2007年度09月定例会 2.ファシリテーターにトライ!〜はじめのいーっぽ 第3回東京支部

FAJ東京支部 2007.9月定例会 第二テーマ実施報告

『ファシリテーターにトライ!〜はじめのいーっぽ』第3回


ファシリテータとして第一歩が踏み出せない人のために、擬似ワークを行う場を提供することで、最初の一歩を経験してもらう企画です。
初心者向けですが、「ファシリテーションとは何か?」を教えるスタイルではなく「あなたのファシリテーション」はどんなものだったのかを気付かせるスタイルをとっています。
そのために全員がファシリテータを経験し、各グループにフィードバッカを配置して"客観的かつ背中を後押しする"コメントを返すように構成しています。

これまでの経緯と第3回の企画趣旨

本企画は実験的な側面を抱えており、第3回でも今までの経験と新たな要素を加えての開催となりました。実践を通してのトライ&エラーによってスタッフと企画の成長、新たなプラクティスの獲得を狙っています。この点で、継続的に企画側に参加することのメリットは大きなものとなっています。

  • 第1回 2007/03月 Main Facilitator 池田
  • 第2回 2007/06月 Main Facilitator 上村
  • 第3回 2007/09月 Main Facilitator 西岡

第3回の実施内容

実施日、スタッフなど
日時
9月22日(土)
13:00〜17:00(受付開始12:30)

会場

日本経営協会(NOMA)

企画担当(敬称略)

メインファシリテータ : 西岡
フィードバッカー/ スタッフ : 上村、大川、池田、山口、朝野、飯島

参加人数

17名

企画構成

概要
参加者全員にファシリテータを経験してもらうため、短時間の擬似会議を4回行います。議題は企画チームから提供されます。議事の進行中にはスタッフが1名ずつ張り付き、会議後にフィードバックを行います。(フィードバッカー と呼びます。)
フィードバックの方法等は各フィードバッカーに一任され、各自ごとに異なるスタイルで行われました。

タイムテーブル

当日のタイムテーブルです。ほぼこの通りに進行しました。

アイスブレーク1013:20アイスブレーク(FBsも一緒に)ボビー

TitleTime(min)DescriptionLeader
挨拶・スタッフ紹介 10 13:10 挨拶と「気づき」シート記入 西岡
ワーク説明 5 13:25 ワークの流れ説明 西岡
ワーク1 25 13:50 ケース1
ワーク2 25 14:15 ケース2 :
フィードバックその1 20 14:35 FBs
気づきの共有 20 14:55 西岡
休憩 10 15:05 FBs交代
ワーク3 25 15:30 ケース3 前半
ワーク4 25 15:55 ケース 4 後半
フィードバックその2 20 16:15 FBs
個人振り返りSWOTの整理 5 16:20 西岡
全体振り返り 気付きの共有 20 16:40 1チーム2分程度で成果を説明 西岡
アンケート + FAJの歩き方 10 16:50 2歩のチラシを配布 委員の誰か
現状復帰 10 17:00
- 合計 240

アイスブレイク

互いが初対面であることから、緊張をほぐすためにアイスブレークをはさんだ。

内容

紙に下記4項目について記入して、自己紹介を行った

  • 参加者氏名
  • 参加者の誕生日
  • 今の気分、心境は?
  • 今日、この定例会に参加した動機は?

アイスブレイクについての感想

アイスブレイクを経て、参加者の緊張は余り緩和されていなかったように見受けられた。
名前までは覚えていたため、単なる自己紹介でありアイスブレーク効果は薄かった。
アイスブレークにより、お互いの名前を覚えることが出来、次のプロセスの下準備になった。
ファシリテータの順番もアイスブレークの中で決められる仕掛けも機能したが、緊張感の緩和にはまだ改善の余地がある。次回の検討したい

ケース

ケースの内容は、再利用性のために企画スタッフ以外には非公開とさせていただきます。
今回は以下のような構成をとりました。
ワーク1 : 選択肢からの意思決定
ワーク2 : ワーク1の結論を詳細に記述させる
ワーク3 : ワーク2の結論を元に、計画を立てさせる。ワーク4に継続する
ワーク4 : ワーク3の続き。ワーク4で結論を出す。

ケースにおける感想

  • ワーク慣れをしていない参加者が戸惑っていた
  • その一方でスムーズにワークをこなしているグループもあった。
  • ワーク3,4がやや不自然なつながりのように思えた。参加者も戸惑っていた
  • その戸惑いの中で自らアウトプットにたどり着いたところ、そうでなかったところがでてきた。

フィードバッカーからのフィードバック

フィードバッカーはそれぞれ、ワークの様子を観察しフィードバック用シートに書き込みを行う。ワーク終了後にフィードバックを行う。内容はフィードバッカーに一任されており、実際にフィードバックの方法、チェックしたポイントはそれぞれに異なっていたようだ。
ワーク1,2の終了後とワーク3,4の終了後の計2回フィードバックを行った。ワーク1,2とワーク3,4ではフィードバッカーが入れ替わり、異なるフィードバックを受け取ることが出来るようにした。

フィードバックにおける感想

  • フィードバックは1人分ずつのほうがやりやすい。2人分だと最初の1人分の内容が忘れがちになるのと、公平にフィードバックを行うことが難しくなる。
  • 二人のFrを比較するというような評価もできた。
  • 他人から見た自分のFrのフィードバックは参加者にとっては些細な話でも参考になるようであった。
  • フィードバッカー交代時の自己紹介や状況把握の時間が欲しい。

全体振り返り

全体"気付き"の共有を行い、フィードバックの効果を高めた。第1回, 第2回ではこの部分についてウェイトを置いていなかった。第3回では前半、後半の2回行うことで、学習効果を向上させることを狙っていた。

全体振り返り( 前半 )で出た気付き

  • 結論が出せなかった。
  • ファシリテータなのに一人で突っ走ってしまい、どこで意見を聞けばよいかわからない。
  • 意見を言ってしまった。意見を聞く。
  • 意見を引っ張っていた。活性化していなかった。意見を言う余裕をもっていなかった。落ち着いてのぞむ側のスタンスを考える。
  • 時間管理をしていない。
  • どんなプロセスかイメージできない。普通だったらブレストする。
  • 前提がわからなかった。
  • 緊張するのが伝わっていた。
  • デスクワークしてもよかった。
  • 息を抜く方法。意見をつかむ。意見を褒める。

全体振り返り( 後半 )で出た気付き

  • 前のプロセスで思考が停止した。
  • 具体的にレベル感が合わない。
  • どういう風に書くのか決まらなかった。
  • 共有化しないで始めた。
  • 失敗した観点がない。
  • 最終イメージをつかんでいなかった。
  • どこまでまとめればいいのか?アウトプットを明確に。
  • 時間管理をしてなかった。

全体振り返りにおける感想

フィードバックの時間が少なく、各フィードバッカごとに観点が異なっているため、視点が偏りがちになるのを補う効果があったように思われる。また、発表を行うことで思考がまとまり、フィードバックされた内容と異なる新たな気付きを得ているようだった。
#記録が上手くいっていなかったために感想が述べられているように見えるが、実際には気付きが流通していた。
フィードバッカが重要視していた視点
・発言量 Frおよび他の参加者の発言量に偏りはないか
・発言の方向性 Fr−参加者だけでなく 参加者同士での発言はあったか

個人振り返り

SWOT分析を応用し、個人ごとに振り返りを行った。
会の冒頭で「現在自分が思い描いているSWOT」を記述させる。その後実際にファシリテータを経験した後に「ファシリテータを経験したあとのSWOT」を書かせることで振り返りを行うように構成した。
個人として振返ってもらう為に一定の時間は設けたが、より気づきを深めるには、各個人が書いたSWOTをもとにグループ・ディスカッションができれば良かったのではないかと考える。

まとめ

今回の成果
17名の会員が一度はファシリテータを経験した。この中から後日実際にファシリテータとして活動を始めた人数を集計して成果とすべきであるが、当面のところこの17名が初めの一歩を踏んだことを成果としたい。

今後の実施について

今後も継続的な実施を検討している。メインファシリテータ(もしくはキュレーター)は回ごとに交代しており、新規スタッフの募集も検討している。

課題

全員にファシリテータを経験させるため、参加人数が4の倍数でないと不具合が生じてしまう。議論を成立させるためには最低でも4人が1チームとなる必要があるため、参加者の人数の上下動に対処する方法が欲しいところである。

以上

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