2006年度11月定例会 1.気づきを促すファシリテーション〜自然観察とファシリテーションの共通点っていったい?〜東京支部

2006年11月東京支部定例会(テーマ1)記録
2006.11.25 13:00〜17:30
場所:新宿御苑&NOMA
企画・運営チーム:志村智子さん(日本自然保護協会・FAJ 会員)、伝井真弓さん(日本自然保護協会)、高取剛充さん(FAJ 会員)、喜多豊(東京支部運
営員会)&自然観察指導員のみなさん(坂東英代さん、田中久男さん、
芳賀真理子さん、木幡英雄さん、小原芳郎さん、櫨木めぐみさん)
参加者:28名(企画・運営チーム10名含む)

13:05〜
■ 新宿御苑へ入園&オープニング
・ 芝生広場にて、自然観察指導員の皆さんを紹介。参加者全員も挨拶。
・ 落ち葉を使ってグループ分け。
Ø グループは、ケヤキ、シラカシ、ユリノキ、サクラの4つ。

13:15〜
■ 芝生広場(@新宿御苑)の周りを散歩(?)
・ 志村さんより指令書が各グループに配られる。
Ø 指令書は、苑内地図に赤線でルートが示されているもの。
・ 指令書で示されたルートを10分程度かけて、各々で歩く。自然観察指導員は同伴せず。
・ 戻ってきたらカードが配られ、散歩していて気づいたことを書き留める。

13:30〜
■ 各グループに分かれて自然観察(?)
・ 指令書に書かれた同じルートを、今度は自然観察指導員と一緒に歩く。
・ 自然観察中の行動などは、自然観察指導員のみなさんにお任せ。

14:50〜
■ 休憩&NOMA へ移動

15:15〜
■ 志村さんからワーク解説

15:20〜
■ ワーク1(個人)
・ 「?自分で歩いて気がついたこと」&「?自然観察指導員とみんなで歩いたら気づいたこと」をそれぞれ書き出す。(カードにメモしておいたこともポ
ストイットに書き写す。)

15:35〜
■ ワーク2(グループ)
・ ?と?それぞれで、出た意見をグルーピング。

15:45〜
■ ワーク3(グループ)
・ 「?と?の気づきに違いはあったか? どんな?」「そのとき、自然観察指
導員は何をしていたか?」を話し合い、書き出す。

16:15〜
■ ワーク4(個人)
・ 他の3 グループが書いた模造紙を各自で見て回る。
Ø 他グループの意見を知る。

16:40〜
■ 参加者よりグループ発表
【ケヤキ】(自然観察指導員:小原さん&伝井さん)
・ 一人で歩いたとき。
Ø 「木を見ろ」といわれるに違いない。
Ø 公園全体についての感想が出た。
・ みんなで見てかわったこと。
Ø どんぐりを食べた。
Ø 質問されて気づいたことがあった。
Ø ポイントを示していただくことで違いが見えてきた。
Ø みんなでわいわい話しているうちに気がついてきたことがあった。
【ユリノキ】(自然観察指導員:坂東さん)
・ 大きな流れ
Ø 一人のときは全体を漠然と見ていた。指導員と一緒だと詳細に見るようになった。
・ 一人のとき
Ø 御苑がどういうところに立っていて
Ø 木だろう。紅葉など。臭いも感じた。
・ 自然観察指導員のばんちゃんと一緒だと......。
Ø 深く一歩踏み込んだ形で歩けた。
² 葉っぱのはなしが聞けた。ばんちゃんが好きらしい。葉っぱの臭いなど。
² どんぐりの話。² 日陰と日向の温度差
Ø 狭い空間に1時間もいた。時間がすぐ経った。
Ø 全体から詳細へ。
Ø 「指導員の方の意図は、何が狙いか?」が気になった。
² 生命の息吹を感じてほしいのでは。たとえば、触れ、におって......。
Ø 自由度があがった
² あっち行きたい、こっち行きたいが出てきて、「じゃあ、行ってみましょうか」。
² 参加者のその時の気持ち・ニーズに合わせて動いてくれた。
² 最初(ワーク1)は決まったルートを押し付けられている感じがした。
【シラカシ】(自然観察指導員:田中さん&芳賀さん)
・ 一人で歩いているときは、いかに表面的なことしか見ていなかったかがわかった。
Ø どんぐりがあるだけ。どんぐりの種類までは......。
Ø 鳥がいたり......。野鳥の会のメンバーがいたので。
Ø 「カツラの木」の解説を読んで「へぇー」とか。
Ø ギンナンの臭いがしたけど、銀杏の木には気づいていない。
Ø 道からほとんど外れていない。
・ 自然観察指導員から、そそのかし、ヒントをもらって、考えた。
Ø 視点を広げてくれる投げかけ。
² 「スズカケねえ。なんでスズカケ(鈴懸)だと思います?」
² 地面の下のこと。ケヤキの葉っぱの広がりと同じ根の広がり。
² どんぐりを食べてみた。初体験。スズメも食べていた。
l スダジイはおいしい。
² 臭いをかぐのも、臭いを解説するのではなく、嗅ぐ行為をして促していく。
² 自分たちが動かないところに、促してくれる。指導員の姿を見て、自分たちも
やってみる。
Ø 2周目はスイッチが入った。もう1時間歩けた。
Ø 投げかけがあることで起きる変化を体感できた。
Ø 一人のときは気がつかない葉っぱに気づいた。
² 私も動物だった。感覚が敏感になった。
Ø 名前をあまり教えようとしない。意味を伝える。
² 赤い実は鳥が目だって食べてくれる、というように。
Ø 質問にすぐに答えない。一拍あって教えてくれる。
【サクラ】(自然観察指導員:木幡さん&櫨木さん)
・ 一人だと出てきた意見は、「ぱっと見て気づくこと」が多い
Ø 木が大きいね。
Ø 人が多い、写真撮っている人がいるね。自然に関係ないこと。
・ みんなと歩いて、細かなところに気づくようになった。一歩踏み込んだ感じ。Ø タネの飛ばし方いろいろ。自然に関係ある気づきが増えた。
・ 指導員がしてくれたこと。
Ø 全部教えてくれない。
Ø 視線は下のほうへ下のほうへ。上ばかりを見ていたが......。
² 踏んで音がするだけの落ち葉がこんなに違うんだ。
Ø やさしく見守ってくれていた。
Ø 魔法の袋にいろいろな仕掛け。いろいろな葉っぱ。下準備に感謝。
・ 落ち葉を分けるワークを体験して。
Ø 最初は見た目で分けていた。葉っぱを形で分類。単に目で分類していた。
Ø 問いかけられると、ひらめきがある。問いかけの力は重要。
² 葉っぱの色づき方が2種類ある。グラデーションが一直線。葉脈に沿ってグラデーション......など。

16:50〜
■ 自然観察指導員と意見交換
【志村さんより】
・ 自然観察指導員は約30年間観察会を続けてきた。30年前はファシリテーターなんてことは意識していなかった。自然保護をひろめるために観察会という手法をつくってきた。自然観察指導員から、今日はどんなことに気をつけていたかを発表してもらいます。
【坂東さん(@ユリノキ)より】
・ 本当は鳥好き。サクラの葉をみているうちに、どんどん入ってしまった。
・ 見えているものから見えないものを伝えたいと思った。
・ 自然の仕組みは見えているようで見えていないことを、身近な素材で生き物のつながりなどを伝えたい。
Ø 全体的なつながりまでいけなかった......。
Ø 耳を使わなかったかな。
Ø 昆虫がいない季節だったのが心残り。違う季節にまたぜひ。
【伝井さん(@ケヤキ)より】
・ 全部説明するのではなく、みなさんに気づいてもらいたいと思った。
Ø 自身で気がついたことは心に残る。流すように心がけていた。
【小原さん(@ケヤキ)より】
・ 打ち合わせ時に各班の共通テーマはドングリと決めた。あとは個性で展開した。
・ ドングリは好き。食べてもらおう。私が食べるので安心して食べてと行動した。
Ø マテバシイとスダジイ。スダジイのほうがおいしい。
・ ただ見るのではなく、2つの木を比較してもらった。(ワークシートを準備した。)
Ø 項目は何でもいい。根でも葉でも。すると、具体的に見えてくる。専門用語が多くなったことは反省。
Ø 自然というものに興味をもってもらえたらと思って。
Ø ワークシートを渡すとまかせられる。楽。
【芳賀さん(@シラカシ)より】
・ できるだけしゃべらない。動き出すまで動かさない。忍の一文字を心がけた。
Ø 楽しいことを一つだけでも見つけてもらいたいと思った。
Ø 今日は全般的な観察をした。テーマを絞るとまた違った見方ができる。
Ø 存分に納得するまで、待つ。
² 葉の形、実の形、色づき。
Ø みんなが興味をもってしゃべってくれたら、私がしゃべる場も増えるかな。
【田中さん(@シラカシ)より】
・ 普段何気なく見ていることは、自分の目線でしかみていない。みんなで見ると、いつもと違ったことが見えてくるのでは。
・ 聞くだけではなく、体験する。ただ食べてくださいではなく、スズメが食べているのを見た後に、じゃあ私たちも食べてみましょうということができた。
・ 身近なところから自然を見ていってほしい。
【木幡さん(@さくら)より】
・ 情報や知識を伝えるのではなく、手を動かして気づいてもらおうと思った。
Ø 指導員みんなが、講習会のとおりにやっていた。
² 今回の体験を通して、自然観察会の気づきのプロセスが見えた。
Ø 自然観察指導員は、自然と参加者の間の通訳者。
² 自然の仕組みをしる・親しむことで、それを守る行動につながるのではないか
Ø よかったです。意図していることが伝わっていた。
Ø 全部を知っているのは難しい。おもしろいな、楽しいなをどんどん出していくだけ。
本当に答えがないこともある。「私も同じ目線ですよ」を伝えたい。
【櫨木さん(@さくら)より】
・ 参加者の視点で楽しませていただいた。
・ 専門的な知識がなくても、うながされることで気づくことがある。
・ 屋外でやったふりかえりで、気づきがあった。
【自然観察指導員のみなさんの言葉を聴いて】
・ 意図は伝わっていた。
・ 否定しない。場をいいものにしてくださった。
・ どんぐりが食べたかった。
Ø 「まだ残っているよ。食べてみる?」(指導員より)進めていくと、「事前にいろいろ考えてはおいたが、無理にやらなくてもいいかな」と思って。参加者のペースにあわせていくことを意識した。
【志村さんより】
・ 日本自然保護協会(NACS-J)の活動の最初は尾瀬。半世紀以上前。
・ 今は世界遺産になっている白神山地のブナを守る活動もしてきた。
Ø ブナと聞いて、新聞記者は「なんて鳴くの?」と聞いた。自然観察会という手法は、気づいていない人に気づいてもらうために役に立ってきた。
・ これまでに2万2600人が自然観察指導員講習会を受講している。
Ø 現在の協会会員は約2万人。
・ 指導員の違いだけではなく、参加者や状況(天気とか季節とか気分とか体調とか、いろいろで)の違いでも、観察会のプロセスは変化する。
Ø 「体験してもらう、気づいてもらう」を大切にしている。
Ø どういうプログラムにするかは指導員の力量にかかっている。
Ø 自然観察会は、日々ファシリテーションの塊。修行がしたいという方はぜひ指導員講習会に参加していただけたら。

17:15〜
■ 事務連絡&振り返り用紙の記入

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