2020年03月定例会テーマ2レポート『依頼者との打ち合わせから始まるプログラムデザイン』東京支部

調査研究:東京支部 2020年03月度定例会

テーマ

『依頼者との打ち合わせから始まるプログラムデザイン』

開催日

2020年03月28日(土)

会 場

ZOOMオンラインミーティングシステム

講師・ファシリテーター

浦山絵里、尾上昌毅(以上FAJ会員) 2名

企画運営担当

小瀬一幸、中野功、加藤貴美子(以上、FAJ会員) 3名

参加者数(会員)

17名

一般・見学者数

0名

テーマ詳細 プログラム内容 担当者振り返り 参加者コメントなど

【概要】
ファシリテーションサポート委員会では、これまでFAJの外からいただくファシリテーションに関連した様々な問い合わせ・相談・依頼に窓口として対応してきました。
その数は、昨年度が85件、本年度は70件ほどの相談件数になります。
その多くは、相談者(クライアント)の所属組織におけるファシリテーション研修の講師依頼だったり、ワークショップの進行などです。しかし、最初の相談内容がそのままクライアントの課題であるとは限りません。

このように外部のクライアントから相談・依頼が入ってきた場合に、あなたならどのように相手の意図や背景にある動機を聞き出し、引き出して、それを提供プログラムという形に変換して提案しますか。

もちろん、これは正解のないものです。たった一通りのやりかたでないことも明らかです。
このワークショップでは、このような外部クライアントへの一連の対応、これをコーディネーションと呼び、そのプロセスに光をあてます。
相談を受けてから、クライアントの意図をくんで提案プログラムを考えるまでを体験します。
ファシリテーションサポート委員会で扱った実際の事例を参考に、飛び込んできた依頼・相談に対し、ファシリテーションを相手の現場や組織に良いかたちで届けるようにするにはどんな工夫が要るのかを一緒に考えましょう。

自分の組織内でファシリテーションを実践するのとは、また違った難しさや考慮点が見えてくるはずです。
ファシリテーターとしての実践経験をもとに一緒に探求しましょう。

当初はリアル会場で実施する前提のプログラムでしたが、COVID-19の影響でオンライン定例会となったため、テクニカルサポート担当を含め、オンラインに対応できるよう様々な工夫をしての試行的な実施となりました。

【プログラムの流れ】
12時40分-13時 初めてのかた向けの操作確認など

13時-13時10分 オリエンテーション(スタッフ紹介、OARR)
13時10分-13時20分 Zoomの使い方ミニ解説
13時20分-13時40分 チェックイン
13時40分-13時50分 ファシリテーションサポート委員会の活動紹介
13時50分-13時55分 2つの仮想事例紹介(A:行政案件、B:学校案件)
13時55分-14時30分 4つの部屋に分かれ分科会(A×2、B×2)
14時30分-14時40分 休憩
14時40分-15時00分 依頼者へのヒアリングタイム(AとBの2グループで)
15時00分-15時30分 4つの部屋で分科会:チーム提案方針決定、依頼元への提案を考える
15時30分-15時40分 休憩
15時40分-16時00分 全体で依頼者への各チームからの提案
16時00分-16時10分 4つの部屋で分科会:チームとしての提案プロセス振り返り
16時10分-16時35分 ジグソー形式の部屋を作成してバズ分科会:共有と振り返り
16時35分-17時10分 チェックアウト、クロージング、アンケート

17時10分-17時30分 茶話会(希望者のみ)

【参加者アンケート結果:回収数17名】
■外部から来た相談案件を実施する前のヒアリングプロセスの重要性について理解出来たと思いますか?

78%(理解出来た)
16%(ややそう思う)
6%(わからない)

◇その理由は?
・ヒヤリングによって依頼者の求める本当のゴールが分かるから
・相手のニーズに沿った提案をするためには、ヒアリングから提案に進むプロセスが非常に大事
・実際の案件についてグループで考えることができたので。
・そこは基本だよね
・皆さんで事例に対して、話し合うプロセスで理解しやすかった。
・元々重要性は感じていました。
・実際に自分でも「表向きのニーズと、深い部分の目的が違っていること」を、何度も体験しているから。
・ヒアリング内容、提案内容がチームによって異なる結果になったことを実際に見たので
・実際にあった依頼とのことだったので、とてもリアルに感じることができた
・参加した人が多様で、自分以外の視点を知ることができた。
・気づきが多かった
・実際の場面を想定しての内容でしたので、リアルに近い形で模擬体験しながら考えを深めることができました。
・重要であることは自明なので、どのくらい重要か、ということがわかったかどうかはわからない

■依頼先(依頼者)の今後を見据えて「コーディネーション/ファシリテーションで自分が大切にしたいと思うこと」は明確になりましたか?

59%(明確になった)
35%(ややそう思う)
6%(思わない)

◇具体的には?
・質問力、提案力、傾聴
・相手のニーズを引き出すことが大切。言語化のサポートをしてあげれるようになりたい
・ある程度なったと思います。最後にファシサポの皆さんから大事にしているポイントのレクチャーがあっても良かったと思いました。
・ファシリテーションだけでは進まないから
・互いに思っている言葉と想いのすり合わせが大事だとわかりました。
・必ずしも明確になったかは難しいですね。
・「コーディネーション/ファシリテーションで自分が大切にしたいと思うこと」=第三者目線と、・熱意と目的意識
・深い話し合いが出来たので
・依頼者が求めている内容と自分の思いが違う場合の難しさはあると思うが、何となく大事にしたいことは分かった気もする
・依頼者のその先の参加者まで含めて、ベストな回答を考えようと思う
・意見の交換が有益でした
・言語とその定義を合わせることの重要性があった
・なぜFが必要なのか、Fに対する自分の考えやスタンスが明らかになりました。

■今回のオンライン開催での快適度についてお聞かせください

59%(快適だった)
41%(どちらかと言えば快適だった)
0%(どちらかと言えば快適でない)
0%(快適でない)

◇具体的には?
・ZOOMに慣れないので、とまどったところもあるが、話し合いができるツールであるとおもった。
・Web上でグループを作ったり、シェアしたり出来ることを知れたし、Web上だからこその空気感の共有が課題になる事もわかったから
・ファシリの方々、ホストの方々が、わかりやすく、かつ、不具合なく進めてくれた
・とてもスムーズでした。グループファシに入っていただいたのが良かったです。
・通信回線が良い場所だったから
・各セッションにファシリテーターを配置したのがよかった。
・対面と違う緊張感、楽しさ、手軽さがとてもよかった。
・ブレイクルームに移るたびに音声が途切れて、ヘッドセットのUSBを二度ずつ差し替えなくてはならなかった
・企画、進行が素晴らしかったから
・特に問題はありませんでした
・東京までは交通費がかかります。時間はだいたい1時間30分くらい。今日は雨ですし。これが全部気にしなくてよいということは相当なメリットです。
・途中ネットワークが切れた
・リアルに近いのりで対話ができた
・FAJの企画に参加させていただいて、ZOOMが3回目で、使い方にも大分慣れてきたため。
・全体の流れが良かった。マイクミュートなど、ちょっとしたトラブルはあったものの、立て直しが良かった!今後の参考にしたいです。


■その他

・初めての参加なので、比較はできませんが、リアルな場よりは発言しづらかったです。
・全般的に快適でした。
・Zoomの運営がスムーズでした。最初に簡単な説明がったのもよかった。
・空気感 場がつくられすぎてない

【企画者コメント】
企画者として5人の名前は提示していたものの役割分担が何かをしっかり伝えるのを失念して、参加者にはやや不安を与えてしまった。
ファシリテーター2名体制で行なったが、一人が説明したあともう一人が言葉を補足し説明を重ねる場面が何度かあり、参加者としては話す時間(あるいは考える時間)を削られるように感じたようである。オンラインに於ける「沈黙」の重要さも浮き彫りになった。
当初はオンラインでの4時間ワークショップは結構長くて大変だろうと疑っていたが、やってみると「結構できる」ことがわかった。
お互いの表情もある程度見えて、非言語のコミュニケーションも結構取れる感じはしたものの、リアルだと、参加者とファシリテーターの立ち位置があるから見えてくるものがあるのに比して、画面だと完全に平面(2次元)なので見えにくいものもある。

今回は、案件を2つ選び、さらにグループを2つに分けてみたが、テーマにより全く違う提案になったことは興味深かった。
コーディネーションにひとつの答えがないというのが参加者にも共感してもらえたようで嬉しい。もし機会があれば定例会に限らずもっとやってみたい。

【オンライン定例会のふりかえり】
① 事前テスト
2回ほど、企画グループでZoomの運用確認テストを行なった。

②ブレイクアウトルーム
4つの部屋を基本として、2室に合体させたり、最後は、全員が異なるグループメンバーになるように(ジグソー形式)配置するなどやってみた。

③OARRやインスト等の紙芝居
全体共有機能を使い、パワポ、グーグルスライドを利用して行なった。

報告者

尾上昌毅

報告日

2020/04/16