2006年度08月定例会 困ったちゃんはいなかった?!〜KJ法を通してファシリテーションを見つめなおす〜東京支部

2006年8月 東京支部定例会記録

■日時:2006826日(土) 13:0017:00

■場所:NOMA

■話題提供、F:永野篤さん(FAJ会員)

■テーマ:困ったちゃんはいなかった?!
  〜KJ法を通してファシリテーションを見つめなおす〜

■担当:長橋良智さん、大嶋友秀さん、井上貴美子さん(東京運営委員)

■参加者:5人×12G、6人×1G、計66人、オブザーバー1人、他3人

■予定

13:00:ワーク1

14:45:休憩

15:00:ワーク2

17:00:終了

■記録

13:00〜 ■イントロ

■定例会の趣旨(運営委員長:喜多さん)

 ・お互いの学びの場であること。

 ・特定の方法を支持、応援しようとするものでないこと。

■担当者より(長橋さん)

■「KJ法について」(永野さん)

 ・Fや問題解決に役に立つ・・

 ・今日の心:「This is a pen」基礎の基礎

 ・今日のテーマ:〜混沌をして語らしめる〜

13:15〜 ■ワーク1「データをまとめるってどういうこと?」

【課題】

  ・データをまとめて部長へのレポート(100200字程度)を作成する。

  ・時間は55分。やり方は自由。

 ?一人でデータを読む。

13:25

 ?グループでメンバーとともに報告書を作成する。(45分間)

 ・紙、付箋紙を使ってもよい。

14:10

 ?発表

 ・できたグループ→0

 ・できなかったグループ「何か、いいたいことがあればどうぞ!」→なし

 ?グループ振り返り(20分間)

  (1)どういうプロセスでまとめようとしたのか?

  (2)データをまとめるって、どういうこと?

  (3)通常、ファシリテーションの際、どうやって複数の人の意見をまとめているの

か?

14:30〜 ■全体発表

 (1)について

  ・時間を考慮し分担→不要な情報と意味のある情報を分けた→意味のある情報

を精読、分類(社長の目線で)→キーワードを議論→たたき台を一人が作成

→みんなで見直し。

  ・図示をして話をした。グループ化したり、手法を確認したりした。

  ・時間内で200字にまとまった。手順はカードを切り、キーワードで分類→分類

を見直し→目的、趣旨の確認(社長への報告)→省くものを考えた→残った

ものからキーワードに着目→重要なものを抽出→再分類→データをまとめ、

要約して言語化。

  ・カードを切って、ある人の考えでマッピングしていった。反省点はゴールを

決めずに始めたこと。そのため軸がばらついた。見方がさまざまで、ぶれ

た。また、カードを線で切ったのはまずかった。一つのカードで二つ言って

いる場合がある。

 (2)について

  ・報告を伝えるだけなら二人を社長の下に連れて行けばよい。社長の期待、我

が社の人材開発についての部長の問題意識などが必要。仮説をつくり、そ

の検証用にデータをまとめる。

  ・データをまとめることそのものがどういうこと?という言葉のとらえ方が議

論になった。

  ・まとめて、くくって、構築する。図示してやることが重要。

  ・事実と意見を分類。関連性をみつける。視点、目的を明らかに。

  ・本質を見いだす。目的にあったもの。よりよくするために。そもそも、デ

ータが必   要なのか。KJ法って何なんだろう。

  ・キーワードにずれにあることがある。キーワードを最初に決めるのはどうか?

 (3)について

  ・1見える化(文章・図)

   2目的にあっているかの意見交換。

   3見落とし、偏りがないか。フレームワークを使う。

   4もっとほかに見方がないか、仮説を投げかける。

   5感性に訴えチェック。

   6コンテンツとコンテクストのバランス。

  ・社長の立場を考え、ゴールイメージを明確にした。分類した。

  ・個々の意見を尊重すること。視点の違いを考える。個々の意見を尊重するこ

とは、思ったことを言うことでもある。時間との兼ね合いで推し進めること

も必要。

  ・普段はそんなに困っていないという人がいる。それは、決め方が決まってい

るから。それが正しいとは限らないことに気づいた。意見がたくさんでない

ので困らない、ということも。

  ・キーワードを見つける。目的を共有して、データを分解。見える化。視点

を見つけて取捨選択する。

  ・データ、複数意見のまとめは料理に近い。カレーが食べたい場合、素材に

分解してみんなに諮る。

  ・キーワードは「本音」。カテゴリーの言葉について話題になった。社長が

どう思うかを考えるか、二人の報告者の考えをどう伝えるかという意見も。

■Fのコメント

 ・KJ法:断片的なデータ、数値で表せない定性的なデータをまとめる手法

 ・KJ法は仮説法

 ・仮説を立てる→自分で課題を発見する。(データから何が見えてくるか)

 ・後半はKJ法にトライする。

14:5515:10 休憩

15:10〜 ■ワーク2 

■Fの説明:KJ法とは何か

 ・グループ編成

 ・ラベル拡げ→ラベル集め→表札づくり

■ワーク2「まとめるんじゃない、まとまるんだ」〜プロセス志向で思考が錯誤〜

 ●ラベル集め

  ・ラベル一枚一枚が人間だと思って「傾聴」する

  ・「志」に耳を傾ける「この人、何が言いたいんだろ?」

  ・ファシリテーションの心構えと一緒?

 ●グループ構成

  ・志が似ている人→ラベルを近づける(分類ではない)

  ・一緒になったものの内容を一枚に要約する(誰にでもわかる文章で)

  ・他とくっつかないのは「一匹狼」。後で使う。

 ●表札づくり

  つまり

  ・ラベルを拡げて読み(傾聴する)

  ・似ているものを寄せて(分類ではない)

  ・別の紙に内容を「要約する」(誰にでもわかる文章で)←つないで、圧縮す

   るつもりで。

15:20

■個人で作業

16:10

■グループ内発表(20分間)

 ?ラベルの読み方はどのように変わったか?

 ?ラベルどうしがどんな風にくっついかたか?(分類していないか?)

 ?その他

16:30〜 ■全体発表

 (1)ワーク1、2でラベルの読み方はどのようにかわったか。

 (2)ラベルの組み合わせが人によってどんな風に違っていたか。それに対する感想

   は。

  ・ワーク1では分類。ワーク2では書いた人は何が言いたかったのかを考え、

   1と違った組み合わせができた。組み合わせが人によって多種多様。共通し

   ていたことはいくつかあった。個人ワークではすんなりいった。グループ

   ワークではコンセンサスがとれるか?

  ・大きく変わった。1では社長への報告を特徴的なものを出そうと、切り捨

   てたものがあった。カードの気持ち単位でまとめると、書いた人の本音に迫れ

   る。多い人9グループ、少ない人5グループ←分類だったという反省あり。

  ・ワーク2は難しかった。1はキーワード中心。2ではじっくりカードを読ん

   だ。他の人のを見ると切り口がいろいろ。

  ・難しかった。もやもやしたという感想が多かった。個人的にはすかっとでき

   た。2では報告者の会場での姿をイメージしながら読み取った。報告者の気

   付きや学びを感じた。単なる主張、事実も。考えるより、感じろ、あるが

   まま見つめろ、と感じた。

  ・ワーク1は楽しい。自分の意見は通らなかった。ワーク2はさみしい。1で

   は分類。2は擬人化して紙を見て、尊重していった。もう一度1をやると一

   日では終わらないだろう。

  ・2では切り口が違う。分類と似たものに分ける違いに戸惑った。気持ちで分

   けた。表札として「何だ、期待してたのに」カードは「USB→ボールペン」

   「カルロスゴーン」「子会社・親会社」という例。1と2では全然違ってい

   た。

  ・差がついた人、同じ人がいた。2は違う分類をしようとして、結局分類した。

   「体を動かしたい」という表札では身体的な印象のラベル、感覚的なものが出

   る。

  ・1は内容に焦点を当てた。2では感情が大きい。グループのMさんは意味の

   つながりのあるものを整理した。そうしていると意味の変わる瞬間があった。

   そのカードが動いて違うものが集まりだした。意味、連想、文脈にあうよう

   に、感じていると言うより考えた。

  ・1はキーワードにとらわれた。2では見えなかったものが見えたきた。まと

   めるんじゃなくまとまる、について腑に落ちない人もいた。

  ・それぞれによって、読み方が違っていた。最初は分類、いらないものを捨て

   た。縦軸:人間的←→非人間的、横軸:客観←→主観で、すべてのカードが

   きれいに並んだ。ラベル「人間らしい感情や感覚を活かす」「システム化、

   データ化することの問題点」

  ・2では、全部が大事と思ってやっていた。ラベルは長い文章で整理してい

   った。言葉の裏でどうしてこのような報告をしたのか考えた。肯定的な意

   見にならなかったのは不思議。大事なものは人間そのもの。1では200字

   でまとまったが、社長に怒られたかもしれないと思った。パンフレットの内

   容から抜け出てなかったのではないか。2では裏を考えることによって一歩

   踏み出せたのかな。

  ・タイトルの長さがいろいろあった。単純に見ると、短い人は4つ程度、長い

   人はたくさんに分ける傾向。2では、報告者が何でこの事実を取り上げたか、

   一歩踏み込んで考えた。ラベルを人として扱う→どう思って報告を書いた

   か?を考える。ラベルの中身だけを取り上げて意味、感情を考える、という

   2通りの考え方があるのでは。

  ・1では目的によって振り分け。いらないものを捨てた。2では報告者の背景

   を探るようにした。1で捨てたデータが2ではいいデータになった。背景だ

   けにフォーカスしていったら、このマーケットはどんどんのびる市場ではな

   いかということが見えてきて、レポートが書けると思った。何も考えずに分

   けるだけでも見えてくるものがある。

■まとめ

 ・今回のやり方ではまとめはでない。

 ・その後の流れは次のとおり。

  表札&一匹狼→新たな表札→どんどん小さくする→空間に配置→拡げる→グル

  ープを線でくくる(島どり)→見出し(シンボルマーク)→関連付け文章化す

  る→新しい視点→発表→問題に対して考える

 ・グループでもできる(一人一人がわかっていれば)

 ・このステップを踏めば、「まとめるんじゃなく、まとまる」

 ・詳細はwebサイトを参照のこと。

■質疑

 Q1:結果としては分類ではないのか?

 A1:伝わりにくい。説明を改良していきたい。

 Q2:ラベルに書く際の心構え、書き方は?

 A2:テーマによっても違う。科学的なものはデータを精査する必要がある。

    今回のような場合は事実と意見が混ざっていてもよい。感じたこともよい。

    人が見たら議論が起こるようなものを省いた方がよい場合も。

 Q3:グルーピングを複数人でやったらいけないのでは? 気の弱い人は言えな

    くなる場合もある。また、グループでやると分類になってしまうので

    は? 作業しちゃだめなんだと感じた。終わってから比べた方がいい。

 A3:グループKJ法というものがある。すべての人に均等に意見を出してもら

    うためのプロセスがある。やらない方がいいという考えもある。現状、

    グループKJ法をやっている人はKJ法ではない。どちらかというと、

    分類に近い方法でKJ法としてやっている。プロセスとして完全にKJ法

    ができなければ、グループKJ法はない。個人でやった方がいいと考える。

17:00 終了

  以上

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