2016年度4月定例会 4『英語でファシリテーション2』東京支部

事業内容 調査研究:東京支部 2016年4月度定例会
テーマ 英語でファシリテーション2
開催日 2016年4月23日(土)
会 場 品川区スクエア荏原 3階 大会議室
講師・
ファシリテーター
長澤克雄(FAJ会員) 1名
企画運営担当
山田竜也、石田 論史、川井隆史、大国兼道、内藤修(以上FAJ会員)
カセラスアネット
5名
参加者数(会員) 25名
一般・見学者数 2名
テーマ詳細
プログラム内容
担当者振り返り
参加者コメント
など

【概要】
日本語を母語とする方と日本語以外を母語とする方を同じテーブルに招いての模擬会議を行う。

【ゴール】
異なる言語・文化背景でのコミュニケーションの課題を抽出し、対話を上手く進めるためのコツを探す。

【グランドルール】
「異文化体験を楽しもう」

【参加対象者】
仕事やイベントなどでも日本語を母国語としない人々(外国人)と英語でやり取りすることがある。または興味がある。

【プログラム】
・オープニング
・アイスブレイク
・インストラクション
・ワーク(模擬会議)
・グループで模擬会議全体を振り返り
・全体で自由発言
・クロージング

【参加者コメント】
・ジバレッジというアイスブレイクが新鮮
・グループディスカッションでファシリテータ―としての姿勢がより分かった
・国ごとの習慣、傾向などを運営側でまとめてほしい
・言語の制約がかえって自分の考えを深めるきっかけとなった
・全員がファシリテーターとしてできるようなワークにしてほしい
・Case3,4がやや漠然とした内容だったのでに制約条件を付けた方がかえって議論が深まる
・途中の指示がやや不明確な点があった
・異文化コンフリクトが現れる寸劇などをやってポイントを議論するのも面白いのではないか
・参加者の文化圏(欧米系の人が少しいただけであとは日本人)が偏っていたので他のアフリカ、南米などの人も積極的に呼んでほしい
・参加者の英語レベルにあわせたファシリテーションを学べる場も持ってほしい

【MF振り返り】
良い点としては、アイスブレーク、協議とも滞りなく進められ、参加者による事例の選択も偏りがなく、IB・事例の作成は適切だったのではないかと思う。協議中自主的にファシリテーターを変えながらファシリテーションの学びを得ている様子もうかがえた。今回の眼目の一つであった外国人の参加も少人数(2人)ながら得られた。ただし、「異なる言語・文化背景でのコミュニケーションの課題を抽出し、対話を上手く進めるためのコツを探す」という今回のワークショップの目的の達成は十分とは言えず、次回に向けて、大きな課題を残した。具体的には、「コミュニケーションの課題の認識→ファシリテーションスキルの向上」というプロセスがMFとして十分に意識することができていなかった。その結果、振り返り時に何について話すべきかというインストラクションがあいまいになってしまった。その原因としては、国際的なトピックの事例の作成と外国人集めにほとんどの労力をMFとして費やしてしまったことが挙げられる。さらに、当日直前になって、外国人の少数参加・不参加を想定したディスカッションの取り組み方の工夫(日本人と外国人の役割を演じる「日本人」・「外国人」チームに参加者を分けることにより外国人の少数参加を補おうとしたこと)を重ね、最後までファシリテーションスキルの向上のための工夫が盲点となった。また、この工夫自体も、外国人や日本人の役割を演じることの意義の説明が十分になされず、葛藤を生じさせるというMFの意図した効果は不十分であった。
今後に向けての改善点としては、「コミュニケーションの課題の認識→ファシリテーションスキルの向上」というプロセスをもっと緻密に設計したい。たとえば、ファシリテーションの課題を浮き彫りにするための制約(例として、顧客満足向上を重要視する日本セールスチームとワークライフバランスを重要視する海外カスタマーサービスチーム間でそれぞれ対立する要求事項の達成度を競い合うなど)を与え、その葛藤に際しどのように協議をファシリテートしたかにつき、ファシリテーターを4つのファシリテーションスキルごとに交替させつつ、途中で振り返り、分析し、学びを得るというような形を試すのはどうか。日本人と外国人との間のコミュニケーション上の文化的・言語的な違いについては、個人差の方が大きい場合があり得るとの今回の参加者より指摘があったことを踏まえ、今後のワークショップとしては、参加者が日本人と外国人の役割を単になぞり、延いてはファシリテーション上の課題を薄めてしまうのではなく、上記のような葛藤を乗り越えるうえで浮き彫りになるファシリテーション上の諸課題の振り返りにおいて、文化や言語といった問題があるかどうかを観察し、ファシリテーションスキルの向上に役立つのであれば、個々人がその理解を学びとすれば足りるのではないかと考えている。
 

報告者 川井 隆史
報告日 2016年4月29日
その他特記事項
 
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