2005年度03月定例会 1.ワークショップデザインを極めよう東京支部

FAJ東京支部3月度定例会

■日時: 2006年3月25 日(土) 13:00 〜 17:00
■場所:東京・千駄ヶ谷 日本経営協会セミナー室(2F)
■参加者数: 51 名
■ゲスト講師:浅海義治氏(世田谷まちづくりセンター所長)
■担当:梅谷・須永・松下
■テーマ1:「ワークショップデザインを極めよう」

■企画意図
まちづくりの現場で、実際にあったケース(公園づくり)にもとづき、住民参加型のワークショップの「場のデザイン」についてワークショップ形式で学んでいく。

■アジェンダ・内容
◆ 13:00 〜 定例会前説明 : 「定例会とは」(松下)
◆ 13:05 〜 浅海さんよりイントロ
  ・冒頭、参加者の属性に関する質問:(どういった分野でFを活用しているのか?→非まち系が多い)
  ・ねらい:まちづくりの分野で、どういった形でワークショップが行われているのか、課題があるのでそれに取り組んでもらう演習形式で知ってもらいたい。
  ・世田谷まちづくりセンターの概略説明;まちセンのパンフの配布(「活用ガイド」)あり。
  →最大の財産は、まちセンと市民団体群との連携が上手くいってること。 その他、各種事業の説明。
◆ 13:15 〜 旗揚げゲーム
  ○今日はどんな人が集まっているのか? (複数回答可)
  →「ビジネスの現場に比べ、まちづくりWSの現場では知らない人が参加する可能性が高いため、このような質問から入っていくのが良い。まちづくりの現場でよくやっている。」との解説あり。
  質問1:「ワークショップの経験について」
   1.文献を通して知識がある;9名
   2.実践的な講習会を受けたことがある; 13 名
   3.企画実施の事務局の経験がある; 19 名
   4.ファシリテーターとして現場運営をしたことがある; 10 名
   5.その他;7名 → 「経験がない」など。
  質問2:「まちづくり現場の経験について」
   1.今までほとんど縁がない; 32 名
   2.仕事としてまちづくりの現場に関わった;5名
   3.行政計画等への住民参加に市民として参加;4名
   4.NP O 等、市民主体のまちづくりに参加;4名
   5.その他;3名 → 「雰囲気は知っている」「診断士の実務補習」「自治会でやった」
  追加質問:浅海さんより「ファシリテーションを勉強する動機は?」
  →「職場での会議の生産性向上」、「職場のモチベーションアップ」、「ファシリテーションを仕事として始めていて、刺激をこの場で受けたい」、などの回答が参加者からあり。
◆ 13:25 〜 演習課題の説明 (資料:「ワークショップデザインの課題」の配布あり)
  ・浅海さんが資料を読み上げ。
  ・公園デザインのWSをする、対象敷地の写真をスライドにて説明。
  ・住民参加のWSを行う場合の考え方。
   � 「参加形態のデザイン」 =計画によって影響を受ける人(ステークホルダー)は誰で、どこまでの人に、どのような参加のしてもらい方をしてもらうのか、というようなことを考える。
   � 「プロセスデザイン」 =例えば、同じテーマをおとな、子どもの別でWSをすることによって意見をより引き出せるようにする、ワークショップに参加しない人への情報開示手法などを検討する。
   � 「プログラムデザイン」 =1回3時間程度のワークショップのデザイン。
   →ビジネスと違う点:複数回WSにおける参加者の入れ替わり=目に見えるアウトプットを毎回作っておくことなど。
  ・課題A(プロセスデザイン)、課題B(プログラムデザイン)のやり方の説明(ヒント)
   課題A:カードを上手に使うように。目的・目標をしっかりとすり合わせた方が上手くいく。
   課題B:住民参加の第1回目ワークショップのデザイン。第一回目であることをよく念頭に置いて欲しい。
◆ 13:55 〜 どちらの課題を選ぶのか、自己紹介と合わせてグループで討論( 10 分)
→希望を聞いたところ、プロセスデザイン4班、プログラムデザイン3班に分かれる。
◆ 14:10 〜 休憩をとった後、 90 分で課題に取り組む。(発表は 15:40 〜)
◆ 16:00 〜 発表 <時間管理は、旗揚げゲームの旗で。例:5分前→タイムキーパーが「5」の旗をあげる、等・・・>
  <課題A:プロセスデザイン>
  ○評価の「お題」の内容
   お題1:「プロセスデザインの評価」
   1.参加する意義を十分感じた
   2.必要な人々に参加の機会が十分用意されている
   3.意思決定プロセスが明快でわかりやすい
   4.実施する上で現実的スケジュールとなっている
   5.その他

 ○グループ発表
   �グループ名:「スミレの会」
    計6回のワークショップ。
    ステークホルダー5+公募5の「住民協議会」の立ち上げ等。
    評価:「お題」にしがたって参加者より旗揚げ(複数回答可)。
    1→ 15 2→ 25 3→ 18 4→ 11 5→2
    グループ討論での重点ポイント:ゴール設定にかなりの時間をかけた、とのこと。
   �グループ名:「ラブ・マイタウン」
    計5回にわたる、委員会のプロセスデザイン。
    評価:「お題」にしがたって参加者より旗揚げ(複数回答可)。
    1→ 11 2→ 16 3→ 13 4→ 20 5→2
    参加者より感想:「根回ししておく」が非常によかった。
   �グループ名:「ドロナワーズ」
    評価:「お題」にしがたって参加者より旗揚げ(複数回答可)。
    1→3 2→ 12 3→6 4→ 15 5→7
    5の内容:行政主導になっているのがもったいない/自分がどう参加していいのかわからない/自分の意見がどう反映されるのかわからず、参加する気が・・・
    会場からの質問:意見集約の場は? → 決まっていない。積極的な   参加を促す工夫は? → 広報/ピクニック
   �グループ名:「グループS」
    現況把握 → 案の吸い上げ → コンセプト案の絞込みという流れ。
    評価:下記「お題」にしがたって参加者より旗揚げ(複数回答可)。
    1→ 12 2→ 21 3→ 24 4→ 21 5→0

 <浅海さんからの解説>
  ・��� 住民主体の協議会を立ち上げ、意思決定していくやりかた。
  →このケースのファシリテーターの役割は住民協議会をサポートし、行政と繋げるイメージが多い?
  ただ、実際の場面では閉じられた住民協議会だけで決めていいのか?
   ・�行政がファシリテーター役を兼ねて住民をコーデイネートしていくイメージ。
   ・話合いが好きな人が必ず動いてくれるとは限らない。(むしろ、話し合いが好きな人は動かない傾向の方が強い)
   ・でも、皆さんきちんと概ねデザインできている、というのが率直な感想。

 <参加者からの質問・感想>
  ・ツール使用は楽しいしWSもやりやすいが、それによってグループ同士の発表が似てしまうのでは? 
  → それはあるかも知れない。 最初に何もツールを用意しないWSをやるのも一つの方法。
  ・企画シートを現実に使用する場合の使用方法は? 
  ・実際に行動するのは? 
  →アイデアは住民から。情報発信等、動くのはファシリテーター(まちセン)か行政。動ける人を探すのが大切。簡単には見つからない。そういった人と、関係性を作っていくことがとても重要。また、一連のPJであっても、WSのテーマによって、住民の参加度が異なる。ここがファシリテーションを行う上で難しい。

 <課題B:プログラムデザイン>
  ○評価の「お題」の内容
  お題4:「プログラムデザインの評価」
  1.何のための集まりかよく理解できた
  2.自分達の意見が十分に反映されそうに思った
  3.コミュニケーションの手法に創意工夫がある
  4.楽しそうで、ワクワク感がある
  5.その他

 ○グループ発表
   �グループ名:「アウトドアーズ」
    ・背景の条件設定をグループで設定。
    ・ポイントは現場(外)で、みんなで話していく、というところ。
    評価:「お題」にしがたって参加者より旗揚げ(複数回答可)。
    1→ 12 2→4 3→ 18 4→ 20 5→1
    感想:「1回目のWSでリーダーを選びます、ではひいてしまうのでは?」
   �グループ名:「祖師谷大蔵泡の会」
    ・ポイントは、�和やかな雰囲気作り �参加者の当事者意識の増大
    評価:「お題」にしがたって参加者より旗揚げ(複数回答可)。
    1→ 13 2→ 12 3→ 28 4→ 16 5→1
   �グループ名:「イナバウア−チーム」
    ・ポイントは、�まず親睦を深めることと、�PJの背景・目的を理解してもらう、ということを狙いにして設計した点。
    評価:「お題」にしがたって参加者より旗揚げ(複数回答可)。
    1→ 28 2→ 10 3→5 4→0 5→3
    感想:「WS終了時の決定事項の確認と、次に取り組むことの確認ができている点が良い」

■まとめ
◆実際のケースではどうなったか浅海さんより情報提供:
<浅海さんからの資料配布>
・「桜ヶ丘4丁目緑地づくりニュース」の配布資料の提供;
実際の成果→1年目は公園の図面まではいかなかった。基本コンセプトの言葉(「自然環境を大切にする緑地公園」)をまとめた。
<参加者からの質問>
・このケースにおける実際のプログラムデザインは何人で行った? → 3〜 4 人でプログラムデザインを組んだ。(自然環境専門家、世田谷まちセン) 地元の自然保護市民団体もあり、楽しいアクティビティを構成することができた。

◆浅海さんより締めのコメント:
・実際のまちづくりの現場では、「王道」はなく現場の状況に応じ、事前につくっておいたプロセスデザインを臨機応変に手を加えてすすめていく。
・こうした臨機応変なやり方こそが、住民にも信頼感を与える。

◆運営スタッフより(梅谷さんより)
・これを機会に参加された皆様には、是非まちづくりの現場にWSの参加者として、あるいはファシリテーターとして関わってほしい。
・東京運営委員会公募の周知

■感想
実際の現場にあったケースを、課題としていたため具体的であり、参加者の皆さんは討論に熱中していた様子でした。
また、ワークショップの際に活用する各種ツールの使用は、ビジネスの会議現場ではあまり活用することはなかったため、ビジネスの分野でファシリテーションに取り組んでいる参加者の方の多くは参考になったようです。
東京フォーラム後の定例会ということもあり、参加者多数のため色々準備が大変でしたが、ゲスト講師・スタッフ、そして参加者の皆様のご協力で当日は円滑な進行ができました。ありがとうございました。

■次回の予定
日時:4月 22 日(土) 13:00 〜 17:00
場所:東京・千駄ヶ谷 日本経営協会セミナー室
テーマ:「組織開発とファシリテーション〜あなたは自分の組織を変えられますか〜」
担当:池田、喜多、末広

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