2025年5月定例会レポート テーマ2 あなたが/家族が介護を受けるとき、納得できる「話し合い」ができますか? ~介護と話し合いを考える 第2回東京支部
調査研究:東京支部 2025年5月度定例会
テーマ2 定例会 あなたが/家族が介護を受けるとき、納得できる「話し合い」ができますか? ~介護と話し合いを考える 第2回
開催日
2025年5月24日(土)10:00~16:45
会 場
かつしかシンフォニーヒルズ別館 ローレル
ファシリテーター
西村舞由子(FAJ会員 東京支部)
企画運営担当
西村舞由子・浦山絵里・尾上昌毅・録田直子(FAJ会員 東京支部)
参加者数(会員)
10名
一般・見学者数
6名
テーマ詳細 プログラム内容 担当者振り返り 参加者コメントなど
【本テーマの主目的・検証したかったこと】
3月からの2回連続定例会で、現場の情報を得た上で、
・介護のシーンの「当事者」になった時の話し合いは一体どうなるのか
・そのとき、誰と何を話し合いたいのか
・「その人らしく暮らす」ための話し合いに、ファシリタティブな何かを活かせるのか
以上を、参加者と介護現場職がともに考え、それぞれの(現時点での)結論を導くことができるのかを検証した。
【主目的・検証したかったことについての実施結果】
・現場の情報を得た上で、「介護と話し合い」について話し合うことは、介護職・介護当事者(将の潜在的当事者含む)にとって、考えを深め、介護への準備を行い、介護の過去を昇華するために、とても有効である。
・介護と話し合いについて、一義的な「こうすればいい」という結論はないものの、「こんなことに注意すれば良さそうだ」「こうしないように気を付けたい」といった共通の志向を共有することができた。
・参加者各位が、「介護のときに(備えて)誰と何をどう話し合いたいか(したいか)」を持ち帰ることができた。
【実施内容】
①イントロダクション
②チェックイン G内自己紹介
③この定例会で使う「介護」という言葉の定義について
④対話 自分を知る時間
ⅰ 「自分らしく暮らす」ために大切なことは何か? 1つ選び、その理由を考える
ⅱ ⅰを話し合う
ⅲ 最期のとき、「これだけは絶対にしてほしくない」と思うことを1つ、その理由を考え、話し合う
⑤現場介護職とMFのトークによる話題提供
その人らしい暮らしを叶える「話し合い」とは
感想をGで共有・全体で共有
⑥実際の介護で行われがちな、失敗とされる対話のシナリオ(5人の登場人物がいる)を、各役3~4名で読み合わせる
ⅰ 役のGで打ち合わせ
ⅱ 読み合わせ
ⅲ 役のGで、自分が言葉を発したとき湧き上がった感情を対話
ⅳ 全役各1名いるGに組み替え、このシナリオの「本人」(最後に怒って「帰れ!」という)にそう言わせたものは何か?を対話
ⅴ それを言わせないために各役の立場で何ができたか?を対話
⑦ ⑥のⅴを共有
⑧円座になり、ふりかえり(話題提供者含む)
【アンケート結果】
・テーマの満足度 ★★★★☆(4.6)
・ファシリテーション・進行について ★★★★☆(4.6)
・プログラムの構成、内容について ★★★★☆(4.5)
【参加者の声】
・考えが深まりました
・シナリオがとてもリアルでした。
登場人物の立場で読んで、気持ちを感じてから、話し合うことで、とても深いものになったと思います。
・数多くヒントをいただけた。
・伝えたいことが明確だった。
・紙ポでの説明、順に貼っていくなどの工夫があり、内容が伝わりました。
・よく分からないタスクがあった。
・事例がとてもよかった。発言機会が多く楽しかった。
・話題提供の内容がよかった。
・自分ごととして考えることができた。両親を思い浮かべながら対話できた。
・3月にも参加したが、より具体的にイメージできた。
・シナリオの各人になって感じて考えることで深まった。ただ話すだけだとここまでホラーだとは感じなかったと思う。
・前に立つMFの姿勢がよかった。
【企画側の気づき】
・話題提供で、4人がそれぞれ自分の立ち位置をしっかりとわかって話してくれているのが素晴らしかった。驚くほど話がつながっていた。各自の役割の捉え方がとても伝わりやすかった。
・シナリオ部分のインストラクションについて、シナリオを読み合う直前に、もう一度場面設定を読み上げるなどして、参加者を場面にリアルにいるような感覚に戻してもいいかも。場面設定を読んだ直後に、「どんな場面だと思う?」と一度考えてもらってもよかった。
・感情や体感はすぐに話し出せないので、感情を出すための小さく段階を刻むようなインストラクションをした方がよかった。
・「感情」を引き出すときは、モードを変えるファシリテーションも意識的にしてみては。先生のような「こうしてください」というテキパキさではなく、少しトーンを下げ、あえてゆっくりと、Fの体感を素直に出し、そこにいる人とシンクロしながら進める方法があるのでは。
【ファシリテーターの感想】
・参加者には実際に介護の経験があったり、これから介護の期間に入ろうとしている方が多く、取り組む意欲は高かった。具体的な情報だけではなく、話し合いの場で揺れ動く感情的な葛藤ややり取り、思惑の存在について、わたしも含めて気付くことができた。
・プログラムでシナリオ読みの後で、30秒感じてくださいというのを、いうか言わないかを迷った。どこかで1人で感じる時間が必要だと感じたから。それを入れなかったのは、怖かったからかな?→そこまで感じてもらえるのかな?と感情を取り扱う上での怖さがあった。
・企画時も、対話時も、もっと自分の感覚を信じて、のびのびとFをしてもいいのだと気づいた。企画も、何を伝えたいのかさえはっきりしていれば、表現の形は自由でよい。対話時も、何を伝えるのかがはっきりしていれば、効果的な表現はオリジナルで思いつく。それを素直に出す勇気があってよい。自分との対峙だと感じた。
・介護現場職とそれ以外の人々が、介護について柔軟に話し合うことそれ自体が、介護の質を底上げすると考えてこの企画を練った。数年越しの企画実現であったので、2回連続で行えたこと自体が感無量。できれば間を開けつつも、形を変えて続けていきたい。
報告者
西村 舞由子
報告日
2025/6/1