【概要】 ワークショップにおいて「当日のファシリテーションが難しい」と感じるとき、多くの場合はプログラムがうまく機能していなかったり、設定している問いが的外れであることが大半ではないでしょうか。そんな時はファシリテーターの当日の"力技"でなんとかしようとするのではなく、プログラムデザインのポイントをおさえながら、適切な問いを立て、問いを活かすための活動の構成を事前に準備しておくことが一番の解決策です。 これほど重要なワークショップにおけるプログラムと問いのデザインですが、では、適切な問いとはどんな問いになるでしょう?そこには、ルールとロジックがあるはずではないでしょうか? この定例会では、東京大学大学院 情報学環 特任助教 安斎勇樹さんをお迎えして、関連する先行研究や理論を紹介する一方で、ワークショップにおける"良い問い"とは?や、"問い"を活かすプログラム構成のポイントとは何か?について、参加者の皆さまの経験談を共有しながら、そのコツを探究しました。
【プログラム内容】 13:05- COより事務連絡および企画メンバーより企画経緯説明を兼ねてご挨拶。 話題提供者の安斎先生にバトンタッチ。 13:10- 安斎先生より趣旨説明および自己紹介(研究内容やワークショップ事例紹介等)。 13:40- 講義「プログラムデザインの重要性」 13:53- 演習「これまで経験した問いを評価する」 個人ワークで「良い問いの特徴」を黄色い付箋に、「悪い問いの特徴」を青い付箋に書き、チームで共有、発散。 14:15- 講義「"良い問い"とは何か?」 ・・・ワークショップにおける良い問いとは?誰に対する問か、評価スパンによっても異なる。 演習 グループで「短期」「中期」など評価スパン等でどう違うか意見交換。 講義 安斎先生より、休憩後の「問いをデザインする」演習の要旨説明。 14:40- 休憩 14:50- 演習 「問いをデザインする」 和泉さんより、ワールドカフェでの問の立て方プロセスのレクチャー。 「動物愛護団体からの依頼で、大学生向けのワークショップのデザインをする」 (ワールドカフェ;3ラウンド)というお題。 その3ラウンドそれぞれの「問い」を各チームで考える。 その後、テーブルラウンドで、参加者全員が一人3枚のシールを持って好きな問いに投票。 人気のあった上位2チームと安斎せんせいの一番好きな問いだったチームの合計3チームの問いを全体で共有。 16:00- 振り返りと質疑応答 安斎先生より、「多数決」と「多様決」について紹介。 16:15- 企画メンバーよりご挨拶およびCOより事務連絡。→16:30までに原状回復、撤収。
【参加者の声】 ・面白かった! ・同じ問いを考えるにしても、チームによって様々な視点があることがわかり大変面白かった。 ・とても中身が濃くて充実していた。参加してよかった。 ・熟練したファシリテーターが瞬時に判断して行動しているのは、瞬発力というより、高速でプログラをリデザインしているのであって、過去に何度もプログラムデザインをしてきた経験があるからできることであるという話を聴いて、なるほど、と思った。 ・内容が高度で、疲れていたせいもあり、ちょっと入り込めなかった。 ・各チームのプロセスをもう少しじっくり共有する時間があるとよいと思った。 ・シールが集まるところが必ずしも「よい」のか?というとそうとは限らないかもしれないと、多様決という言葉を聞いて感じた。
【MF振り返り】 "良い問いを立てる"ことは、ワークショップデザインにおいて重要な作業でありながら、複雑かつ多様な変数が影響するために方法論として規定することが難しい。ややもすると議論の中心から避けられがちであったこのテーマについて、真っ向から探求したのが本定例会の挑戦であった。限られた尺のなかに講義と演習を詰め込んだために、慌ただしい進行になってしまったことは反省点だが、参加者の実践経験とセンスに助けられ、有益な議論を重ねることが出来た。
【企画者振り返り】 ・今回はワークショップと安斎先生のご研究成果とのバランスがとても良かった。 ・定例会はチャレンジの場ではありますが、会員が各自の現場で実践するにあたり、その実践に裏付けがある、ということがとても強みになる。そういう意味で安斎先生は研究だけでなく実践され成果も出されているのでゲスト登壇者としてまさに適任だったと感じている。 ・問いが参加者の活性化に大きな影響を及ぼすことは感覚的にはわかっていたが、今回のように具体的な根拠を明示して頂くことで、FAJ会員にとっても意義ある定例会となったのではないだろうか。 ・運営面では、前日に安斎先生から資料印刷をご依頼されたが、急だったため対応できず、先生ご自身にご用意して頂いた。今後は事前に印刷物の有無を確認しておくことを留意したい。
【CO振り返り】 ・安斎先生と和泉さんそれぞれから、定例会後に、SNSでの写真利用について問い合わせがあった。企画者と相談の上、定例会参加者全員に確認のメールを流し(参加者の顔ができるだけ写っておらず、個人が特定されないレベルの写真利用)、特に不都合のレスポンスがなかったため、その旨をお二方にお伝えした。FAJとしての報告書に写真活用の可能性がある旨は定例会冒頭でアナウンスしていたが、これまでSNS等での個人利用についての取り扱い上の留意点については触れていなかった。(今後の定例会での事務連絡に写真の個人利用に関するアナウンスを追加することについて、その後の運営委員会での検討に繋がった。
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