第10回東京地区研究会議事録
■日 時:2004年8月28日(土)14:00〜17:30
■場 所:慶應丸の内シティキャンパス
■参加者:57名(うち見学4名)
■講 師:桑畑 幸博(慶應MCC 専任ファカルティ)
■テーマ:「図解ファシリテーション実践」
■ファシリテーター:
(メイン)古岩井 (サブ)尾村
(アシスタント)徳田、山崎、大川(喜教)、長谷川、伊藤、新岡
■内容
14:00- あいさつ、概要説明
14:05- 桑畑さんプレゼン「図解ファシリテーション実践」
◎自己紹介(自分は何者?:学習者、職人、コラボレーター....)
◎「コラジェクタ」とは?
「【コラ】ボレーション+プロ【ジェクタ】」の造語
可視化&保持→目に見える議論→生産的な会議、高質なアウトプット
※FAJ的には?「論理構造の可視化」にフォーカスしたファシリ
テーショングラフィック
◎どうして今「コラボレーション」?
価値観の多様化、見えない課題
→凡人の価値×nにより天才に勝る価値を
・ビジネスの場での「コラボレーション」
(現状)コラボレーションを支援するしくみは?人材は?
管理職の総工数の50%が会議
どうして「会議のプロ」がいない?
役割:司会+書記+参加者
・コラボレイティブな会議
役割:ファシリテーター+ビジュアライザー+コラボレーター
日本語の翻訳機能(F、V)
・会議はどう変わる?
<論旨の共有化+議論の構造化+概念の再構成>が可能になる
会議が終わった時点でアウトプットが生成され(てい)る
◎ファシリテーショングラフィックにPCを使う意味
・PowerPointを「思考ツール」として使う→
何通りもの構造化、情報の濃淡、個人の腕に左右されない図解
表現が可能
◎図解ブーム:「読む」ことに着眼→「書く」一昨年からブームに
新たなビジネススキルとして認識されてきた
図解の「クリティカル・リーディング」;本当に判りやすいか?
*わかった「つもり」
---->全体の構造を把握してから読み解く
*ごまかされる
---->書き手の意図、それ以外の解釈を探しながら読み解く
*混乱する
---->自分ならどう直すかを考える
*思考停止
---->単純に納得しない、欠けている要素や次の展開を探求
◎図を描く意味
要素(情報)間の関係性が可視化される
<論理構造、本質・ポイント、他要素の必要性>
時間軸と空間軸で考えれば、図が描きやすくなる
まとめ:集約・収束、結論を出す
整理:展開、掘り下げ、活性化<-----コラジェクタの活用
(論脈図、因果関係図、リッチピクチャー(相関関係の俯瞰)、
ロジックツリー、BOXアプローチ)
◎ボックスアプローチのサンプルセッション
(全員で、抽出済みの要素を配置する)
テーマ:「電化製品のボックスアプローチ」
(大手家電メーカーの企画担当者になったつもりで、軸を考える)
●生活必需と趣味
・情報(データ)を扱うか否か
●個人使用か共用するか
・値段が高いか安いか
※分類が目的ではない、「気づき」を生み出すのが目的
→ファシリテーターにとってはラクなツールといえる
同じような軸は選ばず、なるべく違う組み合わせの方が 気づきが生まれやすい
配置時に、1/0にするか、リニア(濃淡)にするかを 決めておく必要がある
視点を変えてみる、ずらしてみる....という風に議論を 展開させることができる
各象限に名前を付けてみる....など
◎Q&A
Q:どういう場面(位置づけ)で使うのか?(論理チェック?)
A:発散、議論活性化のツールとして使う
(e.g.象限の濃淡などから、要素を引き出す)
Q:マーケティングの「パーセプション・マップ」と同じ?
A:同じようなものではないか。
Q:市販のPowerPointをそのまま用いればよいのか?
A:その通り
◎グループワークの説明(桑畑さんより)
15:10- グループワーク(A〜F)
テーマは3つ。グループはA〜Fの6つ。
ひとつのテーマに対して2グループが同時に取り組む。 これにより、図解の仕方だけでなく、軸の取り方や要素のプロットの しかたを対比することができる。
テーマ:
「公園」(まちづくりプロジェクトの一員になったつもりで)
「癒し系商品」(東急ハンズのバイヤーになったつもりで)
「携帯電話」(携帯電話キャリアの企画担当者になったつもりで)
<各グループごとに、予め用意されたPowerPointを使って、
ボックスアプローチによる要素のプロットを行う>
16:15- (休憩)
16:25- グループ別発表
※成果物は、別添のPowerPointファイル
「FAJワークショップ集約(20040828).ppt」をご参照ください。
「公園」(まちづくりプロジェクトの一員になったつもりで)
Aグループ(人口20万人のまちを想定)
「(他の家族との)交流があるかないか」×「大人と子供」
右下(交流あり+子供)が薄い--->子供の意見を聞きたい
左下:「自然」の要素を盛り込みたい
新しいものが見えてこない?(テーマ、軸の設定によるかも)
足りないものに気づいた!(空いているところに注目する)
タイトルに「何を議論しているか(論点)」を明示すべき
行きつ戻りつが頻繁に発生する--->2画面でやれば?
ファシリテーターとビジュアライザーを兼ねる--->負荷が高い?
ホワイトボードとの併用もありではないか
Dグループ
(初回)「安らぎか体験型か」×「人工か自然か」
必要そうなものをランダムに出す
そのあと軸候補を出してみた
マッピングしたら「何が言いたいかよく解らない」
→軸の取り方を変える
(2回目)「大人向けか子供向けか」×「必要性が高いか低いか」
必要性?(大人にとって、子供にとって)
右上:「遊び場志向」 左上:「安らぎ志向」
これで何が言いたい?
分析すること、までは学べたか
「癒し系商品」(東急ハンズのバイヤーになったつもりで)
Bグループ
プロットすると「空いているところ」がでてくる
--->そこからヒントを得る
(初回)「未婚か既婚か」×「使うものかおいておくものか」
--->???--->軸を変えよう
(2回目)「身体的か精神的か」×「道具的か環境的か」
右上:身体の健康グッズ
左下:心の健康グッズ
左上:非科学系 右下:科学系(ここが薄いと判った)
何のための議論かを浮き彫りに予め明確にする必要あり
概念の細かさを揃える必要あり(色や大きさで)
コラジェクタを使うにあたって
ネタと軸を並べて表示
ポストイットの方が速い?
Eグループ
一人ずつ商品を挙げてもらった(グループ内で3巡)
軸出し--->多数決で2つに絞る
「人工と自然」×「コアこだわりと一般大衆」
右上:イノベーション、癒しの想像
右下:お手軽
左上:王道、自然へのこだわり
左下:ユビキタス
各象限ごとの動き(商品開発の流れ)があるのでは?
---->象限同士の組み合わせで、さらに新しいものが出る
ブレストに時間がかかった
軸出し先行はあり?
似た軸をグルーピングすると納得感がある
PowerPointを使うからこそできる表現もあるのでは?
「携帯電話」(携帯電話キャリアの企画担当者になったつもりで)
Cグループ
ケータイの「使い方」を挙げてみる
---->本来のケータイの使い方は?
(一つの軸)+ケータイでできるかできないか
「代替性が高いか低いか」×「双方向か一方向か」
右上:電話の本来機能
忘れてはいませんか?立ち戻ってみませんか?
(気持ちが伝わる媒体にならないか)
左下:付加機能
ここに新しい機能を入れ込むことができる?
言葉の共有、意見がつながりやすい(共有物)、突っ込みを入れ
やすい、ブレストがまとまりやすい、データ処理があとで楽
(ただしPC操作に手慣れてないとムリ)
言葉のぶれを少なくするための「言い換え」を書き添える
Fグループ
ケータイに「欲しい機能」を列挙
軸を考える(全部で5つ);機能か、マーケットセグメントか
「改善か革新的機能か」×「男性か女性か」
左上:じじい市場(!)
右上:ユビキタス市場
左下:ライフアクセント市場
右下:癒し市場
いいところ)修正が簡単できれいに仕上がる、集中しやすい、
資料がそのまま使える
問題点)他の画面が一度に見れない、画面の大きさに思考が制約
される、同時多発性が乏しい(シリアルになる)
17:10- 質疑応答
(桑畑さんからのフィードバック)
・ビジュアライザー2人体制(PC2台)もあり
お互いのデータをやりとりしたくなる(!)
(Q&A)
Q:他の媒体(ホワイトボード、フリップチャート等)と併用する
ことはあるか?
A:ホワイトボードと併用することはある(コラジェクタ発想の きっかけが、ホワイトボードを使った経験から)。
Q:スライドの大きさは変えられないのか?
A:変えることはできる(ただし、余白を「置き場」として使うこと ができる。これはおすすめ)。
(トラブルからのリカバリーによる停滞が....)
A:深くは想定していないが、こまめに保存するなどの対処はとる。
Q:ファシリテーターとしては進めやすい半面、ビジュアライザー を兼務すると参加者の顔が見にくくなるのでは?
A:席の配置で工夫する(ファシリテーター+ビジュアライザーが座の中心に座る、等)。
一番大事なのは、「一つの画面をみんなが見ること」。
Q:ファシリテーターとしてのストーリー立てのノウハウは?
A:やりながら自分の「芸」を磨くようにする(しかないか)。
Q:コラジェクタは、ファシリテーションの「効果を上げる」ため のもの?それとも「効率を上げる」もの?
A:どちらもあり(前者として使いたい!という意識は強い)。
Q:軸出しで悩む。最初は1軸(2つ)で始めるのもありでは? 逆に軸が多くとってもよいか?
A:「何が見つかるか判らない」という意外性・期待性を求めて、 あえて2軸にこだわる。多すぎると、そこにはめ込むことに意識が向きすぎるため。
Q:ブレストに時間がかかるので、軸を先に作るのもあり?
A:先に軸を作ると、そこにハマる意見を出したがることになる「ジョハリの窓」的効果を狙いたいので、それはしない方が よいのでは。
Q:PowerPoint+ボックスアプローチという組み合わせを 「コラジェクタ」というのか?
A:今回のはあくまで「コラジェクタ」の一例。画面を共有化する のが一番の目的。
Q:今までで最大に効果が上がった例を
A:コラジェクタを生み出す過程自体「コラジェクタ」であった。
Q:7月の関西研究会のテーマにもなった「(手書きベースの)
ファシリテーショングラフィック」とどう違う? 使い分けの基準は?
A:アナログの良さ:場の勢いを生かして記録できること。 デジタルではそこが表現できない。だから「効果」優先なら アナログ、「効率」優先ならデジタル
(デジタルだと「どうしてこの結果が出たのかが判らない」)
(要は使い分けが大事!)
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図解ファシリテーションの達人、桑畑さん |
こんな感じで議論が進んでいきます |