学べます。
昨年よりさらにパワーアップしたこの企画にご期待ください。
・・・当日は実際の会場で設営にチャレンジしていただきますので動きやすい服装でお越しください・・・

【場のリソース】
会場の大田区民センターは廃校利用した建物。使用した第1,2,3教室はほぼ同じさで各室には黒板があるがホワイトボードはない。
什器はキャスターのない2人掛け折り畳みテーブルとキャスターのない椅子。プログラムの都合上、ワーク(模擬会議)の途中で部屋移動があるため、基本的には黒板は使わず模造紙と付箋、マーカーを利用。

【プログラム内容】
12:30〜 事務連絡@第1教室
12:33〜 チーム分け
参加者(スタート時12名、遅刻2名)を家からこの場に着くまでの時間の長さで並び、3チームに(各チーム4〜5名)。
テーマの「場」への意識づけにからめて。
12:35〜 オリエンテーション
MF(メインファシリテーター)がOARR(目的、アジェンダ、ルール、ロール)の説明。グランドルールは「素直になりましょう」「騙されないで」。
スタッフ紹介のなかで、企画チームのメンバーがFB(フィードバッカー)として各チームについて回ることを説明。
12:40〜 アイスブレイク チームビルディング
ワーク説明。1G〜3Gの各チームに第1〜3教室のそれぞれの会場レイアウトを作ってもらい、チーム内で自己紹介を済ませて第1教室へ戻ってきてもらう。第1教室はアイランド(3島)、第2教室は大きめのロの字、第3教室は大きめのサークル(椅子だけで環状)。
ワーク実施後、振り返り。自己紹介とレイアウト変更作業のどちらを先にしたかの確認と、その順番がレイアウト変更作業に影響を及ぼしたかの確認。
>>誰もレイアウト変更方法の指針を示さず、無駄な動きが多くなったチーム、自己紹介を先にしなかったので「○○さん、それ動かして」などと呼びかけができなかった、等の回答あり。
13:10〜 実験1
模擬会議を行う。テーマは「今年の漢字を決めてください」(昨年は絆)。会議は「発散」「収束」「合意形成」の3フェーズを、先ほど場づくりした3つの教室をそれぞれ10分ずつ使用。
1Gは「発散」@ロの字>「収束」@サークル>「合意形成」@アイランド
2Gは「発散」@サークル>「収束」@アイランド>「合意形成」@ロの字
3Gは「発散」@アイランド>「収束」@ロの字>「合意形成」@サークル
実験プロセスの説明段階において、「発散」「収束」「合意形成」の定義づけの共有化。また原則として会場のレイアウトは動かさず、そのレイアウトを活用して会議を行うというルールを説明。上記ワーク実施後、第1教室にて各チームで振り返り、その後全体で共有(コンテンツについては振り返らない)。各チームについて回って観察していたFBからもフィードバックコメント(フィードバックシートを使用)。
>>会議のフェーズと場のレイアウトとの違和感を覚え、本来のレイアウトを活用しない事例、続出。ロの字の部屋にも関わらず黒板の前の椅子に直線に並んで「発散」した、床に模造紙を置き椅子に腰掛けず床にしゃがんだ、等。また、「人と人」の距離感だけでなく「人と模造紙」の距離感や目線の高さも会議のしやすさに大きな影響があることがわかった(模造紙を床に置いて周りを囲むとコミュニケーションが取りやすいかと思ったら視線が下に向いてお互いの顔が見えずよくなかった・・・)、等の感想あり。
14:35〜 休憩
14:45〜 参考情報インプット
昨年8月定例会にて実施の「場づくり」テーマで出た参加者のコメントやの過去のノウハウ等を紹介(配布資料あり)。
15:00〜 実験2
実験1の体験とインプットされた参考情報を活かして、再度模擬会議を実施。テーマは「日本文化の良さを3つ挙げてください」(海外からのお客様に対して、という想定で)。今回の「場」の割り当ては実験1とは変更したが、時間配分等は同じ。
1Gは「発散」@アイランド>「収束」@ロの字>「合意形成」@サークル
2Gは「発散」@ロの字>「収束」@サークル>「合意形成」@アイランド
3Gは「発散」@サークル>「収束」@アイランド>「合意形成」@ロの字
説明時に、今回はF(ファシリテーター)を必ず立てる(各フェーズで交代)というルールを追加。また必ず与えられたレイアウトを活用するというルールの再確認。
>>その結果、振り返りで、Fの立ち位置を工夫するなどして与えられたリソースをなんとか活用しながら不利な「場」を少しでもベターにできたケースや、やはり「場」の力に屈したケース(サークルは合意形成には向かないことがわかった、ロの字が発散に向かないならとファシリテーターがロの中央に入ってみたがうまくいかなかった、等)などが共有された。
16:00〜 ベストな会議
問い「各フェーズにおけるベストなレイアウトってどんな形なんだろう」。
今回は会議中の教室移動はなしだが、各チームに与えられた教室で「発散」「収束」「合意形成」の各フェーズごとに好きなレイアウトに変更してよい、というルールにした。会議終了後、全体でチェックアウトを兼ねて振り返りと共有。
>>各フェーズで好きなレイアウトに変更してよい、というルールだったにも関わらず、各チームとも発散時のレイアウトから変更が実施されなかった。また机椅子のレイアウトと模造紙の位置関係は3チームとも異なっていた。
16:45〜 事務連絡
最後の挨拶と次回定例会の告知および各教室の原状回復作業のお願い。各チームで最後の場づくりワークとして実施してもらった。
17:00 完全退出
【MFのコメント】
  • やはり、レイアウトの力は大きい。「素直」になって「騙された」人が多かった。
  • 参加者の方々が楽しまれているのが良かった、ロの字は一か所に固まるなどの工夫をして場の難しさを克服しているのがわかった。
  • プロセスの振り返りを偶然だが中心に行って、学びが深くなったのが良かった。今回は話し合いの中身よりも「どう話し合ったか」を中心に据えたのでこの進め方は大変上手く行った。
【企画チームおよびCoのコメント】
  • 「発散」をロの字で行ったチームは違和感を最後まで引きずっていた。レイアウトが人間関係やチームの雰囲気を悪化させるという現象が見られた。
  • 昨年の定例会では、今回のようなレイアウトの影響を体感するワークだけでなく、会場選定について学ぶワークもあった。そのため、今回は間延びするのではないかという懸念があったが、そんなこともなく参加者は非常に集中してワークに取り組んでいたのでよかった。
  • ツールの準備について、事前確認が不足していた。模造紙枚数がギリギリだった。また黒板を使用したためマグネットが必要(企画チームが気を利かせて持ってきてくれていた)、各チーム用にタイマーがあると便利だった。
【参加者の声】
  • それぞれのレイアウトの良し悪し、得手不得手があることが体感できてよかった。
  • 各フェーズとレイアウトの組み合わせの3パターンのうち、2パターンしか体験できなかったので、残りの1パターンも体験してみたかった。
  • 「人と人」の距離感だけでなく「人と模造紙」の距離感や目線の高さも会議のしやすさに大きな影響があることがわかった。(模造紙をどこに配置するか、床に置く、机上に置く、黒板に貼る。そのとき人は床座、椅子に腰掛ける、立っている・・・)
  • 近ければいいというものでもない。模造紙と人が近すぎると俯瞰できない。またFとほかのメンバーの距離が近すぎるとFがメンバーと一緒にコンテンツに入り込んでしまい進行がうまくいかないこともあった。
  • 与えられた場のリソースをいかに活用して不利な状況をもっとベターなものにしていくか、という手腕がFに求められると思う。次回はそういう内容も学びたい。
  • 模擬会議で、ほかのチームはどんな結果(例えば「今年の漢字」)になったか知りたいと思ったが、それを共有しなかったことでプロセスに集中することができた。
報告作成者 柴田千晶
報告日 2012年9月4日
その他特記事項  
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